光浦靖子×辛酸なめ子「独身であることに負い目を感じて」

11月11日(水)12時30分 婦人公論.jp


光浦靖子さん(右)と辛酸なめ子さん(左)(撮影:藤澤靖子)

お笑い、そして文筆の世界でそれぞれ活躍し、これまで仕事を第一に考えてきたというお二人。読者から寄せられた結婚に対するホンネの数々を眺めながら、シングルならではの不安や楽しさ、将来設計にまで話はおよび──(構成=平林理恵 撮影=藤澤靖子)

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子育て中の妹と同居して気づいたこと


光浦 実は私、この4月からカナダに語学留学する予定だったんです。部屋を解約して荷物をトランクルームに預け、あとは飛行機に乗るだけ——のはずが、コロナの影響で留学そのものが中止に。住む家がなくなってしまい、妹家族のところに転がり込んで、まさかの居候生活を送っていました。

辛酸 外出自粛期間中、ずっと?

光浦 ええ。

家から出られない生活も初めてだし、甥っ子や姪っ子も一緒だったもので、なんだかずっと興奮状態のまま2ヵ月半があっという間に過ぎちゃった。

辛酸 私もウラジオストクやロンドンへの取材旅行が取りやめになり、ぽっかり時間が空いたんですね。それで、近所の公園で鳩と戯れて過ごしました。どの鳩と鳩がカップルなのか考えたりして。その公園は自宅のすぐ近くなんですが、いままで忙しくてゆっくり歩く時間もなかったなって。

光浦 ああ、いろいろ考えますよね。なんかね、子育てに追われる妹を見ていたら、私は24時間まるまる自分の時間なのに、そのわりにインプットが少ないという事実に気づいて反省した。いままで自堕落な人間だったな、もったいなかったなって。

辛酸 私はこれまで仕事依存症っぽかったな、と思い知らされることに。なんだか地球の怒りみたいなものを感じて、地球にいいことができたらいいなと考えるようにもなりました。

光浦 お互いすごい心境の変化があったんだね。(笑)


「同級生が次々に子どもを産んだときと同じように、寂しく感じる時期がまた来るのかもしれない」(辛酸さん)

子どもの次は、孫の問題が


辛酸 私がアンケートで気になった回答は、「息子夫婦、孫3人と同居中。ワイワイガヤガヤ、『生きている』と強く感じる」(71歳・パート)。孫の存在って大きいらしくて、孫がいないとおばあさん同士の会話で立場が弱い、という話をよく聞くんですよ。

光浦 孫かー。産んでる・産んでない問題の子どもから、いる・いない問題の孫へと移っていくんだ。

辛酸 そう、孫を比べ合う。『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』という番組があるじゃないですか。埼玉の紅白歌合戦ともいわれている。

光浦 何、それ。(笑)

辛酸 埼玉県内の会社の社長とか知事とかが出てきて歌を歌うんですけど、必ずみんな孫を連れてくるんですよ。「こんな孫がいます」みたいな感じで自慢する。

光浦 お宝だ。

辛酸 だから、同級生が次々に子どもを産んだときと同じように、寂しく感じる時期がまた来るのかもしれない。

光浦 自分が産んだ子が孫を産むっていいなあ。赤ちゃんを2度も抱っこできるんだ。私は子どもが大好きなもんでね、居候中、お隣さんの赤ちゃんに微笑まれるだけで癒やされるよ。

辛酸 猫よりもいいですか?

光浦 うん、ずっといい(笑)。ねえ、あの都市伝説知ってます? 独身の人は死ぬとき、「子どもを産んでいたら私の人生どうなっていたんだろう」と必ず後悔するっていう。

辛酸 ひどい呪いですね。

光浦 恐ろしいでしょう。でも、人間は死ぬとき、自分の人生を肯定しないとやっていられない生き物だから、「人生これでよかった」と思うんだって。脳科学の本に書いてあった。誰がこんなヘンなこと言い出したんだろうか。

辛酸 台湾や中国でも、未婚のまま亡くなった人を死後に結婚させる風習がありますよね。「冥婚」という。そうやって魂を鎮める。

光浦 へええ。

辛酸 未婚で死ぬと成仏できないって勝手に恐れられてる。(笑)

光浦 「独身の人生、楽しかったわ〜」って言って死んだかもしれないのにね。

世間の価値観は昔のまま


辛酸 アンケートで、独身だと負い目を感じる、という方もいますね。光浦さんは、どう思います?

光浦 この年になってわかってきた。私、どこかで負い目を感じてるもん。35歳くらいまでは、モテないことはタレントとしての自分の武器だと考えていたのね。「ブスでモテない」のは、すでに私に配られたカード。私はそれを使って一発逆転できる新しい戦い方を生み出したくて、お笑いをやってきたの。モテないのが、「悪い」ことから「カッコいい」ことに変わる瞬間があればいいな、と思って。

辛酸 今の若い人は恋愛離れしているから、カッコいいと思われているかもしれませんね。

光浦 いやー、それがね、ある時期から、「ブスいじりされているのを見て傷つきました」という意見が強くなって。誰よりもモテない人の味方であろうとしていたんですが。この年になって「モテない」カードを見せると、周りに本気で引かれるんですよ。

辛酸 「モテない」はビジネス用で、実は若い男性をはべらせていてほしい、みたいな?

光浦 うん。そんなに深刻な問題なのかなあ。以前はみんなモテない話を嬉々として聞いていたのに、50歳手前になったいま、「まだ同じ生活をしています」と話すと、「ちょっと笑えない」になる。あんなにみんなが欲しがっていたトークでしょうに。

辛酸 これだけ世の中にシングルが増えているのに、価値観は昔のまま。でも、バツイチなら認められるんですよね。社会性がちょっとある人みたいなイメージがつく。

光浦 あはは。私たちだって50代の男性に「独身で童貞です」なんて言われたら、「そ、それは……」となるじゃない。お互いさまだあ。

辛酸 私、ある男性誌のインタビューで、記事のリード文に「三十何歳まで独身ということは、何か問題があるのだろうか」と書かれたことがあります。

光浦 ああ、イヤだ。

辛酸 ほかにも、テレビ番組で「婚活女性の最終兵器」というキャッチフレーズをつけられたり、占い師のおじいさんから「先祖が悲しんでいる。いますぐ街に出てそのへんにいる男と子作りしろ」と言われたり。さすがに落ち込みました。

光浦 私の場合は、職業柄仕方がない部分もあるけど、ネットや飲み屋での話のなかで「光浦を抱けるか抱けないか」で盛り上がるでしょ。あと、「結婚したらいい奥さんになりそう」と150%言われます。これってナンなんでしょ。まあ、言う側からすれば褒め言葉なんでしょうけれども。

<後編につづく>

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