亀岡市暴走事故 加害者からの謝罪はなし、被害者遺族の無念

12月8日(金)7時0分 NEWSポストセブン

多発している自動車事故に被害者の心情は

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「裁判では『謝罪したい』と殊勝なことを言い続けていましたが、判決後は事故を起こした本人たちはもちろん、家族を含めて一切なしのつぶて。たった一度の謝罪もなく、手紙すらきたこともない。これでは、殺された私の娘が浮かばれません」


 涙ながらにそう憤るのは、2012年4月に京都府亀岡市で起きたワゴン車暴走事故で長女の幸姫(ゆきひ)さん(当時26才)を亡くした中江美則さん(54才)。この事故では、孫の蒼愛(そあら)さん(当時6才)も重傷を負った。


 幸姫さん含め3人が死亡、7人に重軽傷を負わせた重大事故を起こした少年たちは今、事故現場の至近で平穏な生活を送っていた──。


 今年6月、神奈川県大井町の東名高速道路でワゴン車の夫婦が死亡した追突事故で、横浜地検は10月31日、高速道路上に車を停車させた石橋和歩被告(25才)を危険運転致死傷罪で起訴した。


 事故直前、夫婦の車を執拗に追跡し、進路を塞ぐなどした一連の妨害運転が死傷事故を招いたと判断。逮捕容疑の自動車運転処罰法違反(過失致死傷)より罰則が重い同罪を適用した。


 この事故で亡くなったのは、静岡県在住の萩山嘉久さん(享年45)と妻の友香さん(享年39)。同乗していた長女(15才)と次女(11才)は奇跡的に軽傷だった。嘉久さんの母親、萩山文子さん(77才)は事故当初、本誌・女性セブンの取材にこう話していた。


「今回の件は、事故ではなくて殺人事件だと思うんです。事故は無意識でも起こるけど、事件には悪意がある。犯人は自分の意思で2人の命を奪ったんです」


「(過失致死傷罪での逮捕に対し)法律は誰のためにあるのでしょうか。危険運転致死傷罪の適用を求めて、署名運動も考えています」


 文子さんの想いが汲まれるように、石橋被告には危険運転致死傷罪が適用されたが、同事故が世の教訓になることはなく、その後も無謀なあおりや妨害運転による交通事故が頻発している。


 10月26日、東京都足立区の環状7号線で、自営業の男性(47才)が前を走る車を執拗に追跡。最終的に車を追い越し、前方を塞ぐように停車させ、運転手に鞭打ちのけがを負わせた。男性は危険運転致傷とひき逃げ、恐喝の容疑で逮捕されている。


 翌27日には、静岡県富士市の県道で、自動車整備業の男性(53才)が乗用車を運転中、わざと急ブレーキをかけて後続のオートバイを転倒させた。バイクの運転手は右足を骨折する重症を負い、男性は危険運転致傷の容疑で逮捕された。



 11月27日には、北海道登別市の国道で、別の車と追い越し合いを繰り広げていた車が信号無視で交差点に突っ込み、通行中の専門学校生が死亡する痛ましい事故も起きている。


◆「こんなバカげた話がありますか」


 こうした状況を悲痛な想いで見つめているのが、冒頭の中江さんだ。2012年4月23日午前8時、亀岡市で集団登校中の児童と保護者の列に軽自動車が激突。前述の通り、中江さんの長女・幸姫さんを含む3人が亡くなった。


「事故当時、幸姫のお腹には赤ちゃんがいた。この世に生まれることなく、幸姫と一緒に天国に旅立ちました。当たり前の日常が、一瞬で崩れ去りました」(中江さん)


 ハンドルを握っていた少年A(当時18才)は居眠り運転のうえ無免許。しかし危険運転致死傷罪には問えず、刑の軽い過失運転致死傷罪での立件となった。


「少年は無免許運転を日常的に繰り返していましたが、それがかえって、裁判では『運転技術がある』と判断されました。こんなバカげた話がありますか。無免許運転が危険運転にならないのはおかしいと裁判で何度も訴えましたが、司法には聞き入れてもらえませんでした」(中江さん)


 Aは懲役5〜8年の不定期刑で服役中だが、同乗していた少年BとC(ともに当時18才)、無免許と知りながらAに車を貸した少年D(当時18才)は、道路交通法違反幇助の容疑で逮捕され、少年院での保護処分相当として家庭裁判所に送致。3人とも執行猶予が付き、現在は実家こそ出たものの事故現場の近くで生活している。


 近所であるがゆえに、中江さんの耳には聞きたくない情報が入ってくる。


「CとDは昨年1月まで近所の工務店で働いており、“被害者に慰謝料を払うために働かなあかん”と職場では話していたそうです。しかし彼らから慰謝料など一銭も受け取っていません。なにしろ謝罪にさえ来ないのですから。Cは事故後、裁判中でさえフラフラ遊び歩いていた。近所の人に咎められると“おれは車に乗ってただけやから関係ないやん”と言ったらしい。あ然とする言葉です。


 裁判では、少年の親たちも“すいません”と頭を下げていましたが、判決が出たら知らんぷりです。彼らの実家は私の家からも近く、時々親とすれ違うこともありますが、目も合わせません」(中江さん)


 この事故で次女(当時7才)を失った小谷真樹さん(35才)もこう語る。


「少年の親たちは、裁判中は“これからはしっかり子供たちの監督義務を果たしていきます”と言っていたのに、その義務も全く果たしていない。仏壇に手を合わせることさえしないのです。心底怒りを感じます」


※女性セブン2017年12月21日号

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