座長・浅野忠信もアイデア提案、『刑事ゆがみ』こだわりのドラマ作り

11月23日(木)8時10分 オリコン

木曜劇場『刑事ゆがみ』で“凸凹刑事コンビ”を演じる、浅野忠信(左)と神木隆之介 (C)フジテレビ

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 現在放送中の木曜劇場『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)は、犯罪者の心の闇を解いていく天才偏屈刑事と、正義感と上昇志向が強い腹黒刑事の凸凹バディが難事件に挑む刑事ドラマ。主演を務めるのは、民放連ドラ初主演となる浅野忠信だ。本作には、挑戦的な要素がふんだんに盛り込まれているが、それには、座長・浅野の存在が大きく作用しているという。プロデュースを手がける同局の高田雄貴氏に、製作の舞台裏を聞いた。

◆男性を主人公に置きつつも、木10枠の本質はブレていない

 F2(35歳〜49歳の女性)、F3(50歳以上の女性)層をターゲットに、女性を主人公に据えることの多い木曜劇場だが、『刑事ゆがみ』の主人公は男性。「なぜ男性が?」と尋ねられることが多いと笑う高田氏だが「軸はブレていない」と話す。

 「一緒にプロデュースする藤野(良太)さんやメーンで演出を務める西谷(弘)さんと、『これまで刑事ものは男性による男性のための作品が多かったけど、男性による女性のためのドラマをやったらどうだろう』と話したことから、今回アプローチを工夫することになりました。そのため、浅野さん演じる弓神適当、神木隆之介さん演じる羽生虎夫のキャラクターの掘り下げを行ったのです」(高田氏/以下同)

 井浦秀夫氏による原作漫画では、弓神という人間が際立って描かれている。ドラマではさらに原作を加味し、変な上司とそれに振り回される部下によるバディものへと昇華させた。高田氏いわく、「新しいヒットバディを目指した」作品だ。

 弓神は相手に警戒心を与えず対象の闇を引き出し、そこに歪みを見つけるスタイル。そこに、これまでナイーブな役柄を多く演じてきた神木を投入し、“腹黒”の要素をプラス。キャラクターに深みを持たせることで物語に奥行きを与え、また、そこはかとなく漂う男の色気を演出した。

 原作ものの抱える葛藤として、実写化する際にどこまで原作に手を入れるかという命題が浮かび上がる。実写用に内容を変えることで成功した例もあるが、原作ファンから総叩きに遭う例も決して少なくない。

 「今回、原作者の井浦先生とお話をした結果、一番外してはいけないのは弓神という男のあり方だと脚本家、監督、プロデューサーで徹底共有しました。弓神は、ほかの人なら偏見や先入観で固まってしまうところを、多面的に見て1つの真実に辿り着いていく人物です。そこを守り、その上で挑戦を盛り込むことは井浦先生も認めてくださった。結果、原作ファンからも好意的な反応をいただいています。

◆カタカナ表記のエンドロールは浅野の発案

 また、座長の浅野が放った言葉が本作をさらにチャレンジングな作品にする後押しとなった。

 「始まる際、浅野さんは『率先して怒られることをやっていこうよ』と話してくれました。これは浅野さん流の『皆で挑戦していこう』という言葉。例えば、刑事ドラマは誰が犯人かという“WHO”で考えることが多いのですが、本作ではなぜその犯行に及んだのかという“WHY”を重視。あえてわかりやすい構造にしなかったのもチャレンジの1つです」

 挑戦的な作品を目指し、多くの「遊び」も盛り込んだ。例えば第5話では、これまでは漢字表記だった浅野の名が、いきなりカタカナの「アサノタダノブ」表記でエンドロールに登場。その後、男たちに絡まれるヒズミ(山本美月)を「謎の男性」が助けるというラストシーンが続いて放映された。

 この「リンク」がSNSなどで話題となり、視聴者が多くの推測を寄せた。なお、このカタカナ表記のアイデアは、浅野本人と現場での談笑中に生まれた提案だった。

 「SNSの発達によって、ドラマに伏線や謎を織り込むと、視聴者が深読みしてくれる流れが生まれました。これは過去、学校や職場でドラマの感想を話し合うスタイルが、インターネット上でやり取りする形に変化したことを表します。そうした看過できないSNSの発信力を活かすため、本作では記者出身のSNS専用ディレクターも起用。

 投稿する写真の撮影など、キャストの皆さんが積極的に参加してくれたり、ユニークなアイデアをくれたりしているので、とてもやりやすく、ありがたいです。今でも紙媒体や広告のパワーのほうが強いのですが、コストパフォーマンス的に侮れない存在になっていると私は考えています」

 オリコンの週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』が毎週、放送後に調査するドラマ視聴者満足度「オリコンドラマバリュー」では(100Pt満点)、初回から77Ptと好スタートを切っていたが、話数を重ねるたびに視聴満足度が上昇。77Pt(1話)→84Pt(2話)→80Pt(3話)→82Pt(4話)→90Pt(5話)と、ほぼ右肩上がりで推移している。物語の展開とともに、満足度の行方にも注目したい。

文/衣輪晋一

◆Profile/高田雄貴氏(たかだゆうき)

 1984年生まれ。2009年にフジテレビジョンに入社。2015年に森川葵主演の『テディ・ゴー!』で初プロデュース。以降、『OUR HOUSE 』(16年4月期)、『Chef 〜三ツ星の給食〜』(16年10月期)などの作品を手がけ、現在は藤野良太氏と共に『刑事ゆがみ』をプロデュースする。

(『コンフィデンス』 17年11月27日号掲載)

オリコン

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