「東京オリンピックの裏側で、こんなドラマが巻き起こっていたとは」松坂桃李(岩田幸彰)【「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」インタビュー】

11月3日(日)20時50分 エンタメOVO

岩田幸彰役の松坂桃李

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 最終章に突入した物語では、ついに1964年の東京オリンピック開催に向けた組織委員会が発足する。その事務総長に就任した田畑政治(阿部サダヲ)の片腕として活躍するのが、JOC役員を務める“岩ちん”こと岩田幸彰だ。頭脳明晰(めいせき)で背広もおしゃれに着こなす岩田を演じるのは、数々の映画やテレビドラマで活躍する松坂桃李。最終章に向けた意気込みと、撮影の舞台裏を語ってくれた。



−これまで所々に出演してきた岩田が、ついに本格的に活躍するようになりました。最終章の撮影に入ったときのお気持ちは?

 昨年、何度か撮影した後、期間がだいぶ空いたんです。その間、他の仕事もしていたので、今年に入って最終章の撮影が始まったときは、「再び」というよりも、改めて「クランクインしました」という気持ちの方が強かったです。最初のシーンが、去年も撮影していた都知事室だったので、「こんな感じでしたね…」と少しずつ思い出していき、そこからだんだん、田畑さんを中心にしたテンションが定着していくような感じで。ただやっぱり、気分はそれまでよりも一段階も二段階も高まりました。

−その間、どんな気持ちでいましたか。

 ずっと撮影がなかったので、「このままフェイドアウトだな…」と(笑)。松重(豊/東龍太郎役)さんとも、他のドラマでご一緒する機会があったので「もう、役忘れちゃったよね」「そうですねぇ…」みたいな話をしていました(笑)。

−第41回では、岩田自身もヨットでオリンピック出場を目指していたことや、戦時中に従軍していた過去が明らかになりましたね。

 岩田自身のオリンピックに対する強い思いを知ることができたのは、とても大きかったです。もちろん、「田畑さんに付いていく」ということだけでもお芝居はできますが、そこにもう一つ自分自身のエピソードが加わることで、より加速しやすくなりました。自分は、選手としてはオリンピックに出場できなかったから、今度は裏方として東京オリンピックに参加したい…。そういう思いを持つことができたおかげで、気持ちが乗せやすくなりました。

−岩田はなぜ田畑に付いていくのでしょうか。

 阿部さんが演じる田畑さんは、嵐のような人です。本来、嵐は避けたいものですが、田畑さんにはどこか「巻き込まれたい」と思わせる魅力がある。口が悪い、せわしない、よく怒る、情緒不安定…。言葉だけ並べてみると、「この人のどこがすごいんだろう?」という感じですが、実際に相対してみると、「なにかすごいことを起こすのでは?」、「この人と一緒にいると、楽しいことが待っているのでは?」と思わせてくれる。田畑さんの周りに集まってくるのは、そういうところに魅かれた人たちなんだろうな…と。

−オリンピックにまい進する田畑のパワフルな姿勢をどんなふうに見ていますか。

 一つのことを成し遂げるために、田畑さんのように周りの顔色をうかがうことなく、「こういうことをやろう」と全面的に押し出していける人はすごく強いし、人を引き付ける。何よりも、それが成功につながる一番の近道なんだろうな…と。この作品を通じて、改めてそう感じました。

−その一方で、田畑の言動には、現代では許容されにくい部分もありますね。

 確かに今、田畑さんのような言動をしたら、一瞬で消されてしまうでしょうね。世間的にも冷めた風潮があり、関わって被害に遭うことを誰もが避けたがるので、何かを「やります」と手を挙げる人も少なくなっている気がします。でも、そういう時代だからこそ、田畑さんのように「これだけ面白いことができるんだから、やってみようよ」と押し出す人がいてもいいのではないかと。そういう意味では、今、田畑さんのような人がいてくれたら…とも思います。

−共演して気付いた阿部さんの魅力は?

 場の空気を一瞬で変えることができる方だな…と。お芝居でしっかり向き合ってみて、改めてそう感じました。例えば、「組織委員会でこんなことがありました」とみんなでネガティブな話をするシーンでも、阿部さんが一言「何!?」と言うだけで、面白くなりそうな空気に変わるんです。台本に書かれているのは「何!?」の一言だけです。でも、それを阿部さんが言うと、「ネガティブなままでは終わらない」と感じさせることができる。そういう部分は、役者を続けていくに当たって、僕自身も身につけたいところです。

−岩田家のご家族に会う機会はありましたか。

 見学にいらっしゃったときにお会いしました。ただ、とても上品な方たちだったので、「すいません…!」という気持ちになりました(笑)。劇中では少し誇張したキャラクターになっているので、僕自身「岩田家の方に怒られないかな…?」と心配していたのですが、皆さん物腰がとても柔らかく、優しそうな方たちだったので安心しました。

−演じてみて、1964年の東京オリンピックについて、どんなことを感じましたか。

 知らないことだらけでした。この時代に東京オリンピックがあったことはもちろん知っていましたが、開会式の裏側でこんなドラマが巻き起こっていたとは…。ブルーインパルスを飛ばす話や、聖火リレーを日本全国でやる話など、いろいろな人たちがあらん限りの知恵を振り絞って、その瞬間を盛り上げようとしていた。田畑さんも「日本の最大のお祭りだ」と言っていますが、情熱を持って本気で考えた人たちが、こんなにたくさんいたんだな…と。それを知ることができただけでも、この作品に参加した意味がありました。

−最終章の見どころを。

 序盤から少しずつ登場してきたチーム田畑が、いよいよ本格的に動き出します。オリンピック開催に向けた新たな波が生まれ、阿部さんを中心とした空気感もぐっとコミカルになっていきます。第1回からの伏線も徐々に回収され、宮藤(官九郎)さんの脚本ならではの面白さも実感できると思うので、ぜひ期待してください。

(取材・文/井上健一)

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