映画『彼女が好きなものは』前田旺志郎インタビュー「セクシュアルマイノリティについて深く考えた」

12月3日(金)20時25分 All About

映画『彼女が好きなものは』は、浅原ナオトの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)の映画化。本作で主人公の友人、亮平を演じている前田旺志郎さんにインタビューをしました! 

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『彼女が好きなものは』の前田旺志郎インタビュー

前田旺志郎さん
映画『彼女が好きなものは』は、ゲイであるという自身のセクシュアリティに悩む高校生の純(神尾楓珠)が、告白してきた紗枝(山田杏奈)と付き合ってみるものの、同性にしか恋愛感情を抱けないために起こる彼女への罪悪感、本当に好きな男性を思う気持ちの切なさと共に、LGBTQを取り巻く問題にもしっかりと向き合った青春映画です。
(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
この映画の中で、純の親友・亮平を演じているのが前田旺志郎さん。亮平は、親友がゲイであることを知らなかったり、片思いしている紗枝が純と付き合うことになったり、彼の周囲で激変する人間関係に戸惑いながらも、決して笑顔を絶やさない真のナイスガイ!
そんな亮平をどう作り上げていったのか、また前田さんの俳優生活や大学生活についてお話を聞きました。

親友のセクシュアリティに悩む難役に挑戦

—亮平役は草野監督のワークショップで決まったそうですが、どのようなワークショップだったのでしょうか?
前田旺志郎さん(以下、前田)
来年制作される映画のワークショップとしか聞かされていなかったんですが、ワークショップで使った台本は、この映画の脚本の抜粋でした。僕は亮平役だけではなく、いろんな役を演じましたし、参加者それぞれがさまざまな登場人物を演じて、お芝居をまわしていきました。
ワークショップはとにかく楽しかったです。ただ、絶対にイケる!という自信はなかったので、出演が決まったときは「良かった〜!」とホッとしました(笑)。
—亮平くんはとてもやさしく温かい人柄で誰もが好きになる、この映画の良心のような存在ですが、同時に自分の周囲で起こるさまざまなことに心が揺れる難しい役だと思います。役作りについて、苦労した点などありませんでしたか?
前田
そうですね、亮平はちゃんとまわりに気を遣える根っからのいい子で、周囲に合わせていく力や適応能力が高い男の子だと捉えて演じました。
難しかったのは、親友の純がゲイだと知ってから「これからどう接したらいいのか」と悩むところ。いつもと同じように接しているけど、いつもとは微妙に違う。僕は亮平の悩みに共感できたので、とても苦しかったです。
正直、いまでも答えは見つからないです。亮平を演じて、セクシュアルマイノリティの人とどう接するべきかなど調べたりしたのですが、どれもしっくりこないんです。
(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
—難しい問題ですよね。
前田
はい。「なんでだろう?」と考え続けて、これは人と人との間に生まれる感情こそがいちばん大切なのではないかと思いました。
普段、学校の友達と話していても、価値観や考え方の違いは起こるじゃないですか。それでも接し方が変わることはないですよね。だから、友達の恋愛対象が男性か女性かというだけで、相手を見る目が180度変わるっておかしいと思うんです。ゲイという言葉で人を括ることにも違和感があります。
亮平にとって大切なのは、安藤純と高岡亮平として向き合うこと。恋愛対象が男性でも女性でも、ずっと仲のいい友達の純であることは変わらないと思うので、そこを大切にした方がいいんじゃないかと思いました。

神尾楓珠くんとは共演をきっかけに友人関係に!

—純を演じた神尾楓珠くんとは初共演だそうですね。
前田
はい。共演をきっかけにすっごく仲よくなりました。撮影が終わっても連絡を取り合っていますし、プライベートで会うこともあります。彼はめちゃくちゃ面白い人ですよ。
—親友役ということで、撮影に入る前からコミュニケーションをとるようにしていたのですか?
前田
役の中で友達関係を演じる俳優さんとは、いつも撮影が始まる前に食事に行ったり、自分から話しかけるようにしたりしています。
今回もそうですね。コロナ禍の前だったので、同じクラスの小野雄介役の三浦獠太くんとはバスケをやったり、もんじゃ焼きを食べたり。そんな風にコミュニケーションをとっていたので、楓珠とも自然に仲良くなりました。
左が神尾楓珠さん、右が山田杏奈さん/(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
—亮平が片思いをしている紗枝役の山田杏奈さんとも同じような感じで?
前田
山田杏奈さんは、この映画で共演が3回目なんですよ。今までに2回ドラマで共演していたので、すでに仲はよく、撮影で会ったときは「また会ったね、元気だった?」みたいな感じでした(笑)

