越乃リュウ、宝塚時代は着物が苦手で嫌だった「日本物」。カメラの世界に入って、日本の伝統に魅了された

11月17日(水)13時0分 婦人公論.jp


カメラの学校に通い、フォトグラファーとしての一面も。 退団後銀座、京都、新潟で写真展を開催 京都は石塀小路のギャラリーで(写真提供:越乃さん 以下すべて)

圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第9回は「京都」のお話です

* * * * * * *

BIGな舞妓に変身


「そうだ京都、行こう」

おなじみのフレーズに誘われると、頭の中は一気に京都モードに。
歴史を感じる街並み、神社仏閣、季節の風情や日本文化がより深く感じられ
なぜか落ち着く場所、京都。

現役時代もよくリフレッシュに来ていました。
舞妓に変身したこともあります。
お店の方に身を任せ、あっという間にBIG舞妓が出来上がりました。

一緒に変身した仲間たちは、男役ながらもかわいい仕上がりに。
自分も愛らしい舞妓になるのを夢見ていたのですが、
なかなかの自分の似合わなさに、落ち込みと爆笑が同時にきました。
それでもポーズだけはしっかり決まっている写真が今もスマホの中に残っています。

京都には退団してからもご縁があり、何十回となく足を運んでいます。
もう住んだほうがいいのではないか、というくらい。
一時期にはマンション購入を本気で考えたほどです。


京都、南禅寺水路閣で

撮られる側から撮る側へ


宝塚を退団後、人生の夢や目標を見失ってしまい、でも何かを見付けたくて、
そんな日々を過ごしているなか、知人がくれた言葉が
「何か…人と違うアングルね」。
このなにげない一言で、私はカメラの学校へ通うことを決めました。

「人と違う」というのは私にとって誉め言葉。
だったら自分のそこを覗いてみようと。
撮られる側から撮る側へ。
カメラの世界は初めて知ることばかりで、難しいけれど楽しくて
気が付けばそこも自分を表現する場でした。

そんなカメラの世界に足を踏み入れ、ふとしたことからご縁が繋がり、
毎年、京都で着物カレンダーの撮影に同行させていただいています。
桜が咲き誇る季節、着物姿の綺麗なモデルさんを撮影するのが
毎年の楽しみでもありました。

宝塚には「日本物」と呼ばれる和物の演目がありました。
まだ下級生だった頃、日本物がきたら退団しようと思っていました。

日本物が来たら退団する理由ですか?
着物がうまく着られないから………です。
私は着物が大嫌いでした。


お気に入りのお店で


観世能楽堂で源氏物語を題材にした和のリサイタルを上演

男役として着物を着る時は、中の体を作らなければなりません。
胴布団やタオルでウエストを消したり肩を大きくしたり
それは何度となく調整が必要で、根気のいる作業になります。

なかなか自分に合う形を見つけられなかった私は、早々に諦めてしまい
日本物がきたら退団だ!と豪語していました。
ふざけた生徒です。

「越乃の法則」で着物に魅了され


頻繁にあるわけではないものの、当然、日本物はやってきます。
ガッツリしっかり日本物のショーが上演されることになりました。

ではこの前に退団するのか?!一応自問自答してみましたが、
まさかそんな理由で退団したいわけもなく、
しぶしぶ着物と向き合う事に決めました。

この苦手な日本物は、それからも何度となくやってきましたが、
最後まで着物とは慣れ合わない関係でした。

チリメン山椒を買い、おそばを食べ


そして、やはりこれも「越乃の法則」に当てはまり、
嫌いだと思っていたお着物の世界を、偶然カメラを通して見ることになり、
その美しさや奥深さ、日本の伝統や文化に魅了されていきました。
のちに自分のリサイタルを能楽堂で和をテーマに演出したほど、
苦手との出会いは、今回もまた私の人生に大きな変化をもたらしました。

先日、久しぶりに京都を訪れました。
馴染みの店でチリメン山椒を買い、おそばを食べ、街並みを散策。
よし、今度は花魁に挑戦しようと、懲りない計画を立てながら、
また訪れる日に想いを寄せます。
今度はカメラを持ってこよう。

もうすぐ京都に紅葉の秋がやってきます。

※次回の配信は、12月1日(水)の予定です

婦人公論.jp

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