話題のカスタマーハラスメント 定義が難しい状況

12月12日(火)11時0分 NEWSポストセブン

執拗な謝罪要求はハラスメントになる

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 都内某所の携帯ショップでの出来事だった。60歳半ばと思しき男性が、若い女性店員に詰め寄っていた。


「なんでこんなに待たせるんだ! 責任者を呼べ!」


 その荒々しい声に、店内の客たちが眉をひそめている。しかしそんな周囲の視線も目に入らないのか、男性は10分以上にわたって執拗にまくしたて、頭を下げ続ける店員にも辟易の表情が浮かんでいた──。


 セクハラ、パワハラなど、さまざまな「ハラスメント(嫌がらせ)」が社会問題となって久しいが、最近になってとりわけ取り沙汰されるようになってきたのが「カスタマー(消費者)ハラスメント=カスハラ」だ。消費者の行動・心理を研究する、関西大学社会学部(社会心理学)の池内裕美教授が解説する。


「明確な定義は定まっていませんが、概ね『消費者による自己中心的で理不尽な要求』と捉えられます。取扱説明書を読まずに間違った使い方をして、製品が壊れたら企業に責任転嫁するケースや、執拗に謝罪を要求したり対価を求めたりするケースなどが代表的な行為です」


 犯罪にエスカレートする事例もある。北海道札幌市では11月、タクシーに乗った30代男性が、「遠回りをしている」と運転手に激高。怒鳴りながら運転席を何度も蹴り、防犯ボードを破壊した。ドライビングレコーダーに収められた一部始終は、テレビニュースで何度も報じられた。男性は暴行と器物損壊の罪で略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けている。


 労働組合UAゼンセンが販売、レジ業務などの組合員5万878人に行なったアンケートによれば、「来店客からの迷惑行為に遭遇したことがある」と答えた人は73.9%。迷惑行為が「近年増えている」と感じる人は49.9%に上った。


 迷惑行為として多かったのは「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(16.3%)で、「権威的態度」(15.2%)、「威嚇・脅迫」(14.8%)、「長時間拘束」(11.1%)と続く。


 この問題を考える上で難しいのは「どこからが迷惑行為か」という判断が、店員の受け止め方によって分かれる点だ。「クレーム」や「権威的態度」については、消費者が“正当な主張”と考えているケースもあり、その原因が店員の落ち度だった可能性もある。


 そのギャップは、客と店員の年齢が離れるほど深くなるようだ。シニア世代の男性を取材すると「何を言ってもクレーマー扱いされる」「自分の要求が理不尽とは思えない」という“カスハラ拡大解釈”への不満が聞こえてくる。


※週刊ポスト2017年12月22日号

NEWSポストセブン

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