【解説】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編第2弾、徹底考察 ─ マルチバースとストーリーを予想する

11月17日(水)14時31分 THE RIVER

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームより、第2弾となる新予告編が公開され、話題を呼んでいる。この記事では、映像内の気になるポイントを詳しく観ていこう。

蜘蛛に噛まれたあの日 ─ MCU版スパイダーマンのオリジンへの言及

予告編の最初にピーター・パーカーは、「蜘蛛に噛まれたあの日から、一週間だけ本当の自分でいられた」と話している。これは、MCU版におけるスパイダーマンのオリジンへの初の言及と捉えることができる。

過去のシリーズ『スパイダーマン』『アメイジング・スパイダーマン』では、高校生のピーター・パーカーが特殊な蜘蛛に噛まれ、スーパーパワーを身に着ける過程が描かれた。一方、MCU版のスパイダーマンは既にスーパーパワーをある程度使いこなす少年として、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)にてトニー・スタークにリクルートされる形で初登場している。ピーターがどのようにしてスーパーパワーを獲得し、そしてベンおじさんを失ったかについては、実は詳しく語られたことがなかったのだ。

『ノー・ウェイ・ホーム』はMCU版スパイダーマン三部作の完結作となるから、ここで彼のオリジンが初めて明かされることになってもおかしくない。気になるのは、蜘蛛に噛まれてから「一週間だけ本当の自分でいられた」という発言。スパイダーマンはこれまで数々の作品を通じ、スーパーヒーローという「大いなる力」をどう活かすべきかという責任を描いている。おそらくピーターは、蜘蛛に噛まれた一週間後、人生観が変わるような出来事を経験し、そのことが彼をローカル・ヒーローに変えることになったのではないか。

逃亡者ピーター・パーカー

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム©2021 CTMG. © & ™2021 MARVEL. All Rights Reserved.

シリーズ前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でピーターは、ミステリオ/クエンティン・ベックにスパイダーマンとしての正体をバラされてしまう。さらにミステリオがスパイダーマンを悪人として告発したことにより、ピーターは社会での居場所を失ってしまう……というのが、今作の物語の下地だ。

ピーターにとってかけがえのない理解者であるMJは、たとえピーターが世界から敵意を向けられていようとも、彼の側を離れない。映像では追われる身になったピーターが、MJと共に逃亡している姿が見られる。地下鉄内をスイングするカットはスリリングだが、これは『スパイダーマン2』でサンドマンと戦った場面を彷彿とさせるようでもある。

ドクター・オクトパスに別人の可能性

『スパイダーマン2』からの再登場となるドクター・オクトパスは、宿敵ピーター・パーカーを捕まえるも、その素顔が彼の知る男と違うことに困惑している。これは、MCUのマルチバースの概念への理解をひとつ進めるような描写だ。

MCUのファンはこれまでもマルチバースによる掟破りのキャラクター共演に期待しながら、肩透かしを食らったことがある。前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)でミステリオが紹介したマルチバースはフェイクだったし、ドラマ「ワンダヴィジョン」(2021)に登場したエヴァン・ピーターズは『X-MEN』ユニバースのクイックシルバーかと思われたが、結局は同じ容姿をしただけの別人であった。

『ノー・ウェイ・ホーム』のマルチバースも、我々が想像するような概念ではない可能性があった。例えば、マルチバース間には“ゆらぎ”があり、登場したドックオクはMCU版のスパイダーマンを自身の世界のスパイダーマンと同一視している、という考え方だ。いうならば、マルチバース間にはスパイダーマンのイデアが存在するということである。

しかし予告編でのドック・オクは、ピーターの素顔を見て「お前はピーター・パーカーではないな(You're not Peter Paker. 字幕:お前は誰だ)」と言っている。これは、ドック・オクはトム・ホランド版とは別のピーター・パーカーを追ってMCUバースにやってきた、ということを示唆している。

