【インタビュー】『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督「『スター・ウォーズ』は、新たな世界の中で自分の居場所を見つけていく、地図のような物語」

12月8日(金)14時41分 エンタメOVO

ポーグとBB-8を手にしたライアン・ジョンソン監督

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 シリーズ最新作スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が、12月15日から全国ロードショーされる。公開を前に、来日したライアン・ジョンソン監督が、“今話せる範囲”でインタビューに応じた。



−監督は、本作のオファーについて「途方もない興奮と同時に恐怖も感じたが、熟考の結果、心の声に従った」と語っていますね。『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督も同じようなことを言っていましたが、名作を引き継ぐという点で、相当なプレッシャーがあったのでしょうか。

 最初に、監督をやると決めたときは、ものすごいプレッシャーを感じました。何しろ『スター・ウォーズ』の監督なのですから。それは、自分が子どもの頃から思い入れのあった世界だからこそ感じたプレッシャーでした。ところが、実際に脚本を書き始め、撮影前の準備、撮影と進んでいく中で、そうした作業に夢中になったおかげか、プレッシャーは一切感じなくなりました。こうした感覚や変化は、映画作りにおいてはどの作品でも同じです。それから、今回はとても優秀なスタッフ、キャストと一緒に、良質なプロセスを踏みながら作ることができたことも大きかったと思います。ところが映画が完成した今は、公開前特有の「果たして観客は満足するだろうか」というプレッシャーを感じています(笑)。日ごとにそれが強まってきています。

−今回は予想外の展開があるということですが…。

 今回の脚本は、前作『〜フォースの覚醒』(15)のキャラクターの名前を書くところから始めました。それから映画を見て、自分が各キャラクターについて知り得たこと、感じたことを書き出してみました。そして、それぞれのキャラクターがどの方向に向かっていくのかを、自分の思うままに脚本化していきました。すると自分でも予期せぬ展開になっていったのです。ですから、初めから「ここはちょっとひねって驚かしてやろう」などと思って脚本を書いたわけではありません(笑)。でも最終的には、自分で合点がいくところにたどり着きました。

−フッテージ(素材映像)を見る限りでは、「善と悪」「光と闇」のせめぎ合い、「最後のジェダイ」など、ネガティブな面が感じられ、少し不安も覚えたのですが。

 フッテージを見た人が、怖さや不安を感じたのなら、それは逆にいいことだと思います。現実の世界と同じように、次に何が起こるか分からないというのは、ストーリーテリングの上では大事なことです。「『スター・ウォーズ』の新作が来ました。またいつもと同じだね」となるよりは、その方が面白いと思います。今回は予期せぬサプライズもありますが、同時に、見ながら満足のできる、感情的にもインパクトのある、楽しくて笑える作品になっていたらうれしいです。

−ローズ役のケリー・マリー・トランの抜てき理由は?

 今回の新しい重要なキャラクターは、ローラ・ダーンとベニチオ・デル・トロとケリーが演じた3人だけです。その中で一番大きな役どころはケリーが演じたローズです。僕は『スター・ウォーズ』のヒーローだとは想像できないような、意外性のある人をキャスティングしたかったのです。その意味では、ケリーは僕の分身でもあります。彼女は心がとてもオープンで、すてきな精神の持ち主で、それがローズという役を通して画面から感じられると思います。そんな彼女を皆さんに知ってもらえることを楽しみにしています。

−では、監督にとっても伝説の存在だったという、マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーの印象はいかがでしたか。

 最初はとても奇妙な感じがしました。マークの場合は「今、僕はルーク・スカイウォーカーと話をしている!」という自分の心の声が消えるまでに随分時間がかかりました(笑)。そんな感じで、初めはすごく緊張しましたが、最終的にはとてもいい関係が築けました。実はキャリーとの方が早く打ち解けることができたんです。それは、彼女が女優であるだけでなく作家だったということが大きかったと思います。僕も脚本を書くので、言葉を愛する者同士として、すぐに良好な関係を築くことができました。わずかな間でしたが、彼女と一緒の時間を過ごせたことに感謝しています。

−監督は、オリジナルの『スター・ウォーズ』(77)のどこに魅力を感じたのでしょうか。

 僕らの世代が『スター・ウォーズ』に魅かれた理由はたくさんあると思いますが、大人になった今、改めて振り返ってみて思うのは、全ての『スター・ウォーズ』シリーズの根本は、子どもから大人になる物語だったということです。ジョージ・ルーカスも「ジョセフ・キャンベルの『英雄の旅』を基にした」と語っていますが、それはヘラクレスのようになるための旅ではなく、子どもが思春期を経て大人になっていく、そして新たな世界の中で自分の居場所を見つけていくという、地図のような物語だと僕は思っています。大人になる過程の中で、自分の内面にある力に気付き、それをどう使うのか、誰を信頼するのか、自分の居場所をどう見つけていくのかという物語なのです。僕はオリジナルのそうしたところに魅かれました。今度の作品も、オリジナルと同じように、外側はアドベンチャーだけど、内面ではそうしたものを描いているということが伝わればうれしいです。

−今回、日本の映画から影響を受けた部分はありますか。

 ルーカスが黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(58)などの影響を受けたということは、もう書き尽くされていますし、皆さんもよくご存じだと思います。デザインや美術の観点から見ても、例えばダース・ベイダーのマスクから全体的な風景まで、日本の文化から強く影響を受けています。それは『スター・ウォーズ』シリーズの大切な一部ですから、今回もそれを踏襲しています。それに加えて、僕は宮崎駿監督作品のファンで、ファンタジーと自然を調和させるような世界観がとても好きなので、それをポーグという新たなキャラクターや、ルークが住む島など、この映画のあちこちに反映させています。ポーグはちょっとトトロに似ているでしょ?(笑)。

−では、最後に日本のファンに一言お願いします。

 間もなく『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を皆さんにお見せすることができます。僕にとっての良質な『スター・ウォーズ』映画とは、映画を見終わった後で、宇宙船の模型やグッズを持ちながら、早くこれで遊びたいと思わせてくれるようなものです。ですから、今回も、いろいろと感じたり、笑ったりしながら、「あー『スター・ウォーズ』を見たなあ」と思っていただければうれしいです。それこそが僕たちが目指したことなのです。

(取材・文・写真/田中雄二)

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