冒険番組増加の背景に『イッテQ』 衝撃映像撮る価値を再認識

12月10日(日)7時0分 NEWSポストセブン

『イッテQ』に出演するイモトアヤコ

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ナスD」の活躍で話題を呼んだ『陸海空 地球征服するなんて』(テレビ朝日系)を始めとして、今、冒険バラエティーが花盛りだ。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の名物企画「DASH島」、世界の危険地帯の旅行者に同行する『クレイジージャーニー』といったレギュラー企画や、灼熱の砂漠や北極圏などで100時間生き延びる『全世界極限サバイバル』、無人島から誰が一番早く抜け出せるかを競う『脱出島』(以上TBS系)といったスペシャル番組も放送。“企画の冒険”、ムチャをしなくなったテレビ界がリアルに冒険する背景を探ってみた。


◆世界の衝撃映像を自ら撮りに行く「価値」


 最初に考えられるのはやはり『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のヒットだろう。これまでも『水曜スペシャル』(テレビ朝日系)の「川口浩探検隊」や『進め!電波少年』(日本テレビ系)の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」など冒険系の番組はあったが、『イッテQ』が始まった2007年、「世界」を視座に置いた番組は、『ザ・ベストハウス123』『奇跡体験!アンビリバボー』(以上、フジテレビ系)『ザ!世界仰天ニュース』『世界まる見え!テレビ特捜部』(以上、日本テレビ系)など、海外の衝撃映像を紹介するものが占めていた。

  

 そんな中『イッテQ』は、「巨大マグロ1匹でスシ何貫できる?」「ヒマラヤの高山に咲く“高嶺の花”はどんな花?」「海底火山で温泉卵できる?」といった「疑問」を切り口にした新機軸でスタート。海外のテレビ局から映像を借りることが当たり前になっていた時代に、衝撃映像を自ら撮影しに行くことの価値を業界に改めて認識させた。以後、『ヤレデキ!世界大挑戦』(TBS系)『世界衝撃映像社』(フジテレビ系)『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)といった類似番組が増加、淘汰もされていく。


◆極限の中でスターを生みやすい


『イッテQ』のイモトアヤコ、さらには『無人島0円生活』(テレビ朝日系)のよゐこ・濱口優のように、人気者の誕生によって番組が軌道に乗り、高視聴率を記録したことも、テレビマンが冒険企画に再び注目するきっかけとなった。実際、これまで多くの「冒険スター」が誕生し、鮮烈な印象を残した。


 2011年から2016年まで約5年放送されていた『なんでもワールドランキング ネプ&イモトの世界番付』(日本テレビ系)の中で、部族に会いに行くシリーズ企画に挑戦したオードリー・春日俊彰。アフリカ・コンゴに住む「ワゲニア」族のもとを訪れ、激流に網をかけて行う伝統漁を体験したとき、足を滑らせて濁流にのまれてしまう。しかし春日はバタフライで川べりにたどり着き、住民を驚かせていた。


 マツコ・デラックスと高田純次が出演していた『世界衝撃映像社』(フジテレビ系)の中でも、平成ノブシコブシが部族の家にホームステイするシリーズ企画にチャレンジ。普段は吉村祟の陰に隠れて目立たない相方の徳井健太が、異様なほど部族に打ち解け、また料理の説明をされる前に口にしたり、アルコール度数40度の自家製ビールで酔いが回り、部族に頭を叩いてツッコミを入れたりするなど才能を開花させた。


 無人島から脱出し、有人島に早くたどり着く『脱出島』(TBS系)。第4弾まで放送されている人気スペシャル番組だが、ここで「絶対王者」と称されているのが、大学時代登山部で全国大会にも出場するなどアウトドアに精通している、あばれる君だ。火おこしや海水蒸留術、流木とヤシの葉からイカダを作る手並みなど、驚異のサバイバルテクニックを披露している。そうした系譜の延長線上にいるのが現在のナスDこと『陸海空』の友寄隆英氏なのだろう。


◆「ムチャブリ」ができなくなった業界に残された「サバイバル」


 考えてみると、命の危険もそれほど感じず、何不自由なく暮らせる我々日本人にとって、不便ながらも過酷な状況に身を置き、創意工夫で生き延びる姿に惹かれるという部分も大きいだろう。


 第3弾まで放送されている『全世界極限サバイバル』は、前述の通りタレントたちが過酷な環境で100時間生き残る番組だ。一昨年の放送では、KAT-TUN・上田竜也がマイナス50度の北極圏に投げ出され、食料が尽きた挙句、アザラシの死骸を拾って食べるという衝撃のシーンがオンエアされた。さらには昨年正月の特番では、タンザニアでのサバイバル生活に挑んだNEWS・ 増田貴久が、ノドの渇きを潤そうと、専門家から事前に教わっていた飲料確保術にトライ。それは、「ゾウのフン」。植物を多く食べる象のフンには多くの水分が含まれているため、そこから搾り取ると水が出るというのだ。増田は濁った水を煮沸・消毒、意を決して飲み干していた。


 ビンタといった「罰ゲーム」などキツいことをやらせればクレームが舞い込み、少しでも「作為」が見え隠れすれば「ヤラセ」という声が殺到する「ムチャブリ」禁止時代。喜怒哀楽など、「生」がむき出しのリアクションを引き出すには、笑い本位ではなく、ドキュメンタリーの装いの中で自然にそれが見える「冒険」という形にたどり着かざるを得なかったのかもしれない。今後はどんな企画が生まれ、どんなスターがはばたくのか楽しみにしたい。(芸能ライター・飯山みつる)

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