ロシアと日本が友達になる条件は揃っている!

1月31日(木)6時4分 JBpress

ロシアの首都モスクワで、日本への北方領土返還に関する協議の中止を求め抗議デモを行う人々(2019年1月20日撮影)。(c)Alexander NEMENOV / AFP〔AFPBB News〕

 先般の日露首脳会談ののち、日本では日露両国間の交流進展に悲観的な見方が広がっているように見える。平和条約交渉の先行きが見えにくいからだ。

 ただ、平和条約の話が進まないからといって日露間の交流は停滞してしまうのだろうか。また、停滞してしまってよいものだろうか。筆者はそうは思わない。


広がる日露の交流可能性

 筆者は昨年、本欄で外食産業、ロシアの中小企業の現状、デジタル経済、そして地域間交流の可能性など、様々なテーマで両国間の交流可能性についてお伝えしてきた。

 筆者が自身の業務の中で日露のビジネス交流に取り組んでおり、その中から得られた新たな可能性をお伝えしようとしたものである。

 2019年以降の日露ビジネス交流の流れはどのように進むのだろうか。

 一つのカギは「中小企業間の交流」だ。日露両国の企業数に占める中小企業の割合は高い。日本は99.7%、ロシアも97%が中小企業だ。

 経済の根幹を支える中小企業同士の交流が進めば、両国間の新たなビジネス交流の可能性も拡大する。

 ポイントはそれら中小企業同士の「人の交流をいかに進めていくか」だ。

 人的交流の輪が広がればお互いの顔が見えてくる。近くて遠い隣国・隣人への理解を深める第一歩だ。

 では、人的交流の拡大は具体的にはどのように進めることができるのだろうか。いくつかのキーワードとともに考えてみたい。


地域間交流が加速する

 最初のキーワードは「地域間交流」だ。

 本誌2018年11月27日号(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54713)で筆者は、日露関係においては、経済・ビジネスの文脈では歴史的な転換が始まっていること、これまでロシアとの関係がなかった地域による経済面での交流が次々と生まれている——と述べた。

 その流れは今でも続いている。

 2月4日、ロシア地方政府関係者が大挙来日し、東京でビジネス交流促進フォーラムを開催する。

 ここにはロシア極東、シベリア、ウラル以西の欧州部など8地方から知事を含む地方政府幹部が、自ら各地域の産業ポテンシャルとビジネス環境について語る予定だ。

 広大な国土を持つロシアはどこにどのような可能性があるのか、外からでは見えにくい点もある。

 やや手前味噌な話が多くなることは想像できるものの、ロシアの多様な地域の特性を知ることは、ビジネスの第一歩ともなる。

 昨年11月、ロシア中部のヴォロネジ市で貿易経済に関する日露政府間委員会・地域間交流分科が開催された。

 そこでは経済をはじめとする幅広い分野での人的交流の発展・拡大と地域レベルでの協力を一層深化させることで一致した。

 同分科会では、ロシア経済発展省のゴリコフ次官が、これまでの姉妹関係の枠にとらわれない自治体間交流の提案を行ったともされる。

 これらの動きがどう進むかは慎重に見ていく必要はあるが、経済ミッション派遣などビジネスに関する相互交流もあり得よう。これらを活用し、ロシアを見てみる機会としてはどうだろうか。


シリコンバレーで解けないことはロシア人にさせてみろ!

 次のキーワードは「デジタルとスタートアップの可能性」である。

 世界的にIoT(モノのインターネット)や電子商取引など、デジタル経済化の波が押し寄せている。

 その担い手は大企業ばかりではなく、ニッチな需要をとらえた中小企業(場合によってはむしろ零細規模)によるユニークな技術開発も含まれる。いわゆる「スタートアップ」である。

 ロシアは、実は知られざるスタートアップ大国。筆者もその一端を、本誌2018年9月10日号(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54055)でお伝えしたとおりである。

 筆者も決してこの分野に詳しいわけではないが、日本では知られていない埋もれた、しかしきわめてユニークなロシアの技術は多い。

 昨年10月に東京で開催されたエレクトロニクス関連総合見本市のCEATEC(シーテック)Japanに、4社のロシア企業が参加した。

 全世界から約200社の参加申し込みがあったなか、ロシアはインドについて2番目に申込数が多かった国だ。

 それら申込企業の中からIoT推進ラボ(注)加盟企業の投票により参加企業が選定された。東京にやってきたのはそのセレクションを潜り抜けてきたロシアの4社というわけだ。

(注)産学官が参画・連携し、IoT推進に関する技術の開発・実証や新たなビジネスモデルの創出推進するための体制を構築することを目的とするIoT推進コンソーシアムの下部機関。デジタル分野での先進的なモデル事業創出、規制改革などの環境整備を図るWGを構成する組織。約3000社が加盟。

 それらの企業は日本の来場者からも大きな注目を集めた。1社は脳波を感知しAIソフトを用いて言語化する技術を紹介。身体動作、発声不要のコミュニケーションツールとして注目された。


ロシアの高度人材を日本に!

 仮想現実(VR)のソリューション開発企業は、災害現場など生身の人間が研修しづらい分野での自社活用の可能性を紹介した。いずれもコーポレートベンチャーキャピタルを含め、日本企業との商談が続いている。

 中小企業の海外での展開には、言語や人材の問題がつきまとう。それらの解決にロシアのスタートアップが開発するIT技術が役に立つ可能性がある。

 3番目のキーワードは「高度人材の活用」である。

 人材に関しては、日本でも高度外国人人材の活用の議論が高まっている。前述のとおり、ロシア人にはIT分野を中心に高度な技術や知識を持った技術者が数多くいる。

 企業間の交流だけでなく、そのような人材取り込むことで、中小企業のグローバル展開の戦略を進めることも可能ではないだろうか。


究極のキーワードは「知る」「行く」「会う」

 以上のように、筆者は日露のビジネス交流にはいくつもの新しい可能性があると考えている。ただ、それは黙っているだけでは実を結ばない。

 どのような相手とどのような可能性があるかを知るためには実際に現地に足を運んで、人と会い、その土地を見てみることが必要だ。

 そのために心強いのは、日露間を行き来する航空路線の充実だ。

 この春からは日本航空は増便で毎日の運航になる。アエロフロートは大型機材の導入で輸送力の強化を図る。全日空も今後ロシア向けの路線を就航させると報じられた。

 ロシアと日本の往来のパイプは太くなっている。

 モスクワまでは片道9〜10時間かかるが、極東ならばウラジオストクやハバロフスクは2〜3時間の距離だ。2泊3日で旅行や出張を組むこともできなくはない。

 本欄のようなロシア関連コラムでロシアのことを「知る」のもよいだろう。しかしそれだけではなかなか見えてこないものもある。

 実際に現地に足を運ぶこと、ロシアに「行く」ことでその知識はより深いものとなる。

 さらには、ロシアで誰かと「会って」交流することで、頭の中の知識が実際の体験となって体に刻み込まれる。

 そのような交流の積み重ねによって、両国そして両国民の距離は縮まっていく。それがさらに重なることで、両国民が納得した上での平和条約となるのではないだろうか。

 時間はかかるが、決して不可能な道筋ではないと筆者は考えている。

筆者:梅津 哲也

JBpress

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