脚本家「怒りの降板事件簿」 大河、仁義なき戦い、金八先生

11月24日(日)16時0分 NEWSポストセブン

倉本聰も降板経験者(時事通信フォト)

写真を拡大

 来春スタートの朝ドラ『エール』の脚本家(林宏司氏)の降板がNHKから発表(11月5日)され、「異例の事態」と報じられているが、過去には『エール』と同じように、脚本家が降板したケースがある。NHK大河ドラマ『勝海舟』(1974年)の倉本聰氏だ。


 主演の渡哲也が病気のために降板し、倉本氏がキャスティングに奔走したが、それが仇になったという。


「倉本氏は見事に松方弘樹を口説き落としましたが、NHKのディレクターたちが反発したんです。台本の読み合わせにも参加して緩急や間の取り方を指導する“倉本流”も、『演出の領域に踏み込む行為だ』と受け入れられなかったと、倉本氏が自著で明かしています」(テレビ誌ライター)


 菅原文太主演の国民的映画『仁義なき戦い』でも、シリーズ5作目『完結篇』(1974年公開)で脚本家の降板劇があった。


「『完結篇』はシリーズ5作目。それまで描かれていた第二次広島抗争は第4部の『頂上作戦』で終焉していましたが、東映はシリーズの大ヒットを受けて続編を決定した。しかし、脚本の笠原和夫氏は『第4部で終わっている』と主張し、脚本の執筆を拒否したのです」(ベテラン映画関係者)


 ドラマでは、『3年B組金八先生』(TBS系)の脚本を25年間にわたって書き続けた“金八の生みの親”こと小山内美江子氏が、2005年の第7シリーズ途中で降板。当時75歳だった小山内氏の「体調不良」と発表されたが、「小山内氏とTBSの間で、作品の目指すべき方向性に溝が生まれていた」とも報道された。


 第7シリーズを機に放送時間が夜10時台に変更されたことについて、小山内氏は制作発表の場で、「正直言って気に入らないとプロデューサーに申しました。中学生が夜中に渋谷で遊んでいるのはおかしいと言いながら、夜10時からドラマを見ろとはいかがなものか」と苦言を呈しており、後にインタビューで「金八はもうやらないほうがいい」とも発言している。


 深田恭子主演のドラマ『女はそれを許さない』(2014年、TBS系)は、『君に届け』や『近キョリ恋愛』などの話題映画を手がけてきた映画監督・熊澤尚人氏が演出を担当することで話題になったが、クランクイン直前に熊澤氏が降板。


「役柄の設定について深田から変更要請が入り、熊澤氏と衝突した」と報じられている。芸能レポーターの石川敏男氏が語る。


「降板劇に共通しているのは、役者と制作陣双方の“こだわりの強さ”ゆえだということです。全力で取り組んでいるからこそ意見がぶつかる。むしろ降板騒動があまり起きなくなった最近のテレビや映画界は健全ではないと思いますね」


 ぶつかり合いを乗りこえた先にこそ、良質な作品が生まれるのだろう。


※週刊ポスト2019年11月29日号

NEWSポストセブン

「降板」をもっと詳しく

「降板」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