藤井貴彦、フリーになって「本当に泥臭かった」7か月…慣れてきたフジで“テレビマンの腕が試される”番組
2024年11月4日(月)7時0分 マイナビニュース
●ひろみちお兄さんのリハビリを「自分に置き換えた」
現代日本の様々なリアルドキュメントを紹介するフジテレビ系特番『ジツハなジツワ 〜#今夜の好奇心〜独占密着!すべてが初公開SP』(5日19:00〜)。登場するのは、カリスマ婚活アドバイザー・植草美幸氏の指導で婚活に挑む男性たち、下半身まひからの復活へ過酷なリハビリに励む“ひろみちお兄さん”こと佐藤弘道、都内最大級のダイソー新店舗のオープンに臨む若き責任者たちだ。
これらの映像に「ドラマがありました」と語るのは、フリーアナウンサー・藤井貴彦。収録を振り返っての感想のほか、日本テレビを退社して7か月が経った心境や今後の展望などを語ってくれた——。
○カリスマアドバイザー指導の婚活に衝撃
今回の映像の中で、藤井が「自分に置き換えた」というのが、佐藤のリハビリの様子。「これまで体を鍛えてきた人が急に動けなくなってしまうというのは、ご本人にとって一番ショックだと思うんです。それを諦めずにマイナスから努力を積み上げることができるというのは、実話を超えて奇跡のワンシーンを見ているかのようでした」と表現する。
2011年の東日本大震災発災時、マンションの30階に住んでいた藤井は、被災地取材に行くため、日テレから一旦自宅に帰って準備しようとしたが、エレベーターが停止していたことから、30分かけて階段を上ったのだそう。
その同じ階数まで約10分でたどり着く姿に、「すでに常人を追い抜いてしまってるのですが、ひろみちお兄さんにとってはまだ自分の100%ではないんですね。だから、人がどこを目指すかによってドキュメンタリーになるのだと思いましたし、いつもテレビで顔を見ている人のドキュメンタリーというのは、感情移入しやすいのかもしれないと思いました」と受け止めた。
一方で、植草氏が指導する婚活にも「すごかったです」と衝撃。50代の男性がアドバイスされる様子を見て、「あの年齢になって、しゃべり方を直されたり、“そんなことしちゃダメよ”と言われることはあまりないと思うのですが、今回のVTRを見ていると、婚活というより人間の根幹を教えてくれる塾のように思いました。そこで人として振る舞うことができたら、誰とでも結婚できるんだということを、植草さんが言ってくれたんじゃないかと思いました」と印象に残ったそうだ。
○日常を切り取ったものがドラマになる
改めて今回の収録を振り返り、「この番組はドキュメンタリーでその人にとっては日常を切り取っているだけなのに、“事実は小説より奇なり”と言うように、全部ドラマなんです。だからテレビマンとしては、こんなにドラマを撮り逃してきたのかと反省するところがいっぱいあると思いました」と話したところで、横にいたスタッフが缶コーヒーをこぼしてしまうアクシデントが発生。
すかさず、「こういうことが世の中にいっぱい転がっているので、カメラをどこに向けるのか、どこに耳を澄ますのか、そして映像をどう編集するのかによってドラマにもなるというのが、面白いなと思いました」と再確認しながら、「テレビマンにとってこの番組は自分の腕が試される格好の舞台なのではないかと。お刺身をどう切るかによって旨味が違ってくるのと同じように、人の人生にどう切り口を入れるかによって“実話”が面白くなるので、そんなスタッフの腕前とともに、ぜひ注目していただきたい番組です」とアピールした。
●同期・羽鳥慎一と交わした「メイク」の約束
前髪を上げたセンター分けで、スーツを着たいつものニュースキャスターの姿と異なり、この番組では、前髪を下ろしたカジュアルなスタイルで臨んだ藤井。「スタイリストさんもヘアメイクさんも、私を“フジテレビ仕様”にしてくれているんだと思います(笑)」と感謝する。
実はフリーになるまで、髪形はずっと自分でセッティングしていたのだそう。それは、日テレ同期入社の羽鳥慎一と「俺たちは会社に全然貢献してないんだから、メイクしてもらうのは早いよな」と、新人の頃に約束したことを守っていたためだという。
「羽鳥がフリーになった途端、ヘアメイクされたのを見て、“あいつフリーになったんだなあ”と思いました」と振り返りながら、「“誰かに貢献できるようになったら、ヘアメイクも顔のメイクもしてもらおう”という約束を本当に果たせたのかは、フジテレビさんの判断次第になります(笑)」と委ねた。
○自分が稼ぐということの“汗感”を忘れずに
今年5月に放送された前回のこの番組の収録の際は、「いつもと別の空間にいて、別の空気を吸っている感じがありました」というが、「今回は吸い込む空気に何となく湿度の高さがあり、のどに心地よい感じがしましたので、ちょっとホーム感が出てきましたね」と変化が。
また、「スタジオに座ってつま先まで映る撮られ方を、あまりしていないんです。いつもは両膝に手を置いて真っすぐ座っているのですが、ちょっと脚をクロスしてみたり、以前はガチガチだった自分が、だいぶ楽に振る舞えるようになったと思います。これはもうフジテレビさんのおかげです」と、お台場にも慣れてきた様子だ。
日テレを退社して7か月が経ったが、思い描いたような活動はできているのか。
「フジテレビさんなどキー局のお仕事は業務提携の事務所から声がかかってやらせてもらっているのですが、それ以外の地方局に出る時は、自分で営業してお仕事を頂いているんです。だから、自分でギャラの設定をしたり、請求書をメールで送ったりと、本当に泥臭かったですね」
平日夜帯のニュース番組も担当し、フリーアナウンサーとして順調にスタートを切っているように見えるが、「自分が稼ぐということの“汗感”を忘れてしまいそうなので、これからも泥臭くやっていきたいです」という姿勢。それに加えて、「今回のようにフジテレビのきらびやかなスタジオで出演できることはなかなかないので、こういうお仕事は業務提携の事務所にさらに要求していきたいなと思います(笑)」と、冗談を交えて期待を述べていた。
●藤井貴彦1971年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、94年日本テレビ放送網に入社し、スポーツ実況アナウンサーとしてサッカー日本代表戦や、クラブワールドカップ決勝、2010年バンクーバー五輪の実況などを担当。10年からは夕方のニュース番組『news every.』のメインキャスターを務め、コロナ禍で視聴者に寄り添うコメントが注目を集めた。24年3月で同局を退社してフリーに。現在は『news zero』(日本テレビ)のメインキャスターを担当する。