それでは、ドック・オクが追っていた版のピーターとは誰かといえば、当然ながらサム・ライミ版『スパイダーマン』でトビー・マグワイアが演じていたものが挙げられる。しかし、ここではあえて、これがマグアイア版ピーターに限らないという可能性を、二つの理由から考えてみたい。

まず一つは、予告編のドック・オクが「スパイダーマン」ではなく「ピーター」と呼び続けていることである。『スパイダーマン2』(2004)のストーリーをよく思い出してみてほしい。スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることをドック・オクが認識するのは、映画の最後、ドック・オクが核装置と共に自死を選ぶ直前のことである。彼はスパイダーマンの正体を知ってから、アームの動きを制御する意志の力を獲得し、「怪物のままでは死なんぞ」として善人に戻っているのだ。

もしも『ノー・ウェイ・ホーム』が、『スパイダーマン2』でドック・オクが川に沈んで息絶える直前の状態から転送されて現れるのであれば、街を破壊しながらピーターを執拗に追う理由が見当たらないのである。

もう一つの理由は、アームの色やデザインが『スパイダーマン2』とは異なっているという点である。『スパイダーマン2』でのアームは着色されていなかったが、『ノー・ウェイ・ホーム』は赤と黄色に着色されているように見える。アイアンマンカラーであることも妙で、スターク・インダストリーズのテクノロジーを悪用しているのではないかという考え方もできる。実際に、映像の1:50では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)でトニー・スタークが披露したナノテクノロジーのように、アームが赤いアタッチメントを帯びていく様子が確認できる。

このことから、『ノー・ウェイ・ホーム』ドック・オクは『スパイダーマン2』からではなく、また別のユニバースから出現するという可能性が考えられる。スパイダーマンの正体がピーターだと知ったまま敵対視しており、さらにナノテクノロジーと思しき技術を悪用しているというバージョンのドック・オクだ。

エレクトロも別人か

ドック・オクが別人であれば、その他のヴィランたちも我々が知る映画とは別の世界からの使者なのかもしれない。その可能性に説得力を与えるが、ジェイミー・フォックスが再演するエレクトロだ。『アメイジング・スパイダーマン2』 (2014)では青い肌の怪物だったエレクトロは、『ノー・ウェイ・ホーム』では黄色い稲妻を放っており、コスチュームも明らかに異なっている。

また『アメイジング・スパイダーマン2』のエレクトロはもともと気弱な性格で、エレクトロになった後は声に細かなフランジャーがかかったように喋る。

一方、予告編では「邪魔するな(You're not gonna take this away from me)」とはっきりとした口調で発している。一瞬だけ映る素顔は、髪や髭も丁寧に整えられており、これが『アメイジング・スパイダーマン2』のマックス・ディロンと同一人物だとは到底思えない。

なお、エレクトロが放電する瞬間、星形の稲光が顔から発せられているが、これはコミック版のデザインへのオマージュと見られる。

グリーンゴブリンと満月のゴブリン

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前回の予告編ではパンプキンボムと声のみが登場し、2種の海外版ポスターではなぜか豆粒サイズで描かれていたグリーンゴブリンも映像初登場。おなじみのグライダーに乗って飛来する。

1:56から聞こえる「ピーター、悩み苦しめ。すべてを手にしたお前が何を選ぶのか。世界が見ているぞ」という声はおそらくグリーンゴブリン役のウィレム・デフォーによるものと思われ、その邪悪ぶりは健在のようだ。

グリーンゴブリンのスーツは一見したところ『スパイダーマン』時のものと同一に見えるが、2:04にわずかに映るものの正体が掴めない。グリーンゴブリンのスーツとグライダーが使用されているのは識別されるが、マスクは被っていないようで、その代わりにゴーグルを着用しているように見える。デフォーが演じるノーマン・オズボーンが劇中で別デザインのスーツを入手するのか、あるいは2人目のゴブリンが登場するのか。

