映画界激震の「怒りの降板事件簿」 勝新太郎、菅原文太など

11月22日(金)16時0分 NEWSポストセブン

勝新太郎vs黒澤明のバトルは映画史に残る(時事通信フォト)

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 来春スタートの朝ドラ『エール』の脚本家(林宏司氏)の降板がNHKから発表(11月5日)され、クランクイン前の降板に「異例の事態」と報じられているが、芸能史を振り返れば、世を騒がせた「降板劇」は数多い。


 例えば、映画界では超大物同士の衝突もあった。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した黒澤明監督の『影武者』(1980年公開)で、主演の勝新太郎が、黒澤監督の怒りを買って降板を余儀なくされたのだ。当時を知る芸能レポーターの石川敏男氏が語る。


「黒澤監督は徹底的に細部まで自分の意図した絵を求めます。絵コンテの段階で勝新を想定して、細かく動きをイメージして撮影に臨んでいた。それに対して、勝新は“自分をどう撮るか”にいちいち口を出したいタイプ。黒澤監督からすると、これが面白くなかった」


 勝がリハーサルで台詞をそのまま言わず黒澤監督が激怒することも多々あったという。


「両者主張を譲らず、最後は黒澤監督が『オレの言うことが聞けないなら辞めてもらう』と、勝新を降ろしたんです」(石川氏)


 勝の後任に選ばれたのは仲代達矢。『影武者』は“世界のクロサワ”健在を世界に示す作品となったが、試写を見た勝は「俺がやっていたらもっと面白かった」と語っていたという。


 その黒澤監督にも、降板を強いられた苦い経験がある。日米合作映画『トラ・トラ・トラ!』(1970年公開)の製作に参加したが、スケジュールが大幅に遅れたため、撮影途中でアメリカの映画会社・20世紀フォックスに解任されてしまったのだ。


「黒澤さんの細部へのこだわりが強すぎたため、スタジオスタッフがストライキを起こすなど、禍根を残す降板劇となりました」(映画関係者)


 菅原文太も、巨匠・山田洋次監督の映画『東京家族』(2013年公開)の主役を降りている。『東京家族』は小津安二郎監督の名作『東京物語』のリメークで、山田監督のデビュー50周年を飾る作品として製作がスタートした。


「小津作品で笠智衆が演じた父親役に起用されたのが文太さんだった。しかし配役発表の15日後に東日本大震災が発生し、製作は延期に。その後、『思いが熱いうちに再開したい』と言う山田監督と、仙台出身で『再開はまだ早い』『シナリオも練り直したほうがいい』という文太さんとの間で意見が合わなくなり、最後は文太さんが降りてしまった」(別の映画関係者)


※週刊ポスト2019年11月29日号

NEWSポストセブン

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