中国経済、10年でGDP2倍に=大胆な構造改革で内需拡大「ネット金融技術、IPO規模などで米国に並ぶ」—アジア開発銀行研究所長

1月22日(月)8時10分 Record China

吉野直行アジア開発銀行研究所長が日本記者クラブで講演。「10年間でGDPが2倍になる。構造改革が進み、輸出主導から内需主導型に転換、高い経済成長の維持が可能となった」と指摘した。写真は講演する同所長。

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2018年1月17日、中国経済に詳しい吉野直行アジア開発銀行研究所長(慶応大名誉教授)が「中国経済とアジア」をテーマに日本記者クラブで講演、中国経済の現状と今後を包括的に分析した。17年のGDP(国内総生産)成長率は前年比0.1%増の6.9%と6年ぶりにプラスに転じた。「10年間でGDPが2倍になる。構造改革が進み、輸出主導から内需主導型に転換、高い経済成長の維持が可能となった」と指摘。「各省に大都市が出現し、北京、上海の景気が悪化しても、大陸の利点を活かし、モンゴルやベトナムなど隣国との経済関係を深めることでやっていける。日本でみているよりは底力がある」と強調した。

中国の経済成長は目標を上回る6%台後半の高い伸びを維持。世界のGDPに占める比率が増大している。10年間でGDPが2倍になる。以前は7%成長が「マスト(下限)」と言われたが、6%台でもすべての面で十分で、社会の不安につながることはない。

アジアの安定的な経済成長のための条件として、中尾武彦アジア開発銀行総裁が挙げている次の条件はすべて中国に当てはまる。(1)政治的な安定とマクロ経済の安定、(2)成長がすべての人に及ぶ政策、(3)中央政府—地方政府の関係と地方債市場、(4)技術進歩・イノベーションを進められる体制整備、(5) 環境保護と安定的なエネルギー供給、(6)金融市場の発達、(7)教育と医療の整備、(8)インフラの整備と国境を越えたインフラ整備、(9)政府活動のガバナンスと透明性—などである。

中国では大胆な構造改革が進み、輸出から内需主導型で高い経済成長率を維持できるにようになってきている。地方の各省に大都市が出現し、北京、上海の景気が悪化しても、大陸の利点を活かし、モンゴルやベトナムなど隣国との経済関係を深めることで発展。実際に現地の状況を分析すると日本で見ているよりは底力がある。

資本移動規制もあって貯蓄率が依然高く、利子率・配当も高い。国外からの借り入れに頼っているラテンアメリカ諸国などと異なり、金融環境は安定。金融資産はGDPの4.6倍もあり、日本の1.5倍を大きく上回る。地方政府や企業の債務問題などの課題を国内でコントロールすることが可能だ。

「一帯一路(海と陸のシルクロード)」構想には多くの国々が参加。日本も協力することになった。AIIB(アジアインフラ投資銀行と連動している。

中国ではIPO(株式公開)投資が増大、伸び率は世界で際立っている。中国のアリババやテンセント、バイドュウなど多くのネット企業が急成長。時価総額で米国のグーグル、マイクロソフト、アップルなどと競うレベルに達しつつある。

中国ではフィンテック(金融技術)が急速に発展している。支払い決済(現金、当座預金、国際送金)、交通機関・旅行の予約、帳簿と会計、ブロックチェーン(皆が同じ帳簿を共有)、ビッグデータの蓄積とその応用展開、金融仲介(預金、貸出、有価証券投資)、投資サポート(ロボアドバイザー)、金融へのアクセス(スマホなど)などで世界最高水準にある。

フィンテックの成長による日本の金融業への影響として、(1)携帯電話・インターネットによる金融商品の購買、(2)世界のさまざまな国で組成される金融商品が日本でも買える、(3)かつては、郵便局や地元の金融店舗に行って金融商品を購入していたが、携帯電話やインターネットがつなげれば、どのような金融商品も買える、(4)世界的な金融規制をしっかりしないと不正が横行(国際ルール必要)、(5)金融経済教育は不可欠、さもなければ、悪い金融商品を買わされる—などが挙げられる。日本にとって最悪のシナリオは、日本の大手金融業が海外に取られてしまうことだ。

中国は多くの分野で米国に並びつつあるが、格差是正など課題も山積。所得再配分政策が必要で、相続税導入など抜本的な税制改革が求められる。(八牧浩行)

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