『アメイジング・スパイダーマン2』では、デイン・デハーンが演じたハリー・オズボーンがグリーンゴブリンとなった。この映画でゴブリンは、満月の浮かぶ夜にスパイダーマンとの戦いを繰り広げてる。今回の映像でも、謎のゴブリンは満月を背に飛来している。

また、ピーターがパンプキンボムを空中で対処しようとするも、爆発してしまうというカットもある(1:35)。パンプキンボムといえば、『スパイダーマン3』(2007)ではハリー・オズボーンの顔に深刻なダメージを与えた致命的な武器だ。この爆発を素顔のままモロに受けてしまう様子のピーターの安否が心配される。

ブラック&ゴールドスーツとストレンジとの衝突

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シリーズでは毎作新たなスーツが登場するが、今作では「ブラック&ゴールドスーツ」が登場する。ホットトイズより既に発表されていたこのスーツのフィギュアでは、付属品として魔法円がついたスパイダーウェブパーツがある。このことから、ブラック&ゴールドスーツでは何らかの魔力を帯びたウェブを放つことができると予想される。

このスーツが『ノー・ウェイ・ホーム』のストーリーに深く関わってくるはずだ。ドクター・ストレンジは、出現したヴィランたちは皆スパイダーマンと戦って命を落とす運命なのだと説明しており、ピーターはこれに納得していない様子。そこで、魔力を秘めていると見られるボックスを盗み取っている。

なぜピーターは、ヴィランたちの死を拒んだのか?優しい性格のピーターだから、彼らと戦って殺してしまうことを残酷だと考えたはずだ。『ホームカミング』でも『ファー・フロム・ホーム』でも、常にピーターは望まない戦いを強いられている。

あるいは、この時点でピーターはヴィランのうちの1人と仲を深めており、彼に同情したのかもしれない。その場合は、ドクター・オクトパスが彼の新たな友人となるだろう。映像内でも、ピーター&MJ&ネッドに捕らえられた様子のドック・オクが、名前をめぐってからかわれている姿が見られる(ちなみにコミックでも、ドック・オクはおかっぱの髪型などをスパイダーマンから嘲笑されることがある)。

ドクター・オクトパスことDr.オットー・オクタビアスは、元々は(マグワイア版の)ピーターが尊敬する理性的な科学者だった。彼がヴィランにさえならなければ、ピーターとは理想的な師弟関係を築けたはずである。優れた知能の持ち主でもあるドック・オクは今回の映画で、ピーターたちと冷静な話し合いを行い、この混沌の事態を共に解決しようと手を組んだかもしれない。トニー・スタークを失ったピーターにとって、科学者のドック・オクは魅力的な大人に映ったはずだ。

そこにドクター・ストレンジが、ドック・オクはスパイダーマンと戦って死ぬ運命だと告げたのだとしたら、ピーターが抵抗するのも当然である。ピーターは「他に方法があるはずだ(There has to be another way. 字幕:他に方法は?)」と、彼らを救う手立てを探そうとしているが、ストレンジは「諦めろ(There isn't)」と一方的に否定している。トム・ホランドは、劇中でピーターとストレンジの関係性が「壊れる」と予告していたが、これは出現したヴィランたちの処遇をめぐって意見が対立するということを指していたのかもしれない。

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ストレンジと衝突したピーターは、ヴィランたちの運命を自力で変えようと試みるだろう。そこでおそらくピーターはボックスを奪うのであり、予告編ではボックスを手にしたスパイダーマンとストレンジの壮大な追走劇が切り取られている。もしかしたらブラック&ゴールドスーツは、ボックスの力によってパワーアップされたものなのかもしれない。

「亡霊と戦え」

1:26ではドック・オクの声が、「闇の中を飛び回り、亡霊(ghosts)と戦え」と話している。ピーターが「どういう意味?」と尋ねるように、これは意味深だ。登場するヴィランたちが過去の映画とはまた別の世界の可能性があると論じたが、彼らはさらに別の概念と共に現れる存在なのかもしれない。

