二階俊博・自民幹事長 正攻法に頼らず派閥の人数増やす異能

11月6日(月)7時0分 NEWSポストセブン

着実に子分を増やす二階俊博幹事長(写真:時事通信フォト)

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政治は数、数は力〉──という田中角栄流の「数の論理」は昔も今も自民党派閥政治の基本原理だ。選挙で子分を増やして兵を養い、権力の座を目指す。総選挙による派閥勢力の消長は政界地図を大きく塗り替える。


 特別国会が召集され、第4次安倍内閣が発足すると、自民党では各派閥が拡大合戦を展開中だ。


 ポスト安倍をうかがう実力者、岸田文雄・政調会長(岸田派)と石破茂・元幹事長(石破派)は派閥の候補全員を当選させてしっかり“次”を射程に入れると、議席を減らした他の派閥は負けじと新人議員の囲い込みに躍起となっている。親分の谷垣禎一氏が引退した谷垣グループは“草刈り場”になる。


 だが、そのはるか上を行くのが二階派だ。二階俊博・自民党幹事長は党内の陣取りではなく、選挙中から“スカウト”のアンテナを野党に向けていた。


 選挙最終盤の10月19日、沖縄・那覇市随一の歓楽街にある高級おでん屋の奥の個室で、秘密の会合が開かれた。上座に座ったのは二階氏最側近の武田良太・自民党副幹事長。「幹事長特別補佐」の肩書きを持ち、党内では「二階氏の政界裏工作担当」と呼ばれる。


 同席したのは沖縄2区の自民党候補の選対幹部たちだが、その中に、敵陣営の最高幹部がいた。


 沖縄1区で自民・國場幸之助氏と争っていた日本維新の会の下地幹郎氏の実兄で、地場大手建設会社の社長を務める下地米蔵氏と、やはり下地陣営の選対幹部を務める元県議の2人だ。自民党関係者がこの“呉越同舟会合”の中身を明かす。


「会合では沖縄の選挙情勢分析が行なわれ、武田副幹事長は“下地(幹郎)さんは沖縄のために必要な人。国会に残ってもらわないと”と心配し、米蔵社長は“幹郎をよろしく”と頭をさげたと出席者から聞いています」


 その下地氏は小選挙区では落選したが、九州ブロックの比例代表で復活当選した。


 自民党副幹事長が選挙中に対立候補の選対幹部と会合を持つのは異例だろう。本誌の直撃に米蔵氏は、「選挙情勢の話をしただけ」、武田氏も「下地社長には沖縄2区で自民党が建設業界の票をもらっているからお礼を言った」と説明する。


 だが、地元では、「下地氏はもともと自民党橋本派の出身で、二階幹事長はその手腕を高く評価し、二階派にスカウトしたいと考えている。武田氏はそうした意を受けて会談を持ったのではないか」(前出・自民党関係者)という見方がなされている。


 こうした人脈のネットワークが二階派の“復元力”を支えている。


 二階氏は解散前、無所属議員を次々に二階派に入会させて岸田派を抜く党内第4派閥(47人)に拡大させたが、総選挙では西川公也・元農水相や同じ派閥の門博文・代議士との“路チュー”スキャンダルを起こした中川郁子氏、夫の“ゲス不倫”に加え、自身の公用車の私的利用で叩かれた金子恵美氏ら、派閥の候補が8人も落選して勢力を減らした。


 ところが、選挙後の短期間に中曽根康弘・元首相の孫の康隆氏など新人5人を次々に入会させ、瞬く間に勢力を44人にまで挽回してみせたのだ。自民党最大派閥・細田派の議員が語る。


「二階さんが怖いのは、選挙という正攻法によらずに数を増やす異能を持っていることだ。新人や他派閥からのスカウトだけではない。政界に広くアンテナを張りめぐらせ、無所属議員を派閥に入れ、他党からも引き抜く。そして二階派に入れば、カネも票も面倒見る。こんな芸当ができる政治家は今の自民党には他にいない」


 選挙で子分を増やす正攻法しか知らない岸田派や石破派は、「逆立ちしても細田派を超えることはできないから脅威ではないが、二階派はどこまで膨らむかわからない」(同前)と警戒しているのである。


※週刊ポスト2017年11月17日号

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