北朝鮮「金持ち女性」は制裁下でもリッチな生活…家事代行が増加

2020年1月19日(日)6時50分 デイリーNKジャパン

国際社会の経済制裁が、北朝鮮の人々の暮らしに深刻な影響を与えている。それは、住めるだけで特権層扱いとなる首都・平壌の市民であっても変わらない。


市内の市場は相変わらず人で溢れかえっているものの、現金がないため、モノは一向に売れない。それでも、商売を諦めて市場を去る人が続出している地方に比べればまだマシだ。


このような状況の中、平壌で貧しい暮らしを強いられている人々は、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)など富裕層の家で家事仕事を手伝って糊口をしのいでいると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。


中国の丹東に私事旅行でやって来た平壌市民によると、冬になってから市内のマンションでは、幹部やトンジュの家の洗濯を代行する女性が急激に増えた。


市内中心部でリッチなマンションライフを送っている富裕層は、当然のことながら洗濯機を所有している。しかし、ただでさえ悪い電力事情がさらに悪化する冬場は、洗濯物を手で洗うしかない。それを嫌った金持ちの主婦らが女性を雇い、洗濯をさせているというわけだ。



洗濯をする女性たちは、定期的に客の家を訪れ、洗濯物を回収。手洗いしてアイロンがけした上で指定の期日までに配達する。雇い主の女性たちは、仕上げが少しでも気に入らなければ洗濯する女性をクビにし、評判の良い別の女性を雇う。


手間賃の相場は、一般の洗濯なら重さ1キロあたり1〜2ドル(約110〜220円)、漂白やアイロンがけが必要な高級洗濯なら、1キロで3〜5ドル(約330〜550円)だ。


同様の商売は地方都市にも登場している。


平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、新義州(シニジュ)の富裕層女性が「家庭保母」、つまり家事を代行する人を雇って仕事をさせる例はかなり前からあったと述べた。


幹部やトンジュは正月など人手の要る時期には、働く女性を複数雇い入れる。雑多な家事仕事には1万北朝鮮ウォン(約130円)、料理をするなら最低5万北朝鮮ウォン(約650円)の日給を支払う。


このように個人が個人を雇う行為も、雇われて働く行為も違法行為で、非社会主義現象、つまり当局が考える社会主義にそぐわない行為として取り締まりの対象となる。しかし、仕事をしなければ生きていない状況になっていることもあって、当局は何の対策も取っていない。つまり、表面的なところを取り締まり、根本にある原因をそのままにしているということだ。


情報筋は、皆が平等であるはずの社会主義国北朝鮮で、貧富の差が激しいことを次のように嘆いた。


「食堂では、幹部やトンジュが1食に何百ドルも使っている。幹部は、表では社会主義を守ろうと訴えているが、裏ではトンジュと結託して利益を独占している。そのせいで、わが国(北朝鮮)の貧富の差は、かつての封建時代の地主と小作農との差を超えている」


一方で、国営企業や国の機関に勤めてもせいぜい5000北朝鮮ウォン(約65円)の月給しかもらえない男性に比べ、家政婦の女性は遥かに多く稼いでいるとの見方もある。

デイリーNKジャパン

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