『光る君へ』敦康親王(片岡千之助)の暴走に視聴者最注目 第41話画面注視データを分析

2024年11月3日(日)6時0分 マイナビニュース


●御簾をめくって彰子と対面「お顔が見たかっただけでございます」
テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、10月27日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00〜ほか ※同日は19:10〜)の第41話「揺らぎ」の視聴者分析をまとめた。
○藤原道長は激怒「信じられぬ」
最も注目されたのは19時35分で、注目度79.2%。敦康親王(片岡千之助)が暴走するシーンだ。
敦康親王が彰子(見上愛)に会いに藤壺に来た。敦康親王にとってここで彰子と共に過ごした日々は何物にも代えがたい宝である。「お文を頂戴し、いつでも来てよいと仰せいただきましたので、飛んでまいりました」敦康親王が彰子を慕う気持ちは今も変わらない。「いつぞやはおいしいつばき餅をありがとうございました」彰子の敦康親王を子として思う気持ちもまた、昔と変わることはない。「中宮様…お顔が見えませぬ」敦康親王が苦々しい表情でつぶやいた。御簾越しでしか会うことができない今の立場に、敦康親王は強く不満を感じている。
そばに控えていたまひろ(吉高由里子)と藤原行成(渡辺大知)は、敦康親王の言葉に警戒の色を見せた。「せっかく参りましたのに、お顔が見えねばつまりませぬ」敦康親王はさらに不満をあらわにする。御簾の向こうで彰子が戸惑っていると、「ご無礼つかまつります」と、御簾をめくり敦康親王はその中へと入り込んだ。「親王様!」敦康親王のまさかの行動に行成が声を上げた。「光る君のようなことはいたしませぬ。ただ…お顔が見たかっただけでございます」敦康親王は悪びれることなく無邪気に笑うと、彰子の緊張もほぐれた。まひろと行成は絶句したまま顔を合わせることしかできなかった。
事件を知った左大臣・藤原道長(柄本佑)は憤然と声を荒らげる。行成のとりなしも道長の耳には入らない。道長は「信じられぬ。敦康様が二度と内裏に上がれぬようにいたせ」と冷たく言い放つが、「さきの帝の第一の皇子であらせられます。そのようなことはできませぬ」と、行成は突っぱねた。「中宮様はこの先、国母(こくも)ともなられるお方。万が一のことがあっては、一大事だ」なおも自身の意向を貫こうとする道長に行成は、「恐れながら、左大臣様は敦康様から多くのことを、奪い過ぎでございます」と、毅然と諫言(かんげん)した。「敦康様が、お気の毒でございます」「お前は、私に説教するのか?」これまで意に反することのなかった腹心の反抗に道長はいら立ちを覚えた。「左大臣様がおかしくおわします。失礼いたします」行成は道長の恫喝にひるむことなく言い返し、その場を静かに立ち去った。
○「寂しかったんだね」「狂愛じみている」と賛否
注目された理由は、敦康親王の危うい行動に視聴者がハラハラしながら画面を注視したと考えられる。
道長の意向で彰子藤壺から遠ざけられた敦康親王だが、中宮・藤原彰子への想いは募るばかり。まひろや行成がそばに控えているにもかかわらず、自分と彰子を隔てている御簾を越えてしまった。そして、彰子もそんな敦康親王を受け入れた。
この敦康親王の行動にSNSには、「敦康親王、久しぶりに彰子さまに会えると思ったのに、顔が見えなくて寂しかったんだね」「大胆な敦康親王の行動に胸がキュンとなった」「まだ12歳なんだから許してあげてよ」といった、同情的な投稿が多くアップされている。一方で「敦康親王の彰子さまへの愛がやばい。微笑みが無邪気ともとれるし、狂愛じみているともとれる」「御簾を越えてしまったのはやばい」といった、敦康親王をいさめるコメントもあった。敦康親王の道長に警戒される言動によって、まひろや行成など周囲に大きな波紋が広がりつつある。今後の展開が気になるところだ。
御簾は竹や草で編まれたすだれの一種。一般的なすだれと比べて、上質な材質が使われ、編み方も緻密に作られ豪華な見た目になっている。主に貴族の住居や内裏で使用された。部屋を仕切ったり、プライバシーを保つためだけでなく、室内の温度調整にも役立った。また、神聖な場所を区切ったり儀式にも使われていた。外界との境界線を引くことで、内側を清浄に保つ意味もあったのだ。それゆえに御簾を越えるという敦康親王の行動に道長は強い懸念を抱いたのだろう。
●妍子、義理の息子にせまる「好き」
2番目に注目されたのは19時47〜48分で、注目度77.7%。藤原妍子(倉沢杏菜)が義理の息子にせまるシーンだ。
