『東ラブ』のドラマ演出家「振られる女の美学を撮りたかった」

12月2日(金)16時0分 NEWSポストセブン

『東京ラブストーリー』演出家の永山耕三さん

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 大ブームとなった柴門ふみさんの漫画『東京ラブストーリー』。その25年後を描く続編『東京ラブストーリーAfter25years』が女性セブンで連載中だ。


 月9で放送されたドラマ版は、「月曜の夜は街からOLが消える」とまでいわれるほどの人気を博した。その演出家であるフジテレビの永山耕三さんは、このドラマをきっかけに『愛という名のもとに』や『ロングバケーション』など数々の人気ドラマを手がけた。表参道、中目黒…東京のキラキラした場所をふんだんに詰め込んだドラマ制作秘話を聞いた。


 * * *

 ドラマ化にあたっては、赤名リカを主役にしました。さとみを主役にしたハッピーエンドではなくて、リカの敗者の物語。「振られる女の美学」を撮りたかったんです。


 舞台は1990年代前半の東京でした。あの頃の東京はかっこよかったんですよ。渋谷、青山、中目黒、恵比寿あたりで撮影しました。


 表参道で三上とさとみがキスをするし、中目黒の会社でカンチとリカが働いている。ぼくの思う東京のど真ん中で撮っていました。


 その一方で、時代性を入れることも忘れませんでした。放送した1991年は、バブルが弾けた直後なんです。それまでのトレンディードラマの主人公のマンションって、普通の会社員なのにやたら豪華じゃないですか? 『東京ラブストーリー』はもう少し現実に戻してみようと、完治やリカの部屋は、ワンルームにしました。完治の部屋には炬燵があります。炬燵でみかんを食べるシーンがある。だから、そんなにトレンディーではないんです。


「カンチ、セックスしよ!」というせりふが話題になりました。あの頃、まだ「エッチ」という言葉もなかったから、スタッフの間で、


「セックスってテレビで言ってよかったっけ?」

「でも言っちゃいけないことはないんじゃないの?」


 なんて話したことを覚えています。


〈月曜の夜は街からOLが消えるとまでいわれ、社会現象になったこのドラマ。永山さんがそれを感じたのは、小田和正の歌う主題歌『ラブ・ストーリーは突然に』の発売日だった〉



 ドラマの第4話放送に合わせて主題歌のCDが発売されたんです。発売日にレコード会社の担当者から「売り切れです。注文が殺到してます」と言われたんです。


 当時20万枚いけば大ヒットといわれていたのが、その日の注文だけで60万枚と、大騒ぎになった。そのとき初めて「このドラマは当たってる」と実感しました。


 最終回に近づくにつれて、「リカとカンチを別れさせないで」という声がすごく多くなっていったんです。実は、ふたりが結ばれる結末も考えたんです。でも、やっぱり、別れて終わる最終回にしました。


 赤名リカが、潔く敗者の美学で去って行ったから、多くの人の心に残るドラマになったのだと思います。


 柴門さんの作品は、どこかにありそうな日常を描いている。宇宙人は出てこないし、主人公がタイムスリップなんてしないし。ただ、その平凡な日常の中にとんでもない女性のキャラクターが出てくるんです。それが魅力です。


※女性セブン2016年12月15日号

NEWSポストセブン

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