高額報酬に加え公務員並み年金要求する議員の虫のよい主張

12月19日(月)16時0分 NEWSポストセブン

議員年金復活を目論むその主張とは

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 かつて「役得年金」と批判され、重複加入が可能だった「議員年金」を復活させようという動きが活発になっている。「国民年金だけでは老後の生活ができない」「地方議員のなり手がいなくなる」など、勝手な理由が並んでいる。現在、各地の市議会や県議会が声高に要求しているのが、議員の「厚生年金」加入だ。


 全国都道府県議会議長会総務部の担当者はこういう。


「議長会は議員年金の復活を要求しているわけではありません。知事も市長も厚生年金。あまり都庁に出勤していなかった某元東京都知事だって特別職公務員として公務員共済年金(現在は厚生年金に統合)に加入できていたんですよ。同じように選挙で選ばれる県会議員が加入できないのはおかしい。だから国会に法整備を求めている。地方議員はイメージが悪いから厚生年金に入れないというのは差別でしかない」


 うっかり“議員の厚生年金加入くらい認めてもいいじゃないか”と考えると罠にはまる。実はこれが特権議員年金の復活につながる道なのだ。


 廃止されたかつての「地方議員年金」は、議員が支払う掛け金が6割、税金4割で運営され、議員の負担の方が大きい仕組みだった。しかし、厚生年金の保険料は労使折半だ。議員は政党の職員でも、自治体の職員でもない。厚生年金加入を求めるのならせめて保険料を全額自分で払うというのが筋だろう。


 そうではなかった。


「議員は自治体の住民に雇われているようなもの、当然、保険料の半分は税金で負担するべき」(同前)


 厚生年金加入のついでに、年金保険料の5割を税金で払わせようというのが議長会側の主張だ。これが実現すると、かつての税金4割負担以上のおいしい“議員年金”ができあがるという筋書きである。議員や公務員の特権を追及してきたジャーナリストの若林亜紀氏が指摘する。


「日本の地方議会は平均年間80日間程度しか開かれていない。兼業者も多く、フルタイムで行政の仕事をしている公務員とは勤務形態が違う。しかも、議員はいわば個人事業主でサラリーマンのように誰かに管理されることがなく、たとえ議会に1日も出席しなくても高額な報酬が全額もらえる。


 独立性ゆえ特権が与えられているのに、“年金だけはサラリーマンや公務員などの被雇用者並み”などと主張するのは虫がよすぎる。もし、地方議員が自治体と雇用契約を結んで厚生年金に加入すれば、首長の部下ということになり、知事や市長の行政をチェックするという議員本来の務めを果たせなくなる。自己否定も甚だしい」


 地方議員の中にも、「議員特権と批判された議員年金を復活させ、しかも保険料の半分を役所の財政から出すなど、有権者の理解が得られるはずがない」(無所属の古坊知生・豊島区議会議員)と一部で反対する声があるが、与野党合わせて復活に突き進む大号令にかき消されている。


 ちなみに現在の全地方議員を厚生年金に加入させると、国民の負担は毎年170億円増える。


 どの言い分を聞いても、衰退しているのは議会制民主主義ではなく議員たちのモラルだとはっきりわかる。いくら選挙で「集票マシン」の地方議員に世話になるとは言え、自民党の国会議員たちはこんな言い分に耳を貸して議員年金復活を言い出したのか。


「種明かしは簡単。地方に旗を振らせて地方議員の厚生年金加入を認める法改正をすれば、国会議員も同様にという議論になり、便乗して厚生年金に入れる。地方議員同様、保険料を国民に半額負担させる事実上の国会議員年金を復活できるという計算があるからでしょう」(地方議会関係者)


 年金カット法案を強行採決した国会議員たちが次に国会提出を狙っているのは、自分たちの「議員年金復活」法案になる。


■取材/福場ひとみ(ジャーナリスト)


※週刊ポスト2016年12月23日号

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