宇宙工学がないのになぜ慶應...『下町ロケット』の"慶應推し"にツッコミ殺到! 半沢直樹=堺雅人が理由を暴露

11月17日(火)13時0分 LITERA

TBS『下町ロケット』番組サイトより

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 視聴者のドラマ離れが指摘されて久しい昨今だが、『下町ロケット』(TBS)の勢いが止まらない。15日放送の第5話で前半「ロケット編」が完結したが、視聴率はついに20%を越えた。


 阿部寛演じる佃航平が社長を務める佃製作所が部品提供したロケットは無事打ち上げ成功し、物語は大団円。視聴者の感動を呼んだわけだが、その一方、あるシーンに「?」の声が殺到している。


 それは、航平の仕事に感動した、土屋太鳳演じる娘の利菜が、こんなセリフを発したシーンだ。


「わたしもロケット作りたい! 本気で慶應理工目指す!」


 このセリフに対して、ネット上で「ロケット作るのに、慶應の理工?」「なぜ慶應理工... 東大いけよ...」「下町ロケットやたら、慶應の理工学部おすなぁ」というツッコミが殺到しているのだ。


 たしかに、このセリフはかなり違和感がある。それは、別に慶應をバカにしているということではなく、慶應に行っても航空宇宙工学は学べないからだ。航空宇宙工学のある大学は、東京大学、東京工業大学、名古屋大学など。センター試験を受けたくないから国立はちょっと......ということであれば、私立でも、早稲田大学、日本大学などで航空宇宙工学を学ぶことができる。


 しかし、慶應大学のホームページには「慶應義塾大学理工学部には、学科としては航空宇宙工学科はありません。」と書かれている(機械工学科、システムデザイン工学科などで関連した研究はできるが)。


 では、なぜ、このドラマでは娘の利菜にこんなセリフをしゃべらせたのだろうか?


 いや、"慶應理工"推しは娘の利菜のセリフだけではなかった。主人公の佃航平もその別れた妻も慶應大学理工学部出身という設定。航平は、宇宙科学開発機構(JAXS)というJAXAをモデルにした組織で研究者をつとめていたことになっているのだが......。


 だいたい、このドラマには実在する組織はほとんど出て来ない。帝国重工は三菱重工が、ナカシマ工業はパナソニックがそれぞれモデルでは?とも囁かれているが、企業名はすべて架空だし、来週から始まる医療機器をテーマにした後半では大学も登場するが、「アジア医科大学」「北陸医科大学」といずれも架空のものだ。なのに、なぜ慶應だけが......。


 実は、この異常な"慶應推し"の理由を、あの堺雅人が明かしてくれている。『下町ロケット』は大ヒットした堺主演の『半沢直樹』と同じ座組み。池井戸潤の原作、そしてディレクターも同じく福澤克雄が務めている。そして、『半沢直樹』も同じく相当な慶應推しだったのだ。


 主人公の半沢直樹が慶應出身なのはもちろん、『半沢直樹』のストーリー中には慶應の同期でしょっちゅう飲みに行き、また、慶應出身同士が銀行や会社の枠を越えて協力し合うシーンがたびたび登場。また、「ヒヨウラ」=慶應大学日吉キャンパスの駅の反対側の商店街のことで"日吉の裏"の略、や「トリセイ」=ヒヨウラにある居酒屋、「二郎」=三田キャンパスそばのラーメン屋・ラーメン二郎のこと、「大ダブルヤサイカラカラメ」=ラーメン二郎での注文の仕方で"ラーメン大盛り、チャーシュー大盛り、野菜多め、味辛め"の意など、慶應出身者にしか分からない小ネタも散りばめられていた。


 この慶應推しに当時、堺雅人は「ゲーテ」(幻冬舎)2013年10月号のインタビューでこんなことを語っている。


〈『半沢直樹』は、慶應出身の銀行員の活躍を慶應愛に溢れる人たちが嬉々として描いた物語なんだと思います(笑)〉


 そう、『半沢直樹』、そして今回の『下町ロケット』のスタッフは慶應出身の慶應愛に溢れる人物で固められていたのだ。原作の池井戸潤が慶應出身なのはもちろん、もっとすごいのはディレクターの福澤克雄だ。福澤は幼稚舎から慶應で、なんと慶應義塾の創立者である福澤諭吉の玄孫である。この2人の相乗効果で、『半沢直樹』はどんどん慶應推しになっていったらしい。


 ただし、今回の『下町ロケット』にかんしては、おそらく"主犯"は福澤だろう。というのも、原作では、娘はまだ中学生で物語にもほとんどからまず、反抗期だった娘が慶應理工学部を目指す、というのはドラマのオリジナルだからだ。


 いずれにしても、銀行員ならともかく、宇宙ロケット開発者まで無理やり慶應設定にしたがる母校愛って......。


 ちなみに、早稲田出身の堺雅人は、ドラマを通じて慶應出身者との「自意識」の違いをこう分析している。


〈自分が早稲田を代表するつもりはないんですが。自分の自意識を考えると、目立ちたいんだけど、わかりやすく目立ちたくなかったり、ちやほやされたいけど、そんなに表立ってちやほやしてほしくもないし、ちやほやされると逃げ出したくなる。まあ、少しというかかなり屈折した、わかりにくい自己顕示欲があるんです。そういった部分は自分でもちょっと持て余し気味(笑)。でも半沢には、それがない。"衒い"がないんです。僕の勝手なイメージだけど、早稲田には在野精神というか野党根性というか、ちょっとひねくれたところがある気がします。慶應は照れない。そう考えると、自分が慶應の人間を演じているというのは面白いですね〉(前掲書より)


「"衒い"がない」「照れない」。だからついつい「母校愛」が作品ににじみ出てしまう。そんな慶應ボーイたちのメンタリティが、視聴者の頭に「?」マークを浮かべさせた『下町ロケット』のセリフには隠されているのだ。


 次回から『下町ロケット』は、重度心臓弁膜症患者向けの人工弁の開発プロジェクトに携わる「ガウディ計画編」に突入。こちらにも「慶應」の名は登場するのか否か。注目しながら見ていきたい。


 ちなみに、先ほど述べたように慶應大学では航空宇宙工学を学ぶことは難しい。『下町ロケット』を見て感動し、「将来はロケットをつくりたい!」と夢を抱いた学生諸君は勘違いしないように。志望校はちゃんと学校案内を読み込んでから決めることをオススメしたい。
(本田コッペ)


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