「結婚も子育ても仕事も、全部やりなさい」 音楽業界60年を迎える湯川れい子氏が考える女性の働き方

11月18日(月)7時10分 オリコン

日本の音楽業界に貢献した女性をたたえる「Women in Music Lifetime Legend Award」を受賞した湯川れい子氏

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 音楽評論家・作詞家の湯川れい子氏が11月1日、日本の音楽業界に貢献した女性をたたえる「Women in Music Lifetime Legend Award」を受賞した。この業界で働き始めて来年60年が経つという湯川氏に、女性の働き方について、これまでの経験と自身の考えを聞いた。

——今この時代に、女性の活躍を後押しする賞を受賞したことについて、どう感じていますか。
【湯川】多様性のある生き方を認めないと、今の時代は生きていけないでしょうね。とくに音楽業界には必要。女性の視点が必要になってきていますから。LGBTの流れもそう。昨年から今年にかけて、映画でクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』やエルトン・ジョンの『ロケットマン』がヒットしたのも、ここへきてやっとという感じです。

——これまでに、女性だという理由で嫌な思いをしたことはありますか。
【湯川】嫌な思いは女でも男でもありますからね。女性だからということはありませんが、音楽業界も男社会でしたから、働きにくさを感じたことはあります。たとえばシンディ・ローパーのヒット曲「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」は、日本でも1984年に発売されて大ヒットしたんですけど、当時の邦題「ハイ・スクールはダンステリア」に対して、シンディはものすごく怒りました。「そんな意味で作った歌じゃない。単なるディスコ音楽と思わないでちょうだい」と。そしてその5年後に、DREAMS COME TRUEの「うれしはずかし朝帰り」がヒットしたんですよね。

——1989年の発売でした。
【湯川】ついこの間シンディが来日したとき、改めて当時のことを聞いてみました。なんでそんなに怒っていたの?と。そしたら彼女は、何で朝帰りしたら女だけ怒られるのって話してくれました。日本ではお嫁にいけなくなるって怒られるのよって言うと、「どうして?私は朝まで歌を歌っていたわ。朝まで会議をしていた人もいるだろうし、どうして女だけが怒られるのよ」と話すんです。さらに、「つまり男性に襲われるとか、軽くみられるとか、そういうことでしょ。でも危ないのは治安の問題。だって、すごくおいしそうなリンゴがあったとして、それを黙って持っていったらその人が罰せられるべきよね。リンゴが罰せられるのはおかしいでしょ」と。私も同感です。あれから35年以上経っても、まだリンゴが罰せられる社会だと思います。日本の働きにくさも、そこなんですよね。

——日本の企業の役員クラスには、女性が少ない印象です。
【湯川】働き方改革がどうであれ、音楽業界はどうしても夜遅くなってしまうことがありますし、そんな場所に女性がいると使いにくいとか、会場のイスでもどこでも寝てくださいというわけにはいかないと思います。本当はいいのにね。それから、女性は根回しが効かない、ということもよく聞きます。そのときは「わかりました」と返事をしても、翌日に「やっぱり違うと思います」って。それは素晴らしいことで、忖度を防いで社会の腐敗を防ぐということにつながります。私は、意思決定の場に女性が3分の1は、いて欲しいと思っています。

——日本でも、女性が公平に活躍できる場が増えてほしいです。
【湯川】脳学的な視点からみると、女性はいくつもの作業を同時にこなすのが得意なんですよね。女性は、ぴょんぴょん飛び跳ねるうさぎを、二兎も三兎も同時に追えるんですよ。だから私はよく、「ITだけであきらめるな」と言います。結婚も子育ても仕事も、全部やりなさい、両立をしなさいとね。

——すべてを頑張ってしまってダメになる女性も多いようです。
【湯川】それは、プライオリティをはっきりさせておけばいいこと。ただ、そのときに間違ってほしくないのは、それは自分が選んでいるということ。その責任を感じることです。とくに生まれてくる子どもに100%の責任はないから、子どもを育てる環境を必ず作ってあげるという責任は、忘れないでください。

※「Women in Music」とは、1985年にアメリカで非営利団体より設立。100人を超えるボランティアが、北米を中心に世界約15ヶ所で運営を行っている。このたび日本支社「Women In Music Japan」(WIMJ)が設立され、日本でのアワード開催は「Sync Summit〜」と共同考案で行われた。11月1日、東京・Future SEVENで行われたイベント「Sync Summit Tokyo 2019」にて、湯川れい子氏が第1回目の「Women in Music Lifetime Legend Award」受賞者となった。

オリコン

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