進次郎氏が角栄と重ねて見られるのは政治状況が似ているからか

12月10日(日)16時0分 NEWSポストセブン

未来の総理候補と角栄氏の類似の背景は

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 衆院選での大車輪の活躍を機に、政界の中心人物に躍り出た感のある小泉進次郎氏。その勇往邁進ぶりは昭和を駆け抜けたあの田中角栄の黎明期を思わせるものがある。出自も風貌も大きく異なる2人が、なぜ重なって見えるのか。(文中一部敬称略)


 政治的実績を冷静に比較すれば2人には天と地ほどの開きがある。角栄研究で知られる政治評論家の小林吉弥氏がいう。


「角さんの政治家としての能力が桁違いだったのは、現在の進次郎と同じ4回生くらいまでの若手時代にダム法、道路法、港湾法、河川法や高速道路法、新幹線整備法、そして国土総合開発法など、日本の高度成長を支えたインフラ整備の基礎となる法律を議員立法で1人でつくったことだ。


 議員立法は法案づくりから与野党、霞が関の各省との利害調整の根回しを全部やらなければならないからとてつもない労力と能力が必要になる。それを次々にやってのけた。過去も現在も、おそらく将来もこんな政治家は出ない。若くして大臣、幹事長になったのも、官僚ににらみが利いたのも、金ではなく、根底に東大出のエリート官僚や政治家たちに“この男の政策能力にはかなわない”と思わせる実力があったからです。


 確かに進次郎は他の政治家と比べれば目の付けどころが違うし、演説もうまい。しかし、自分の政策を実現したことがない。どんなにメディアに脚光を浴びようと、実績だけを見ても角さんと比べる方がおかしい」


 それでも、進次郎が角栄の姿と重ねて見られるのは、2人が背負っている時代の社会と政治状況がそっくりだからではないだろうか。


 角栄の時代は高度経済成長末期、工場が大都市圏に集中し、公害など成長のひずみが大きくなり、地方は開発に取り残されて格差が拡大していた。国民は佐藤長期政権に倦み、政治の転換を望んでいた。そこに角栄が工場を大都市から地方に移転させることで人口と産業の再配置をはかる列島改造論を掲げて颯爽と登場し、国民は熱狂的に迎えた。


 そして現在、アベノミクスで都市と地方の格差が広がり、正規と非正規の格差が固定化して社会は閉塞状況に陥っている。国民は安倍長期政権に飽き、時代と政治の転換を託せる新たなリーダーを求めている。


「角さんのカリスマ性は鋭い発言と、言葉に発したことは実現するという実行力。進次郎は若さとルックス。彼がいることで古い自民党から新しい自民党に政治が変わっていくという期待感を高めている」(作家・大下英治氏)


 実力の有無とは無関係に、まさに「時流」に乗ったという見方である。だが、角栄は列島改造論で高度成長の是正だけでなく、〈20代、30代の働きざかりは職住接近の高層アパートに、40代近くになれば、田園に家を持ち、年老いた親を引き取り、週末には家族連れで近くの山、川、海にドライブを楽しみ、あるいは、日曜農業に勤しむであろう〉と目指す社会の具体的な未来予想図を示し、国民に夢を与えた。


 進次郎は2020年の東京五輪後に日本は深刻な危機がくると将来を見据えて国民に警鐘を鳴らしているものの、処方箋と目指す社会の具体像は全く見えない。角栄の姿を追って2万枚の写真を取り続け、小学5年生の進次郎を撮影し、その眼光に思わず射すくめられた経験も持つカメラマン・山本皓一氏が指摘する。


「角さんは若いころから15年、20年先のビジョンを持ち、地図に線をひくと高速道路や新幹線もその通りに日本は変わっていった。進次郎とは時代が違うといえばそうかもしれないが、角さんの目にはどんな困難も実現させるという強い意志の輝きがあった。はたして進次郎は小学生の時のあの眼光の強さをまだ持っているだろうか」


 山本氏はもう一度、ファインダーを進次郎に向けてみるつもりだという。


※週刊ポスト2017年12月15日号

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