M-1、歴代王者審査員に賛否 中川家礼二、増田には高評価も

12月8日(火)16時0分 NEWSポストセブン

M-1で優勝したトレンディエンジェル。敗者復活からの優勝は史上2組目(吉本興業のHPから)

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 5年ぶりに復活した「M-1グランプリ 2015」(テレビ朝日系で6日放送)。前回までは、島田紳助松本人志ほか、中田カウスオール巨人などのビッグネームが審査員に名を連ねていたが、今回“大御所なき審査員席”に座ったのは、歴代M-1王者の中から選ばれた9人の“中堅”お笑い芸人たちであった。


 大会はトレンディエンジェルの優勝で幕を閉じたが、終了後もネット上では、審査員に対する賛否両論さまざまな意見が飛び交っている。あるテレビ関係者はこう話す。


「世代交代という意味では評価できますが、コメントを求められた審査員が自分自身の笑いを取りに行くなど、漫才をしっかりと批評する空気が薄かったのは残念でした。ちゃんと批評していたのは、中川家の礼二さんとますだおかだの増田英彦さん、パンクブーブーの佐藤哲夫さんくらいだったんじゃないでしょうか。ほかの審査員は”勢いがあった”など、ふわっとしたコメントばかりでした。優劣をつける立場なのに、その根拠を説明しない人が審査をしているのにはやはり疑問が残りました」


 礼二や増田、佐藤には、ネット上にも絶賛の声が出ている。とくに第1ラウンドを1位通過したジャルジャルに対してほかの審査員より低い点を付け「細かい言葉のラリーがあったんですけど、大きなネタの枠があって、付録でそういうの付けて貰えるとより一層漫才っぽくなった」と指摘した礼二には、「さすが礼二」「わかりやすい」と評価が上昇中だ。


 では、お笑いの専門家は歴代王者の審査員についてどう見たのか。お笑い評論家のラリー遠田さんは、自身の見解をこう述べる。


「これまでのM-1は、ダウンタウンの松本さんの存在があまりにも大きく、松本さんが笑ったら『これは面白い漫才なんだな』という雰囲気になりやすかったと思います。そして全体的な審査もその空気の中で決まっていくようなところがあった。今回はそういうことがなく、審査員全員が公平な立場で、自分の意見を曲げることなくジャッジしていました。その結果、以前よりも客観性の高い審査になったと思います」(ラリー遠田さん、以下同)


 確かに以前のM-1では視聴者から支持の高かったコンビが審査員の評価が低く、優勝できなかったり、途中で落選したり、ということもあった。今回、もっとも笑いをとったトレンディエンジェルが優勝したことは、視聴者の声と同じ評価を審査員が下したことになる。


 しかし、年の離れた世代だからズバッと言えることも、世代が近いと言いづらいこともある。審査が全体的に甘くなったということはないだろうか。


「松本さんや紳助さんのように頂点まで登りつめた人ならともかく、歴代M-1王者はまだ競争のさなかにいる人たちですから、自分たちのハードルを上げるような厳しいことを言いづらかったという事情は確かにあると思います。でも、だからと言って厳しい点をつけないわけではありませんでした」


 ジャッジはあくまでシビアだったと、ラリーさんは言う。では、満足感が得られなかった人に向けては何が足りなかったのだろうか?


「これまでの審査員はコワモテで権威のある人が多く、彼らに『つまらない』と言われた芸人は二度と立ち直れないんじゃないかというピリピリムードがありました。緊張感を求めていた視聴者にはそこが物足りなく感じたのかもしれませんが、5年前と違って今は安心してテレビを観たい人が増えているので、ちょうど良かったんじゃないでしょうか」


 今年のM-1の視聴率は、関東地区17・2%、関西地区21・4%。前回を下回ったとはいえ、テレビを取り巻く環境や、開催時期(従来は12月20日以降)が異なることを考えれば、好視聴率だったという評価もできる。


「もう一つ、審査員の特徴として、『自分ができないことは言わない』『できることは言う』という傾向がありました。中川家の礼二さんが、ジャルジャルさんのネタに対して、”大きなネタの枠があれば漫才らしくなった”と指摘したのは『自分はそれができている』という自信があったからこそだと思います」


 来年以降も同じような形でM-1が開催されるのであれば、王者といえど芸を磨いて「できること」を増やしていくことが求められそうだ。

NEWSポストセブン

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