シネマート新宿 劇場インタビュー|映画の街・新宿で魅せる“独自の色”、「のむコレ」イチオシ作品も
2018年10月31日(水)18時0分 映画ランドNEWS
2006年12月映画の街・新宿に、六本木、心斎橋に続いてのオープンとなったミニシアター「シネマート新宿」。当初からアジアエンタテインメントの発信地として人気を博している劇場だ。
映画ランドNEWSでは、劇場の歴史や独自のカラー、11月3日(土・祝)より開催される劇場発信型映画祭「のむらコレクション」(通称:のむコレ)に関するお話や、周防正行監督4年ぶりの新作『カツベン!(仮)』にまつわる裏話などを、シネマート新宿の宮森覚太さん(映像事業部/映画事業室)に伺った。
──劇場のコンセプトをアジアエンタテインメントの発信地とされていますが、その経緯を伺えますか?
宮森:当時、韓流ブームの頃に自分たちが買い付けた作品を「自分たちで配給して劇場にかけよう!」と考えたのが始まりと聞いています。現実問題、自分たちの作品だけでは数に限りがあるので、他社さんからの作品も上映して、ようやく近年軌道に乗ってきたような気がしています。これまでは、開館オープニング作品だったイ・ビョンホンさん主演『夏物語』(2007)がシネマート新宿として一番の興行収入だったのですが、ようやく今年『タクシー運転手約束は海を越えて』(2018)を上映した際に、歴代トップの成績を超えることができました。
──作品選びの基準や“こだわり”を教えてください。
宮森:以下、番組編成担当の野村の言葉となります。シネマートの役割・他の劇場との差別化を考えた中で、韓国映画は必ず上映をし、それを発信できる編成でありたいと考えています。多くのシネコンやミニシアターがある、そんな映画の街・新宿で、他の劇場さんにはない“色”をどれだけつけることができるかを意識して編成しています。嬉しいことに、最近では“韓国映画といえばシネマート新宿”というイメージが定着してきて、自然と韓国映画のオファーがくるようになってきました。
──昨年から「のむらコレクション」(通称:のむコレ)を開催されていますね。「のむコレ」をはじめ、劇場独自の取り組みについて教えてください。
宮森:劇場独自の取り組みについては「のむコレ」が中心ですね。あとは、最近はあまり実施できていないのですが、オールナイト上映なども開催していました。2013年の夏は毎週のようにやっていて、毎回100名を超えるお客様が来場されてました。劇場側から何か発信がしたくて、自分たちで配給会社さんに話を持って行ったりしていました。2017年には『獣道』(2017)を含めた青春映画のオールナイト上映をやったりしていました。
──「のむコレ」を開催しようと思ったきっかけは?
宮森:以下、番組編成担当の野村の言葉となります。日頃お世話になっている配給会社さんに「もっとお役に立てれば」と考えたのがきっかけです。劇的な変化を何か生み出したくて、いろいろ試作をやっていく中で、ひとつ「のむコレ」が誕生しました。
──今年の「のむコレ」イチオシ作品は?
宮森:昨年は『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』が全回ほぼ満席と大好評だったのですが、今年の目玉作品としては『The Witch/魔女』が人気です。韓国で今年の夏に公開されたばかりの作品で、最速で観れるというのもイチオシな点です。あとは『ゴッズ・オウン・カントリー』と『狂獣 欲望の海域』もお客様からの多くの反応があります。おかげさまで昨年より上映する作品数も増え、今年は前夜祭として11月2日(金)の夜にスクリーン1と2を使ってオールナイト上映を実施します。夜にシネマート新宿のスクリーン1と2を行き来しながら映画も楽しんでいただける初の試みです!また、作品によっては趣向を凝らした割引も実施します。
──「活弁」のイベントも定期的に開催されていますね。
宮森:毎月2日間行っていて、次で56回目を迎えます。周防正行さんが新作(『カツベン!(仮)』主演:成田凌)で「活弁」をテーマにした映画を撮られますが、実際にシネマート新宿にご夫妻で見に来てくださいましたし、周防監督は、何度もスタッフの方もお連れになって見にいらしておりました。映画を撮るために研究されていたみたいですね。「活弁」はシネマート新宿のひとつの特色でもあります。絶えず他の劇場さんとは違う何かをやっていくことを意識しています。
──“映画館で映画を観る”魅力を教えてください。
宮森:ありきたりですが、“集中力”が全然違うと思います。家で観ることもありますが、どうしてもスマホがちらついてしまうというか(笑)。その作品の“1秒”を見逃しただけで、面白さがわからなくなってしまうと思うんです。ある仕掛けが、たまたま“1秒”にあって、それを見逃していることによって存分に楽しめなくなる。映画を100%集中して観れる環境は映画館にしかないと思っています。同じ作品をリアルタイムで共有できるところも楽しいですよね。シネマート新宿でも上映した『ソレダケ / that’s it』も劇場と家では、身体に突き刺さる感覚が全々違います。古いかも知れませんが、私は、やはり映画館で全てご覧頂きたいですね。ぜひ、映画館に来てください!
──最後に、「シネマート新宿」で映画を観ることを楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
宮森:これからも皆さんに楽しんでもらえるようなことをやっていきたいです。映画の街・新宿で、「シネマート新宿といえば韓国映画!」というブランドを活かしつつ、夜帯では音楽やアンダーグラウンドなカルチャーを意識した、お酒の似合うような劇場にしていきたいです!お酒飲みましょう!(笑)。劇場で話しかけてください!
11月3日(土・祝)より劇場発信型映画祭「のむらコレクション」(通称:のむコレ)を開催するシネマート新宿。シネマート新宿/心斎橋の番組編成担当・野村武寛が、アジア映画に強いシネマートらしく、韓国・中国・香港は勿論、世界中から話題作をいち早く集め、要チェックなレア作品が目白押しの映画祭だ。韓国で今夏に公開され大ヒットを記録した『The Witch/魔女』をはじめ、24作品が上映される。
「のむコレ」公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/nomu-colle2018/
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