安倍政策を支配する「内閣官房参与」という妖怪の実態

11月14日(水)7時0分 NEWSポストセブン

加藤康子氏は一民間人からいきなり内閣官房参与に(共同通信社)

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 妖怪が首相官邸を徘徊している。「内閣官房参与」という妖怪が──「共産党宣言」を彷彿させるほどの不気味さだ。官邸主導が特徴の安倍政権において、民間人の彼らはアドバイザーであり、仕掛け人でもあり、時に重要政策の主導権を握っている──その事実を我々国民はどれほど知っているのか。


 現在、首相官邸には、安倍晋三首相のブレーンで、かつて「成長戦略」担当の内閣官房参与を務めた作家・評論家の堺屋太一氏のような民間人出身の「内閣官房参与」が14人(1人は官僚OB、2人は元議員)任命され、総理執務室がある官邸5階や内閣府の本庁舎に部屋を与えられている。


 内閣官房参与のポストは「大統領型首相」を目指した中曽根内閣時代の総理大臣決定(1987年の「内閣官房に参与を置く規則」)で創設された。身分は非常勤の一般職公務員で報酬は1日3万4200円の日当制。〈参与は首相の諮問に答え、意見を述べる〉と役割が定められている。首相のアドバイザリースタッフにすぎない。


 存在が注目されたのは菅直人内閣時代。東日本大震災で福島第一原発事故が発生すると、当時の菅首相は知人の原子力や放射線の専門家を次々に参与に任命し、官邸には15人の参与がひしめいた。その結果、指揮命令系統の大混乱を招いた。


 当時、野党だった自民党は「参与が多すぎる」と指摘し、「個人的な友人・知人を顧問・参与に任命するなど公私の区別がついていない」と糾弾していた。


 しかし、安倍政権の内閣官房参与の人数も最高15人(今年6月に1人退任)と菅内閣に並び、第2次安倍政権以降の総数は26人にのぼる。



 現在の顔ぶれを見ると、役割も出身も様々だ。アベノミクスの金融政策を推進した浜田宏一・米国エール大学名誉教授や国土強靭化の旗振り役として知られる藤井聡・京都大学教授は学者ブレーンの代表格。


 一般には馴染みが薄いが、日経ビジネス記者出身の谷口智彦参与は安倍首相が海外で演説する際のスピーチライターで、東京五輪招致を決めた「原発事故の汚染水による影響は完全にブロックされている」という“名演説”も谷口氏の筆とされる。非常勤ながら官邸に毎日出勤し、自民党総裁選をひかえた今年7月には『安倍晋三の真実』を上梓して〈今、安倍総理は世界外交の中心にいる〉と書いた。


 一民間人からいきなり官邸に招かれたのが、加藤勝信・厚労相の義理の姉にあたる加藤康子氏だ。安倍首相の父・晋太郎氏の腹心だった故・加藤六月農水相の長女で、産業遺産プロデューサーの肩書きで「松下村塾」など九州・山口の近代化産業遺産の世界遺産登録をめざす運動を行なっていたときに、内閣官房参与に抜擢された。


 本人は安倍氏とは「幼馴染み」と語っている(*注)。現在では加藤家の地元・岡山で「康子さんを通せば陳情が官邸に届く」(地元議員)といわれるほど政権中枢に太いパイプを築いている。


【*注/『週刊新潮』(2015年5月21日号)で「私は(加藤)勝信さんよりも、安倍さんの方が話し易い。幼馴染みですから」と語っている】


 昨年の総選挙で落選した西川公也・元農水相、前回参院選で落選した荒井広幸・元参院議員も内閣官房参与に起用されている。落選議員の“失業対策”とみられても仕方がない。


※週刊ポスト2018年11月23日号

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