パナマ文書に「山口組」関係企業の名

12月5日(月)7時0分 NEWSポストセブン

流出文書に意外な名前も(パナマ文書HPより)

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 六代目山口組の新年行事「事始め式」が13日に開催されるのを控え、緊張が高まっている。山口組大分裂から2回目の“正月”を迎える中、抗争の行方を左右する要素として注目されているのが、その「資金力」だ。暴排条例(暴力団排除条例)の施行によって、暴力団のシノギが細っているといわれる一方で、彼らは新たなカネ集め手段を強化していた。


 2つの山口組抗争のニュースでは双方の幹部の動向や、敵対組織への襲撃が大きく取り上げられるが、暴力団の抗争では、資金力こそが最大の武器となる。暴力団事情に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏が言う。


「バブル以降、山口組をはじめとした暴力団は、資金力で勢力を拡大してきた。旧住友銀行に山口組の企業舎弟が入り込んで3000億円を闇に流したといわれるイトマン事件(*)など、“裏の世界”の住人であるはずのヤクザはカネの力を使って表の世界にかかわってきた。バブル時代、地上げなどシノギの幅を広げ山口組の有力幹部は100億円以上の資産家となった。暴排条例の全国施行(2011年)もあり、近年はそうした派手なシノギは鳴りを潜めてきた」


【*1991年、大阪の商社「イトマン」を舞台に不透明で巨額な絵画取引や不動産融資が行なわれ、3000億円以上が消えた巨大不正経理事件。河村良彦社長、伊藤寿永光常務、不動産管理会社代表の許永中氏らが特別背任容疑などで逮捕された】


 が、ここに来て再び活発化の兆しが見えつつある。理由は2つの山口組抗争だ。シノギで勝る、カネのある方が最後は勝つと言われており、双方が巨額の資金を貯め込んでいる。現在、その大きな拠点となっているのが、海外なのである。


◆きれいなカネ


 今年4月、中米パナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン(租税回避地)にペーパーカンパニーを持つ顧客などの情報は「パナマ文書」として話題になった。


 大企業や富裕層による“税逃れ”に注目が集まり、当初約230人の日本人の名前が公表された。だが、それは氷山の一角だった。


 その後NHKが調査を進めたところ、716人の名前が確認された。その過程で明らかになったのは、裏社会との繋がりである。


「ペーパーカンパニーの代表者の中には、盗難パスポートを悪用され、何者かに勝手に名前を使われた日本人もいた。素性を隠したい富裕層の“隠れ蓑”として利用されたと思われる。そうした手口は裏社会特有のものだ。NHK報道では触れなかったが、暴力団がタックスヘイブンの仲介に関与している可能性を指摘する声は多い」(捜査関係者)


『パナマ文書』(徳間書店)の著者で経済評論家の渡邉哲也氏が指摘する。


「パナマ文書には六代目山口組、神戸山口組双方の中核幹部が関係する企業の名前があったと言われています。多額の資金運用を考えた時、彼らがタックスヘイブンを利用する可能性は高い」


 暴排条例施行後、暴力団構成員は銀行口座や証券口座は開設できなくなり、取引も禁止された。だが、タックスヘイブンを使えば、その縛りから逃られる。それが暴力団の“海外進出”の背景にある。渡邉氏が続ける。


「タックスヘイブンの英領ヴァージン諸島などでは、実体のわからない法人名義で銀行口座を作ることができる。まず香港やシンガポールに“踏み台”として会社を作り、そこを法人株主にした会社をヴァージンに設立し、その法人名義の口座を作る。この口座を利用すれば、個人名はわからないし税金もかからない。“きれいなカネ”として日本国内での取引にも使える仕組みなのです」


◆非合法な稼ぎが増えた


 山口組には海外へのキャピタルフライト(資産逃避)を活用してきた歴史がある。1998年の外為法改正によって、日本居住者は自由に海外で銀行口座を開設して、日本国内にある現預金を海外の銀行口座へ送金することができるようになった。その直後、山口組の五菱会(当時)が、ヤミ金で稼いだ約100億円を、タックスヘイブンを経由しスイスの金融機関に預け、マネーロンダリングしていた。


「当時、スイスの銀行は守秘義務が強く、暴力団にとっては理想的なキャピタルフライト先だった。2003年に五菱会会長の梶山進氏が逮捕されたことで、五菱会の預金は没収(スイスと日本当局で折半)されたが、その頃からカネを海外へ逃がすという手法は山口組の常套手段になっていった」(前出・捜査関係者)


 その傾向はさらに強まっているといわれる。前出の伊藤氏が話す。


「組員は高学歴化し、大卒で英語や中国語、ロシア語などを操るケースも珍しくない。組長はそうした人材を積極的に除名して、カタギとして海外の資金運用を任せている。中華系ファンドが日本の一等地の不動産を買い漁っているが、そのファンドの運営者は日本のヤクザだというケースもある。


 日本の法律や条例に締め出された結果、グローバルに暗躍する現代ヤクザが生み出された。そうした現代ヤクザたちが、今の山口組抗争の資金源を担っているのです」


 今や日本国内の暴力団抗争と世界を揺るがした機密文書がリンクする時代なのである。


※週刊ポスト2016年12月16日号

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