国内自動車メーカー競合8社が手を取り合うクリスマス企画

12月7日(水)16時0分 NEWSポストセブン

 ディケンズの『クリスマス・キャロル』に代表されるように、クリスマスにまつわる物語や“クリスマスの気持ち”といったお話には、人が普段の立場や利己的な考えから離れて行動することや、他者を思いやることの幸せが描かれるものが多い。


 12月5日そんな“クリスマスの気持ち”を思わせるような、普段の立場を超えたプロジェクトが立ち上がった。スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、富士重工業、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業という、国内自動車メーカー8社が共同で、「Drive Japan」プロジェクトをスタート。


 普段は競合する会社として、常に他社より良いものを、1台でも多く——としのぎを削る企業同士が、どうして手を取り合うことになったのか。そのきっかけは、やはり3月11日の東日本大震災。この取り組みを発表した資料の一部を紹介する。


「2011年という年は、3月の東日本大震災という痛ましい天災に見舞われた年であり、震災を契機に様々な価値観が転換する年だったといえます。


 自動車業界においても、震災による直接的な被害や、震災で津波に呑まれていったクルマの映像を目のあたりにしたことによる精神的な影響など、様々な形で影響を受けることになりました。


 また一方で、震災後に日産自動車のツイッターアカウントがトヨタ自動車や本田技研工業のツイッターアカウントにオープンに話しかけたことが、ツイッター上で歴史的やりとりとしてユーザーの話題になるという出来事もありました。


 競合企業である自動車メーカー同士がソーシャルメディア上でオープンにコミュニケーションするということも新しい取り組みでしたが、それを見ていたユーザーが想像以上に盛り上がってくれるなど、従来では考えられないソーシャルメディアならではのコミュニケーションの形を体験することとなりました」


 こうしたユーザーの反応などを契機に、8社のWeb担当者が自然発生的に“業界横断でできること”を考えはじめ、企画案の呼びかけから3か月——競合企業の業界横断という背景を考えると、異例のスピードで発足に至ったという。


 震災以降、「絆」という言葉が盛んに語られ、人が繋がるということ、誰かの想いに応える人がいること、今自分ができることをするということ——そういったことの大切さを改めて感じる機会が、多かったのではないだろうか。そんな中で数多く生まれたであろう「絆」のひとつが、この競合8社による「Drive Japan」プロジェクトだった。


 まず具体的な活動としてはTwitterやFacebookにも連動した「Drive Heart」というサイトを公開、「クリスマスにまつわるクルマのエピソード」を投稿・共有する企画を行なっている。


 12月20日18:00まで投稿・投票が可能で、各入賞者は12月22日開催予定の受賞パーティに招待されるという。ちなみに「感動部門」「恋愛部門」「オモシロ部門」と3つの部門があり、12月6日現在、続々とクリスマスらしい“ほっこり”エピソードが投稿されており、すでに読むことが可能。


 中には“これはクリスマスのエピソード……かな?”といったお話が混じっているのも、ご愛敬。日本ではイベントばかりが強調されがちだが、お祭りの雰囲気から「今日はクリスマスだから」と寛大になるのも、“クリスマスの気持ち”のひとつだからだ。


 実はこのプロジェクト「今後、『Drive Japan』がどういう展開をしてゆくか、全く想定出来ない状況ではありますが、主旨ご賢察の上、温かいご支援を賜れば幸いです」と、この規模とは思えないコメントを発しているが、そのコメントにむしろ“今、何かやらなければ!”という気持ちから始まった……というリアルさを見ることができる。


 また「今後この『Drive Japan』への共感パートナーとして自動車メーカー以外の方々にもご参加いただくことで、個別の自動車メーカーでは実施が難しかった活動を行っていければとも考えています」と、さらなる広がりに意欲を見せている。


『クリスマス・キャロル』の主人公・スクルージは恐ろしい幽霊たちとの旅を経て、生き方を変え幸せな人生をおくる。震災という大きな災厄を経て、競合という枠を超えたこのプロジェクトが、今後どんな変化を生むか?

NEWSポストセブン

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