NHK『あさイチ』で「きょうだいへのモヤモヤ」特集。見栄っ張りな兄は、サラ金・義父母・実母のお金で贅沢三昧。残った母の財産をめぐり兄妹で知恵比べ。「家庭内オレオレ詐欺」を撃退!
2024年12月11日(水)7時0分 婦人公論.jp
(イラスト:たつみなつこ)
2024年12月11日放送の『あさイチ』は「みんなで語ろう きょうだいへのモヤモヤ」を特集。大人になってからも感じるきょうだいへのモヤモヤに迫ります。そこで困ったきょうだいの体験を綴った『婦人公論』2016年10月11日号の記事を再配信します。
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国税庁が発表した「令和3年分 相続税の申告事績の概要」によると、被相続人数(死亡者数)の増加とともに相続財産の金額も年々増加しており、平成24年は合計117,248(億円)だったのに対し、令和3年には合計196,794(億円)となった。高齢者の貯蓄の動機として、子や孫の生活水準低下を心配して「遺産として子孫に残す」という考えを持つ人も少なくないのでは。だからといって、親に頼りすぎていたり、あまりにも無茶な金遣いをしたりする人はどうしても目につくもの。それが知り合いともなれば、気が気ではありません。野田静枝さん(仮名・静岡県・主婦・63歳)は、実の兄の行動やお金遣いに長年思うところがあったそうで——。
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返済ができなくなると妻の父親に泣きつく
他人の家の台所事情をとやかく言うのは、私の趣味ではありません。でも、たった一人の兄とその家族のこととなると、いささか気になります。傍目には財政破綻しているのに、何事もなかったかのように金満生活を続けているのですから……。
独身時代からサラ金のお世話になっている兄は、結婚後も利用し続け、何度も返済困難に陥っています。でも、そのたびに周りの人たちから窮地を救ってもらい、綱渡りの日々。
後から知ったことですが、兄はサラ金の返済ができなくなると、妻の父親に泣きついて肩代わりをしてもらっていたそうです。バブル絶頂だった頃のこと、兄嫁の父は黙って何度でも出してくれたとか。
とっくに離婚されていてもおかしくないのに、サラ金返済くらいではビクともしない兄嫁の両親の経済力のお陰か、兄嫁の慈悲深さ(?)のお陰か、子どもたちを母子家庭で育てたくなかったのか、それとも深い愛情か──。
その理由はわかりませんが、とにかく見捨てられずに、孫を抱けるまで現在も家においてもらえているのです。妹の私としてはありがたいことで、兄嫁家族には感謝の念に堪えません。
見栄っ張りな兄の生活
兄は一人娘の女性と社内恋愛で結婚。時はまさにバブルが始まった頃でした。市内一の老舗ホテルで結婚式を挙げ、ハネムーンは豪華にヨーロッパへ3週間。
お嬢様育ちの兄嫁は専業主婦となり、夫婦でブランド品を身にまとい、国内感覚で海外旅行三昧と、バブリーな新婚生活を謳歌していました。
その夫婦の間に生まれた子どもたちもバブルの申し子。毎日のように公園代わりのデパート通いを続けていました。そのうち夫婦で、とある宗教にはまって相当額を貢ぎ、そのうえ長男と次女を数年間その活動に参加させてお金をつぎ込んだりと、信じられない生活ぶりだったのです。
しかし、金銭にまつわる数々の窮地を救ってくれていた兄嫁の父が他界。それならと、今度は実の母親に泣きついてきました。
「あんたに借りているわけではない」
母にお金を無心に来る兄に私が意見すると、きまって怒り、言ってくるセリフ。子どもの頃からお金にルーズだった兄は、もらった小遣いは落とすか使い果たすか。
大人になってもルーズなままで、ボーナスが出れば使い切ってくる。人がいいというか、気前がいいというか、見栄っ張りというか、誰にでも奢りたがるのです。
そのくせ、お金がなくなると「父さんには内緒にして」を常套句に母に援助を要求してくる。営業職のサラリーマンの収入など知れたものです。その割に交際費もかかり、生活が派手となれば当然の結果。
最初は10万単位だったものが、徐々に要求額が増え、100万単位になったときに、ようやく母から相談を受けました。
母の財産をめぐり兄妹で知恵比べ
そんな火の車生活でも、子ども3人をお金のかかる都会の私立大学に入れ、さらには海外留学(遊学?)までさせた兄。そのすべてが、兄嫁の母がスポンサーだというから驚きです。しかし兄は子どもへの仕送りどころか、自分の小遣いにも困り、会社の集金に手を出す始末。当然クビです。
そうなると、いよいよ頼みの綱は母のお金。兄が来るたびに大量の諭吉さんが財布から消えていったのでした。でも、母親というのは甘えてくる息子ほど可愛いものなのですね。父が亡くなるまで兄の浪費ぶりを内緒にし、その後も貸し続けたのでした。
母が自分の過ちに気が付いたのは、貯金が半分になったとき……。でも、「時すでに遅し」というものです。
最近では、母に生前贈与を要求してくる兄。最初は私と兄妹ゲンカもしましたが、今は知恵比べです。私は、90歳を過ぎて認知症状態の母に成年後見人を付けて「家庭内オレオレ詐欺」に対処。今のところ私が優勢です。
しかし、兄もさることながら、その息子も恐ろしい。
「じいちゃん、ばあちゃんのお金は残しておいても、あの世には持っていけない。だから使い切ったほうがいい」
「お金を使うのは、子どもと孫の権利」
そう言い放つ甥は、まるで兄のコピー。金銭感覚がまったくもってそっくりなのです。そのくせいつも「お金がない。お金がない」と言っているから呆れます。正社員で働いているのに、給料やボーナスはいったいどこにいってしまうのでしょうか。
今や、兄一家の豪華な生活を支えていた兄嫁の母もパーキンソン病で寝たきり状態に。兄嫁が同居して在宅介護をしていますが、保険の利かない漢方薬に高級流動食、介護保険外サービスと、贅沢介護を実行中です。
年金生活の母を在宅介護しているつましい我が家は、介護保険内のサービスしか使っていませんが、それでも結構充実しています。
時代は変わったのに、兄一家の頭の中はいまだにあの頃のまま……。
声を大にして言いたいのです。
「いつまでも続くと思うな、バブルと親のすね」
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