糖尿病=生活習慣病?実はそうでもないのです。『鉤月のオルタ』作者のレポ漫画より、1型糖尿病とは。

12月13日(水)16時0分 おたくま経済新聞


 糖尿病と言うと、皆さんはどんなイメージがありますか? 多くの人は「生活習慣病」というイメージがあるかもしれません。糖分などの炭水化物の摂りすぎで血糖値が上がったまま戻らない、もちろんそれも糖尿病ですが、実は生活習慣だけが糖尿病の原因ではないというレポ漫画がツイッターに投稿され大きな反響を呼んでいます。(梓川みいな/正看護師)

 『1型糖尿病レポ漫画』というタイトルでツイッター上にレポ漫画を投稿した、漫画家の麻日隆さん。この漫画は、麻日さんが描くオスマン帝国を舞台にした『鉤月のオルタ』を連載している別冊少年マガジン1月号(講談社・12月9日発売)にも掲載されていますが、ツイッターへ投稿するに向けてさらに加筆されたものが掲載されています。









 この漫画の作者である麻日さん自身が、1型糖尿病の患者でありご自身の体験を漫画に寄せています。その漫画の内容とは、

・1型糖尿病と2型糖尿病の違い

・1型糖尿病とはどういうものであるか

・1型糖尿病ではどんな治療をしているか、

・糖尿病のイメージからカミングアウトしにくい1型糖尿病の患者の切実な思いと認知度向上への思い

などが別冊少年マガジンに掲載した内容として2ページにわたって綴られており、さらに後半2ページではツイッターを見ている人向けに加筆された、麻日さんの病気発症までの経過が綴られています。

 ではもう少し詳しく糖尿病について解説していきます。



■1型糖尿病とは

 糖尿病自体は、何らかの原因で血糖コントロールができない状態が続く事によって全身のあらゆる臓器や神経などに様々な症状を引き起こす病気の事を指します。

 1型糖尿病は、自己免疫疾患やウイルスなどにより膵臓のインスリンを分泌する細胞が攻撃される事で起こったり、特発性と言って原因が不明で起こったりする疾患であり、インスリンが自力で作れない状態となってしまう病態です。この「インスリン」というものは摂取した糖分を全身にちょうど良い濃度で届けるために必要なホルモン。

 本来であればインスリンが体内に吸収された糖分をそのまま血液中にダダ流しせず程よい濃度に調整するのですが、全く分泌されない状態である為そのまま消化吸収した糖分がダイレクトに血液中に放出されてしまいます。その結果、高血糖による様々な病気の原因となります。また、調整が全く利かないため体内がエネルギー不足になった時に急激に血糖値が下がり、冷や汗や立ちくらみ、意識消失などの症状が現れます。

 この1型は、糖尿病と診断された全体のうちの数%であり約95%は生活習慣病と言われる2型。このため認知度はまだまだ低い病態です。

 1型の患者さんの多くは子供や若者が多く、90%以上が10台〜20代と言われています。世間一般に糖尿病と言うと不摂生な食習慣と運動不足により発症する2型のイメージが強いため、多くの若者はこの病気をカミングアウトする事をためらいます。血糖測定とインスリン注射が必要不可欠であるこの1型であるがために、スポーツや会食にためらいを持つ人も多くいるのが現状です。

 麻日さんも漫画の中で「ちゃんと血糖値をコントロールできれば普通の人と同じように生きていける。(中略)普通の人のように夢を追いたい。やりたい仕事、やりたいスポーツ。1型だからという理由で諦めたくないのです」と綴っている様に、血糖を測定して必要なインスリンを外から補給する事さえできれば実はそんなにすごく我慢する必要はないのです。ただ、不摂生や暴飲暴食、ストレス過多とならないように気を付ければ普通に生活できるのです。

■糖尿病はどんな症状で治療をしているのか

 糖尿病に気がつくきっかけとなる症状が、多飲、多尿、急激な体重の減少、足がつるなどの神経症状などで、麻日さんもこれらの症状に気がつきつつもまさか糖尿病からの症状であるとは思わず、膀胱炎を疑って受診したのがきっかけ。尿検査や血液検査で糖尿病と告知され精密検査で1型糖尿病であると診断が出たという事です。

 糖尿病を発症すると、大きく分けて高血糖と低血糖の2つの症状による様々な症状が出てきます。このうち怖いのが、低血糖による意識障害や昏睡。また、高血糖状態が続く事による内臓や神経の障害です。

 糖分は程よい濃度であれば細胞にエネルギーを与えるガソリンの様な役割を果たしますが、多すぎると血管や細胞を傷つけてしまいます。三大合併症と言われている腎症、網膜症、神経障害はいずれも回復不能となる事が多く、高血糖が続いてから5〜10年で発症すると言われています。腎臓機能低下による透析や網膜症による視力障害など、深刻な事態に陥る事もあります。また心臓や脳血管にもダメージを与えるため脳梗塞・心筋梗塞など直接命にかかわる病気を引き起こすこともあります。これらを予防するためにはまず糖尿病のうちのどのタイプであるかを正しく診断し、インスリンが必要不可欠である1型と診断されればインスリン補充療法が必要となります。

 現在、血中にインスリンがどの程度必要であるかをセンサーで感知し自動的にインスリン量を調節して投与できるデバイスの開発や針を刺さなくても血糖値を感知したりインスリンが投与できたりするデバイスの開発なども進められております。また、小児の患者に毎日何回も注射しなくても済むインスリンポンプがよく使われています。また、膵臓の移植手術も先端医療として行われています。

■1型糖尿病でもプロスポーツ選手として活躍している人も

阪神タイガースの岩田稔投手は高校2年の冬に風邪を引いたことで1型糖尿病を発症。病気を理由に社会人野球のチーム入りを取り消されましたが、その後社会人ドラフト希望枠で阪神入りをはたし、2017年の第19回ゴールデンスピリット賞を受賞しています。

 また、元Jリーガーの杉山新さんも1型と付き合いつつサッカー選手として活躍し、その闘病生活とサッカー人生を綴った著書も出しています。こうした第一線で活躍しているプロプレイヤーたちも1型糖尿病の啓発活動を行っていますが、まだまだ認知度は低いのが現状です。

 麻日さんの様に個人が実体験を発信する事が容易になってきた昨今ですが、より広く多くの人に知ってもらう為の情報発信と啓発活動はこれからも継続していく必要があります。

<記事化協力>

麻日隆さん(@ryuuasahi )

<参考サイト>

国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター 1型糖尿病の治療について

ノボノルディスク 糖尿病の症状と治療

NPO法人 日本IDDMネットワーク

おたくま経済新聞

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