たとえば、マルチバースを通過する際に、肉体は置き去りにされ、魂だけが移動すると考えるのはどうだろう。通過した魂は現れた先の別世界で、元の世界とよく似た肉体を獲得し、元の世界の意識のままに活動する。しかし、これは厳密には元の世界とは同一とは言えない。優秀かつ冷静なドック・オクはそのことに気付き、「亡霊」と表現したのではないか。

一方、グリーンゴブリンはヒーロー殺しの意識に魂が支配されており、スパイダーマンを追うことしか考えていない。承認欲求に支配されたエレクトロは「邪魔するな」と言っているように、MCU世界で邪悪な何かを成し遂げようとしているのかもしれない。

サンドマンとリザードの登場

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これまでの告知では主にドクター・オクトパスとグリーンゴブリンの再登場が取り上げられ、エレクトロの登場も告げられていた。この度の予告編では、『スパイダーマン3』(2007)に登場したサンドマン、『アメイジング・スパイダーマン』(2012)に登場したリザードの再登場も正式に明らかにされている。これで、『スパイダーマン』から『アメイジング・スパイダーマン2』に至るまで、過去のスパイダーマン実写映画全5作のヴィランがそれぞれ1体ずつ登場することが確定となった。

映像では2:14で、サンドマンとリザードがエレクトロと共にスパイダーマンに迫る様子が確認できる。彼らも例によって、過去作に登場したフリント・マルコやカート・コナーズ博士と同一人物であるかは定かではない。

自由の女神像とキャプテン・アメリカ

予告編の後半では、ニューヨークにある自由の女神像が舞台の一つになることが明らかになる。映像の1:04では、女神像にキャプテン・アメリカのシールドを持たせるための工事が行われいる様子が確認できる。映像が短いため詳細を見ることができないが、シールドのデザインがスティーブ・ロジャースやサム・ウィルソンが持ったものと少々異なるようにも感じられる。

1:57では、工事中の女神像の頂上で、ピーター・パーカーが謎のボックスを持ってエレクトロの攻撃をかわしている。さらに2:19では、女神像から巨大なシールドが落下する。2:07では、自由の女神像から魔術に由来すると見られるエネルギー体が爆発するような瞬間が見られる。

スパイダーマンと自由の女神、落下、と来て思い出されるのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも楽しめるアトラクション『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド』だ。このアトラクションでは、ドクター・オクトパスが反重力装置を発明し、エレクトロ、ホブ・ゴブリン、ハイドロマン、スクリームと共に自由の女神像を盗む。ゲストは女神像の頭部と共に宙に浮き上がり、そして落下するという体験ができる。

また、予告編の0:15では地下鉄と正面衝突しそうになるすんでのところを回避する描写があるが、USJの『ザ・ライド』でも、トラックと衝突しそうになるというよく似た構図がある。

落下するMJ

予告編の終盤、自由の女神像のもとでスパイダーマンがヴィランたちと戦う場面では、MJが落下するという展開が確認できる。これは、スパイダーマンのコミックの重要な悲劇の再現だ。

コミックでは、ピーターの恋人グウェン・ステイシーがグリーンゴブリンによって落下死するというエピソードが知られており、これは『アメイジング・スパイダーマン2』でも描かれた。これを踏襲するなら、ピーターはMJを救えず死なせてしまうという展開が待っていることになる。直前にピーターが「全員は救えない」と発するセリフも意味深である。またトム・ホランドは本作について、「ダークで悲しい」「残酷」と予告していたこともある。


この予告編は様々な可能性について考察させられる、情報量の多い内容となった。今度もさらなる新情報が明かされることも期待できそうで、公開まで楽しみが続きそうだ。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2022年1月7日、日本公開。


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