LGBTQを真正面からとらえた画期的な青春映画

—完成した映画を観た感想はいかがですか?
前田
そうですね、社会全体のセクシュアルマイノリティに対する偏見や間違った気遣いが散りばめられていて、刺さるというか、考えさせられる映画だと思いました。
当事者の人たちの後押しができるかどうかわからないけど、自分のことが好きになれたり、勇気を持てたりできる映画であってほしいと思います。当事者でなくても自分事としてとらえるきっかけになればうれしいです。

お芝居のゾーンに入る瞬間が幸せ

—前田さんのキャリアについて伺います。子役から始まって、「まえだまえだ」でお兄さんの前田航基さんとコンビを組んで芸人活動をされていたけど、いまは俳優業がメインですよね。
前田
はい、いまはお芝居の仕事に専念しようと思っています。きっかけは、いつの間にか、お芝居の魅力にハマっていって、演じることが楽しくてたまらなくなったからですね。
いま大学生なので、学業とお芝居の両方に取り組んでいますが、どちらも楽しいので充実しています。
—前田さんにとって、演じることの楽しさとは? 
前田
アドレナリンが出る瞬間というか、本番のカメラがまわり、集中して芝居をしている中で、予想もしていなかった感情が芽生えてくる瞬間があるんですよ。
撮影のとき、演じている僕らのまわりには、カメラマンさん、照明さんなど、技術のスタッフさんが常にいるじゃないですか。日常のシーンでも、現場は日常とはかけ離れているのですが、ときどき、カメラなど周囲の状況が自分から全部消えて、役として地に足がついて、感情からセリフが自然と出てくる瞬間があるんです。
ある種のゾーンに入った瞬間というか、その瞬間に出合うと本当にうれしくて、自分はなんて幸せなんだと思うんです。
映画よりも大人っぽい印象の前田さん
—お芝居の神様が降臨するのでしょうか?
前田
降りてくるというより、自分の中で感情がウワーっとせり上がってきて、頭で考えていることを制圧してしまう感じです。それがずっと続けばいいのですが、まだまだそこまでの実力はないので。
ただ、ギャンブルじゃないですけど、中毒性があって「次は来るかも、次は来るかも」と思いながら演じてしまう自分がいます。そういう邪念があるうちは来ないと思いますけど(笑)。

100歳になってもお芝居を楽しむことが目標!

お芝居について熱く語る前田さん
—将来、こういう俳優になりたいという青写真はありますか?
前田
今と同じくらいお芝居が楽しめたら、それでいいなと。求められないと続けられないので、続けられたら、それだけで幸せです。
でもお芝居を楽しく続けていくためには、今のレベルのお芝居を続けていても飽きが来たり、楽しくなくなる瞬間が来たりすると思うんです。
だから、年齢を重ねるごとに実力もステップアップしていき、80歳、100歳になっても、そのときの年齢にあった芝居の実力をつけて、楽しさを維持して、今と同じ「お芝居が楽しい!」という状態を死ぬまで続けていくのが、僕の目標です。

登場人物の誰かに共感できるはず!

(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
—では最後に、この映画を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをお願いいたします。
前田
青春映画といってもキラキラ系とは違い、観たあとに「楽しかった!」と思える映画ではないかもしれないけど、さまざまなメッセージというか問題提起がされている作品なので、たくさんの人に観ていただきたいです。
たぶん、純の気持ち、紗枝の気持ち、亮平や小野の気持ちなど、誰かの気持ちに当てはまるんじゃないかと思いますし、さまざまな問題に向き合おう!という気持ちをこの映画を通して持っていただけたらと思います。

プロフィール

前田旺志郎(まえだ・おうしろう)
2000年12月7日、大阪府生まれ。2007年から2歳年上の兄・前田航基とともにお笑いコンビ「まえだまえだ」として活躍。俳優としても子役時代から活動しており、是枝裕和監督作『奇跡』(2011)では兄弟で主演。映画『レミングスの夏』(2017)で映画単独初主演。NHK連続テレビ小説「おちょやん」(2020)の演技も好評を博す。2021年は『キネマの神様』『うみべの女の子』にも出演している。
スタイリスト:九(Yolken)
ヘアメイク:佐藤健行(HAPP’S.)

作品情報

『彼女が好きなものは』
(2021年12月3日より、全国ロードショー)
監督・脚本:草野翔吾
原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)
出演:神尾楓珠、山田杏奈、前田旺志郎、三浦獠太、池田朱那、渡辺大知、三浦透子、磯村勇斗、山口紗弥加、今井翼
(文:斎藤 香(映画ガイド))

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