王道ではなく“独自技法”のガンプラで勝負、『ダブルオーのTRANS-AM』と『近藤和久版ザク』を再現

11月10日(日)7時0分 オリコン

【左】電飾を施した、にこらす刑事氏の『PGダブルオーライザー』【右】いべまに氏の「近藤和久版シャア専用ザク」(C)創通・サンライズ

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 今年で40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』には、宇宙世紀を舞台にした正史からアナザーガンダムまで数多くの作品があるが、それを題材とした漫画作品も存在する。今回紹介するモデラーは、ガンダム漫画の大家・近藤和久氏の特徴的な画風を、独自の“超遠近法”で再現したいべまに氏と、『ダブルオーガンダム』のTRANS-AMを電飾で表現したにこらす刑事氏の2人。彼らが作品にほどこした“匠の技術”とは。

■人型兵器の“異形”さと“怖さ”を描いた「近藤版ガンダム」(いべまに)

 大小スケールの違うパーツを組み合わせ、“超遠近法”というまるで「だまし絵」のようなジオラマ技法によりガンダムの名シーンを再現しているモデラー・いべまに氏に、漫画に登場する『近藤版シャア専用ザク』を制作した理由について聞いた。

 「近藤和久先生(漫画家・代表作『機動戦士ガンダムMS戦記』など)の作画集を書店で見かけて手に取ったのがきっかけです。独特の世界観をまとったシャアザクのイラストに惹き込まれ、この雰囲気をそのまま立体化してみたいと思い、制作に至りました」

 いべまに氏にとって近藤和久さんのイメージは、「人型兵器という“異形”さと“怖さ”を漫画の中で表現した方」だと説明した。それは、近藤氏の絵や漫画は、プラモデルサイズのMS(モビルスーツ)ではなく、とてつもなく巨大なモビルスーツを、ちっぽけな人間が見上げるような視点で描かれているためなのだという。

 そして今回の制作にあたり、旧キットの1/100ザクをメイン素材とし、旧キットの1/144ザクなどと組み合わせ、プラ板・パテなどで形を出していったとのこと。いべまに氏と言えば“超遠近法”で有名なのだが、今作でこだわったポイント、気に入っている部分を聞くと、「ザク頭部の末広がり感やクチバシ部分の上向き加減、装甲の曲がり方や太ももの曲線に見られる“エロティックさ”にこだわった」とコメント。続けて、「結局、胴体と太もも、頭部などはほぼプラ板とパテの造形になりました(笑)。太ももの丸さを出すために、HGのドラッツェの両肩に装備されている球体のバーニア(超マイナーな機体です)を利用していますが、多分誰も気が付きません」と笑顔で答えてくれた。

 イラスト(2D)を立体化(3D)にする難しさについては、正面からの資料(漫画)しかないため、背面のデザインについては近藤氏の漫画『ジオンの再興』に登場するザクのバックパックイメージで制作したとのこと。塗装についても、絵の雰囲気をそのまま表現するため、エアブラシと筆塗り部分を混在させて、「“近藤版シャアザク”の雰囲気に近づけました」と、こだわりを語った。

 ガンダム漫画のレジェンド・近藤氏について、「今でも近藤版のモビルスーツを制作しているモデラーさんが沢山居ることからも、“近藤版ガンプラ”はあえての異形やヤボったさ(それがカッコいいんですが)を楽しむひとつのカテゴリーとして確立しています」と、ガンプラ界における影響力を話してくれた。

■完成を諦めてもよいガンプラは“フリーダムの極み”(にこらす刑事)

 電飾のインパクトが絶大な『PGダブルオーライザー』のモチーフとなったのは「『ガンダム00』の映像作品そのもの」と語るにこらす刑事氏。

 「TRANS-AMを赤いパーツ群で表現したキットは多くあったので、他の方法で表現できないかと考えていました。そこにクリア外装の発売があったので、電飾と組み合わせれば面白いことにならないかなと思い、見切り発車で制作を開始しました。紆余曲折ありましたが結果的に満足するものが出来ました」

 本作品で特にこだわったのが、「電飾の色合いや発光のさせ方」だという。実際、クリアパーツの色と下から照らすLEDの色と照度、それらが組み合わさるとどういった色合い、発光状態になるのか。それを確かめながら制作を進めたのだそう。発光させたい部分はマスキングし、それ以外を遮光して塗装。「クリア状態で残す部分のデザインは00の世界観でよくみられるマーキングのパターンを意識しました。発光具合とパターンを現物確認し、気に入らなければ躊躇なくやり直しを繰り返しました」と説明した。

 本作の反響は大きく、SNSなどを通じて、自分では意識したり計算せずにいた所を「ここが凄い!」と指摘せれることも多かったようで、「作った本人が『なるほどー、確かにすごいかも』とか言いながら見たり聞いていました(笑)」と笑顔で振り返った。また、instagramを通して海外からの反響もあり、「クリア仕様キットの新しい使い方として認知されたのだのではないか」と分析してくれた。

 まさに「ガンプラは自由」であり、“妄想の産物”である点を再認識させてくれる本作。氏もまた、ガンプラ制作における“妄想”の重要性を語った。

「ダブルオーライザーの例でいえば、そもそもTRAS-AMって何なんだろう?と模索したのがきっかけです。そこから『あ、プラモデルでやってみたいな』『キットはあるのか…』『他の表現できないかな?』と妄想が膨らみ、実際のアイデアに至る、といった具合です」

 そして、にこらす刑事氏が強調したのが、「ガンプラは納期のない研究開発遊び」だという点だ。「ガンプラは失敗したらいくらでもやり直せるし、完成を諦めて無かったことにもできちゃう、というフリーダムの極み(笑)。仕事も遊びもしっかりやる、失敗したらとぼけちゃう、かっこいいオトナの嗜みとしてサイコーの趣味ですね」

(C)創通・サンライズ

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