2年連続マイナス、中国自動車市場に反転の兆しなし

2月3日(月)6時0分 JBpress

上海モーターショーに出展した日産のパビリオン(2019年4月21日、写真:Featurechina/アフロ)

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(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

 中国汽車工業協会(中汽協)によると、2019年における中国の自動車販売台数は前年比8.2%減の2576.9万台となりました。28年ぶりにマイナス成長となった2018年に引き続き、2年連続の市場縮小です(下のグラフ)。

 今年(2020年)の販売について一部では楽観視する声も見られますが、中汽協は早くも同2.0%減と予測するなど、マイナストレンドが続くとの見方が強くなっています。

 市場縮小の背景には、中国経済の成長鈍化、市場飽和のほか、近年発達してきた中古車市場による新車市場の浸食などが指摘されています。

 一方、日系自動車メーカー各社は逆風の中で好調を維持し、市場シェアもドイツ系とともに拡大を見せています。今回はこうした2019年度中国自動車市場について、各種データとともに解説していきたいと思います。


中古車市場の発達が新車市場を阻害

 月次販売台数で見ても、2019年は全12カ月間にわたりマイナス成長が続きました。12月こそ前年同月比0.1%減と落幅が縮小したものの、5月には同16.4%減と大きく落ち込んでいます。

 これら販売台数の落ち込み原因については、小型車や新エネ車の販売奨励策の段階的縮小や打ち切りのほか、自動車保有台数の飽和化などが指摘されています。しかし筆者は、第3四半期記事「中国の自動車市場、完全に成長が止まった模様」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58029)にも書いた通り、中古自動車市場の急激な拡大こそが最大の原因とみています。

 下の表は2012年以降の中国中古車販売台数をまとめたものです。2019年は新車市場が縮小したのに対し、中古車市場は8.0%増の1492万台と好調な成長を続けています。新車、中古車の販売台数比からみても、2012年は「2.2:1」だったのに対し、2019年には「1.7:1」にまでその差が縮まってきています。

 こうした中古車による新車販売の浸食を裏付けるような現象があります。2019年度の販売では、比較的安価な中国系ブランド車の販売が深刻な不振だった一方、高級車ブランドの販売台数は高成長を続けています。言うなれば、安価な新車が中古高級車に取って代わられているということでしょう。こうした傾向は中古車市場が一定規模に達して落ち着くまで続くと思われます。


ホンダとトヨタが浮上

 続いて、2019年度販売データを詳しく見ていきましょう。

 まず車形別の販売台数です。下の表をご覧ください。

 乗用車はマイナスか、ほぼ横ばいです。長年にわたり急成長を続け販売台数増加の原動力となっていたスポーツタイプ多目的車(SUV)は、1.2%の微増にとどまりました。販売台数的に重要なセグメントであることに変わりはありませんが、いわゆるSUVブームというものは終わりを迎えつつあります。商用車はバスがマイナス、トラックが5.1%増の成長となりました。

 続いてメーカー別販売台数を見ていきます。

 上位3社は独フォルクスワーゲン(VW)系列の一汽大衆が1位、上汽大衆が2位、米ゼネラルモーターズ(GM)系列の上汽通用が3位で不動のままです。ただ上汽通用は米中貿易摩擦をはじめとする米国車への逆風を受けたためか、販売台数は前年比15.3%減と大きく減少しました。今後の動き次第では、この不動の3位の座に変動が起こりうると言えるでしょう。

 一方、日系では日産系列の東風日産(同0.5%減の129.3万台)が5位、ホンダ系列の東風本田(同14.0%増の78.9万台)および広汽本田(同4.1%増の76.5万台)は8位および10位、トヨタ系列の一汽豊田(同1.2%増の72.5万台)、広汽豊田(同14.7%増の66.6万台)は11位および12位にランクインし、いずれも比較的好調を保ちました。

 日産は実質的に横ばいでしたが、ホンダ、トヨタの系列のメーカーはどこも好成長を遂げています。どちらも主力セダンの好調が大きく貢献しており、市場全体が縮小する中で拡大に成功し、日系シェア全体のシェアも大きく引き上げています。


ドイツ系と日系で市場シェアの約半分に

 国別シェアを見ると、中国系が依然トップですが、そのシェアは前年比1.9ポイント減の39.2%となっています。続いてドイツ系が同2.8ポイント増の24.2%、日系が同2.5ポイント増の21.3%となりました。ドイツ系と日系がシェアを伸ばし、合計シェアは45.5%と約半分に達しました。

 一方、米国系は中国系同様にシェアを大きく落とし、前年比1.6ポイント減の8.9%となっています。前述の通りGM系列の上汽通用の2019年販売台数は同15.3%減と大きく落ち込みました。しかし、それ以上に深刻なのがフォード系列の長安フォードです。2019年の販売台数は同51.4%減の18.4万台でした。フォードはもはや市場維持すらも厳しい状態にあり、今後の動向が気になるところです。


日産シルフィが年間2位に

 セダンの車種別販売台数では、上汽大衆の「ラヴィーダ」が4.9万台で首位、続いて東風日産の「シルフィ」が4.8万台で2位につけています。

 そのほかの日系車種では、一汽豊田の「カローラ」が3位、東風本田の「シビック」が8位、広汽本田の「アコード」が10位、広汽豊田の「レビン」が12位、「カムリ」が13位にそれぞれランクインしています。

 市場が縮小する中、日系ビッグ3が揃って好調を維持しました。自動車業界専門メディアの盖世汽車はその点について、ブランドの棲み分け、差別化が功を奏していると指摘しています。

 同メディアによると、トヨタは総合バランス、ホンダはハンドリング&エンジン、日産は技術という風に、それぞれ個別のブランドイメージが中国の消費者に浸透しているとのことです。3社がそれぞれの強みを生かした販売戦略を展開することで、互いにユーザーを食い合わず一定の成果を得たと分析されています。


ホンダと日産の武漢拠点への影響

 最後に、その他の日系メーカーの販売台数を見てみましょう。

 三菱自動車系列の広汽三菱は前年比7.6%減の13.3万台、マツダ系列の一汽マツダは同15.7%減の9.1万台、長安マツダは同19.7%減の13.4万台でした。

 三菱、マツダともにマイナス成長となったものの、広汽三菱の落幅は市場全体の落幅ほどではなく、シェア自体はわずかながら広がっています。一方、比較的深刻なのはマツダの方で、系列メーカー2社ともに2桁減に落ち込んでいます。

 このほか現在も中国で拡大に歯止めがかからないコロナウイルスについて、湖北省武漢市に製造拠点やサプライヤーを抱えるホンダと日産が、今後最も大きな影響を被ることになると予想されます。

 その他の日系メーカーも一定の影響を受けるでしょうが、流行の度合いから言って、武漢市における工場の操業再開は、他の都市より大きくずれ込むことはほぼ確実です。今後、他の製造拠点で代替生産が行われるかについてまだ正式発表はないものの、日本国内のサプライヤー各社も対応を準備する必要があるでしょう。

筆者:花園 祐

JBpress

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