藤壺へ入った三条天皇(木村達成)の女御・藤原妍子は、義理の息子・敦明親王(濱田碧生)を相手に他愛もない話で退屈をしのいでいる。妍子に求められ、敦明親王は熱心に趣味である狩りの話を披露しているが、当の妍子は実は狩りになど全く興味はない。「狩りは、こちらの動きを獣に悟られてはしくじります。風下から音を立てずに近寄って…一気にしとめる! 極意はこれにつきます」話すうちに興の乗ってきた敦明親王は、大きな身振りでうさぎを捕まえる仕草をする。
「好き」御簾の向こうにいたはずの妍子は、いつの間にか敦明親王の後ろに回り込み、敦明親王の耳元でささやいた。「あ…おやめくださいませ」敦明親王は驚いて体をのけぞらせるが、「だって敦明様も延子様より私の方がお好きだもの」と、妍子は自信たっぷりに敦明親王にせまった。同い年であり、道長の娘たちの中でももっとも美しいと評判の妍子にせまられると、敦明親王も悪い気はしない。
「そこまで!」突然、2人の間に怒号が響いた。声の主は敦明親王の母・藤原すけ(※女へんに成)子(朝倉あき)だった。「何しに来られたの? 邪魔なさらないで」興をそがれた妍子は露骨に顔をゆがめた。敦明親王はバツが悪そうだ。「申し訳ございませぬ。我が息子が無礼を働きましてお許しくださいませ」すけ子が妍子に頭を下げた。「母上…私は何もしておりませぬ」「黙りなさい。事もあろうに御父上の、帝の女御様になんということを」「母上は、私をお疑いになるのですか?」「どうぞお許しください」すけ子は息子の弁解には耳を貸さず、ひたすらに妍子に謝罪した。
「もういいです」完全に覚めてしまった妍子は御簾の奥に消えていくと、「どうかこのことは帝には、仰せにはなりませぬよう、伏してお願い申し上げます」と、すけ子はその背に懇願した。「母上!」敦明親王は母のへりくだった姿勢に納得がいかない。妍子は御簾の向こうで髪をもてあそんでいた。
○「危ない関係にニヤニヤ」
このシーンは、「わがままお嬢様」妍子の奔放なふるまいに視聴者の注目が集まったと考えられる。
妍子にとって父子ほど年の離れた三条天皇の女御というポジションは、いろいろな意味で非常に窮屈で退屈なものなのだろう。そこで比較的近くにいる同い年の敦明親王にちょっかいをかけて気を紛らわせることを思いついたようだ。自ら御簾から出て敦明親王の背後に忍び寄る妍子と、敦康親王に御簾の中に入り込まれ驚く彰子は、姉妹でありながら正反対の性格だ。
SNSには「妍子と敦明親王の危ない関係にニヤニヤしちゃう」「妍子さま、最高(笑)」「妍子さまの『好き』がめっちゃかわいいけど、修羅場になってるの面白い」といった、フリーダムな妍子の振る舞いに引き付けられた視聴者の投稿が集まった。
また、「妍子さまのキャラ、和泉式部さんに近くてスキ」「和泉式部が妍子に女房として仕えたら相性よさそう」といった、妍子とあかね(泉里香)のコラボを期待する声が上がっている。たしかにこの2人がつるむと面白そうだ。
作中では純朴で奥手な青年として描かれている敦明親王だが、史実では短慮な性格で数々の暴力事件を起こしていたようで、実資の記した『小右記』でもそのおこないがたびたび非難されている。しかし、内裏が火事になった際には、母・すけ子を抱きかかえて走って逃げたり、慌てて避難したため烏帽子の無くなった三条天皇に自らの烏帽子を譲ったりしている。非常に男前なエピソードだ。
また、敦明親王の母・藤原すけ子は優れた美貌の持ち主で、かつてはあの花山天皇(本郷奏多)からアプローチをされていたようだ。しかし彼女の父である藤原済時が強く拒否したと伝わっている。夫の三条天皇とは非常に仲睦まじく、四男二女をもうけている。しかし、この時点ではすでに父・済時は亡くなっており、すけ子には後ろ盾がなく宮中での立場は微妙なものだった。そのため、妍子に対して卑屈ともとれる対応をしたのだろう。道長の権勢の強さがよく分かる。三条天皇のファミリーたちが、今後の展開にどのような影響を及ぼすのか要注目だ。
●ききょう、敵地のど真ん中でひとり気を吐く
3番目に注目されたシーンは19時32分で、注目度77.0%。ききょう(ファーストサマーウイカ)が敵地のど真ん中でひとり気を吐くシーンだ。
藤壺では、中宮・藤原彰子のために和歌の会が開かれていた。赤染衛門(凰稀かなめ)とまひろの詠んだ歌に皆が聞き入っている。あかねの歌を聞いた左衛門の内侍(菅野莉央)が「一段と艶っぽいお歌だこと」と評すると、「恋をしているからかしら」と、あかねは艶やかに視線を藤原頼通(渡邊圭祐)に送った。
女房たちのざわめきをよそに、「清少納言が参りましたが、いかがいたしましょう」と、宮の宣旨(小林きな子)が彰子に告げる。頼通は断ろうとしたが、「よいではないか。通せ。『枕草子』の書き手に私も会ってみたい」と、彰子は面会を許した。
