カジノ法案からあらためて考える日本のギャンブル事情

12月11日(日)7時0分 NEWSポストセブン

いよいよ「カジノ法案」が成立!?

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 コラムニストでデイトレーダーの木村和久氏が、近頃気になるニュースをピックアップし独自の視点で読み解きます。今回は、もうすぐ成立の見通しのIR法案、いわゆる「カジノ法案」について考察。



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 いよいよIR法案が、近々可決される雰囲気となってきました。「カジノ解禁」だから、ルーレットやバカラ賭博が、どこでもできると思っている人がいますが、それはちょっと早とちりです。


 今回のカジノIR法案は、2020年の東京オリンピックに向けて、カジノを含めた統合型リゾートを作るための準備法案です。2020年頃には、統合リゾートの中にカジノがオープンする確率は高いですが、あくまでそのエリア内、つまり、限定的カジノ解禁にすぎないのです。


 一部の野党はギャンブル依存症が増えるから、カジノ反対と言っていますが、それは全くナンセンスだと思います。日本は30兆円弱もの売り上げを誇る、世界一のギャンブル大国であり、いまさら統合型リゾートが1〜2つ増えても、大勢に影響はありません。ちなみにパチンコの売り上げが約23兆円なのに対して、世界のカジノの総売り上げが約18兆円です。世界中のカジノが束になって戦ってもかなわないパチンコって、すごすぎませんか?


 日本のギャンブル依存症の数は、成人の5%弱(厚労省データ)と言われています。これは異常に高い数字で、アメリカですら1.6%、先進国でも2%未満がほとんどです。理由はパチンコ店が全国に、約1万2000軒あるからで、そりゃ、ついつい行きますよね。最近は1円パチンコもあり、実に財布に優しいシステムになっているのです。


 その財布に優しいとは、どういうことでしょうか? ギャンブルには「還元率」という数値が設定されています。つまりお金を払ってギャンブルをした場合、平均的にいくら戻ってくるかという数字です。日本で一番優秀なギャンブルはパチンコで、平均85%の還元率となっています。つまり1000円で遊んだら、850円は戻ってくると…。だからパチンコは、負けたような気がしないまま、なんとなく財布の中身が薄くなっていくのです。


 次に優秀なのは公営ギャンブルで、競輪や競馬、競艇の類は70〜80%の還元率です。最悪なのは、なんと宝くじです。還元率は、約45%とえげつない数字となっています。宝くじは、当せん金付証票法のもとに運営されており、法的にはギャンブルの扱いではありません。一番健全に見えた宝くじが、一番当たらないとは…。道理で宝くじを何万円買っても、儲からないわけです。


 それではカジノの還元率はどうでしょうか? 日本にはないので、外国でやっている例を参考にしますと、カード、ルーレット、スロットなどのトータルで、90〜95%の還元率となっていて、意外と良心的です。もちろん、ディーラーの技量やマシンの設定で、還元率はいかようにも変えられますが、思ったよりは、ぼったくってません。おそらく、日本で還元率80%を割れば、目の肥えた訪日観光客から、クレームがくるのではないでしょうか。これは欧米の慣習に見習い、還元率を上げて運営せざるをえませんね。



 日本のギャンブル文化というのは、ちょっと変わっていて、個人間の賭博は一切禁止しています。ですから有名漫画家が賭け麻雀をして、現行犯で捕まったなんてニュースが、マジで流れてきます。けど公営ギャンブルはOK。パチンコもよし、サッカーくじ、宝くじも大丈夫って、なんだかなあ〜です。ようするに、胴元が地方自治体や指定された企業・団体なら、ギャンブルは公認なのです。それほど、ギャンブル運営は儲かるのです。


 というわけでカジノは、運営側も儲かり、客への還元率も高く、高級イメージもありと三拍子揃っています。さらにカジノは文化として、古い歴史があります。元々はヨーロッパの王侯貴族が始めた遊びのひとつで、世界的に有名にしたのは、イアン・フレミングの小説『カジノ・ロワイヤル』(1953年)です。007の映画にもなりました。モデルとなったのは、モナコの「カジノ・ド・モンテカルロ」(1878年開館)です。映画007シリーズに、何度も登場している宮殿のような館は、荘厳そのもの。お金を持ってないと、ちょっと足がすくみます。なにしろ、モナコは国家予算の半分を、カジノの売り上げで稼いでいたのですから、恐れ入ります。


 そんなゴージャスなカジノ、行くには正装して、ボンドガールみたいな美女に背中の開いたドレスを着せて、ドライマティーニを飲みながらバカラに興じないと…、そんな雰囲気が漂います。やはりカジノは見栄の文化なのでしょう。その見栄の本質とは何か? すなわち、カジノでいくら負けたかを競う、「男気自慢」の世界です。カジノでギャンブル依存症になるなら、某製紙会社のオーナーのように数億円単位で負けないと、豪快とはいえません。ちなみに金持ちは、なんぼ負けても同情されませんから。あしからず。


 カジノの構成ですが、大きく分けて、カード、ルーレット、スロットの3つに分類できます。カードはレートによってプレーする場所が違ってきますが、相手はプロのディーラー、最初は勝てても、最終的にはなかなか勝たせてもらえません。ルーレットも同様に、ディーラーは狙った数字に球を置けるという話もあります。ただルーレットは、勝ち馬に乗る作戦があり、ずっと勝っている金持ちが賭けた場所に相乗りする手法がポピュラーです。これで多少は遊べます。あと一番数が多いスロットマシンですが、日本ではすでにパチスロとして、全国津々浦々にあるので、珍しくもないですね。そもそも、ラスベガスに置いてあるスロットマシンの心臓部分は、日本製が多いと聞きます。


 現実問題として、カジノに行ってハマったとしても、全国に1〜2か所しか設置しないのですから、足しげく通えません。依存症になったら、近所のパチスロでリベンジするしかないのです。流れ的には、カジノが流行ればパチスロも流行る図式が見えてきます。


 …ということで、カジノができても、さほど社会問題にならないと思うのですが、いかがでしょうか。

NEWSポストセブン

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