「お楽しみの最中に、とんだお邪魔をいたします。敦康親王様から中宮様へ、お届け物がございまして参上いたしました」「そなたが、かの清少納言か」「お初にお目にかかります。亡き皇后、定子様の女房、清少納言にございます」ききょうは淀みなく彰子に挨拶を述べる。「お届け物とは?」宮の宣旨の問いかけに、「つばき餅にございます。亡き院も、皇后様もお好きであられました。敦康様も、近頃このつばき餅がお気に召して、中宮様にもお届けしたいと仰せになられまして」と、淀みなく答えると、「敦康様はお健やかか?」と、彰子が敦康親王の近況を尋ねた。すると、ききょうは顔色を変え、「もう敦康様のことは、過ぎたことにおなりなのでございますね。このようにお楽しそうにお過ごしなこととは、思いも寄らぬことでございました」と怒りをあらわに言い放った。たちまち重苦しい雰囲気が漂う。
「私たちは歌の披露をしておりましたの。あなたも優れた歌詠み。一首、お詠みいただけませんか?」赤染衛門の提案を、ききょうは「ここは私が歌を詠みたくなるような場ではございませぬ」と一蹴する。「ご安心くださいませ。敦康親王様には脩子内親王様と、私もついております。たとえお忘れになられても大丈夫でございます。失礼します」ききょうは彰子に存念をぶつけると、まひろを一瞥しその場を去った。彰子のために開かれた歌会は、ききょうによってぶち壊しとなった。その夜、まひろは日記に「清少納言は、得意げな顔をしたひどい方になってしまった」と、友人の変わりようを記した。
○「清少納言が安らかに定子さまを偲ぶ日は来るのかな…」
ここは、ききょうの強い怒りに多くの視聴者が息をのんだと考えられる。
ききょうはこれまで、敬愛していた皇后・藤原定子(高畑充希)に続き、その忘れ形見であったよし(女偏に美)子内親王、定子の兄・藤原伊周(三浦翔平)といった親しい人々を次々に失ってきた。そして定子の最愛の夫であった一条天皇もついに崩御してしまい、もはや居場所がない。彰子の催す華やかな歌会は、ききょうにかつての中関白家の栄華を思い出させたのだろう。
SNSでは「清少納言が怒りの刃を向けているけど、大切な定子さまを思うとそんな心もちにもなるよね」「彰子さまがどれだけ敦康親王を慈しんでいても、ききょうにとっては定子さまに取って代わったことで、絶対に相容れないんだよね」「彼女の立場を思えば仕方ないかな」「清少納言が安らかに定子さまを偲ぶ日は来るのかな…」といった、ききょうに同情する投稿が多く集まった。
紫式部が『紫式部日記』で、清少納言を酷評していることはよく知られており、これまでのまひろとききょうの関係性からどのように回収するのかたびたび話題となっていたが、ついに落着した。
●役目を押し付けられてぼやく藤原公任に反響
今回は前回に引き続き、1011(寛弘8)年の様子が描かれた。左大臣・藤原道長がおのが権力の維持のために、性急すぎる施策をとったツケが回ってくる展開となった。まひろ、中宮・藤原彰子、源明子(瀧内公美)、藤原顕信(百瀬朔)、藤原行成から批判を受け、四面楚歌の様相を呈した。
注目度トップ以外の見どころとしては、親によく似ている藤原賢子(南沙良)と双寿丸(伊藤健太郎)のやりとりや、やる気に満ちあふれている三条天皇。そして、その三条天皇からやりたくない役目を押し付けられてぼやく藤原公任(町田啓太)が挙げられる。恒例ではあるが、「ぼやく公任さまもかわいい」「公任さま、やる気が薄いなぁ」と、公任さまは何をやってもSNSをにぎわせている。
そんな公任さまだが、本編終了後の『光る君へ』紀行が、公任さまの特集(退場した登場人物がよくクローズアップされる)だったため、公任さまの次回以降の登場を危ぶむファンの悲鳴がネットでは聞こえてきた。しかし、史実では公任さまは1041年まで生きるので、このタイミングでの退場はないと信じたい。そして今回、道長と初めて対立した藤原行成だが、史実ではなんと道長と同じ日(しかもお正月)に仲良く亡くなる。行成にとって道長は生涯を通した道しるべだったのだろう。
きょう3日に放送される第42話「川辺の誓い」では、心労のたたった左大臣・藤原道長が床に伏せる。また、少女をひざに乗せてあやす藤原実資や執筆をやめて賢子に詰められるまひろなど、注目ポイントが満載だ。果たしてどのシーンが最も注目されるのか。
REVISIO 独自開発した人体認識センサー搭載の調査機器を一般家庭のテレビに設置し、「テレビの前にいる人は誰で、その人が画面をきちんと見ているか」がわかる視聴データを取得。広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントに視聴分析サービスを提供している。本記事で使用した指標「注目度」は、テレビの前にいる人のうち、画面に視線を向けていた人の割合を表したもので、シーンにくぎづけになっている度合いを示す。 この著者の記事一覧はこちら

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