「浴場で性接待」金正恩にバレた幹部らの悲惨な運命
2025年2月17日(月)5時2分 デイリーNKジャパン
国営の朝鮮中央通信は、朝鮮労働党中央委員会第8期第30回書記局拡大会議が先月27日に開かれたと報じた。この会議は、「党内規律に乱暴に違反し、否定的な特権・特殊行為を働き、人民の尊厳と権益を甚だしく侵害する重大な事件」(記事)の発生を受けてのものだ。事件の詳細について、平安南道(平安南道)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
首都・平壌郊外の南浦(ナムポ)市の温泉(オンチョン)郡では先月下旬、地方工業工場の竣工式が行われた。その後に、朝鮮労働党温泉郡委員会と温泉郡人民委員会(郡庁)のイルクン(幹部)が集まり、竣工を祝う宴会が開かれた。
その目的は、地方経済の発展のために献身を誓うものだったが、現場の空気はどんどんおかしくなっていった。
「飲酒と歌舞で興に乗じた彼らは、女性奉仕員たちを連れて温泉に入り、水遊びをするなどびん乱行為があった」(情報筋)
上述の会議で書記局も、会議をごく形式的に行った後、党のイルクンらを含む40人あまりの幹部が集団的に不正行為を強行する特大事件を発生させたと指摘した。
ここには、レストランやリゾート施設を運営する、温泉郡社会給養管理所の責任イルクンもいたというのが、情報筋の証言だ。
社会給養管理所傘下の施設で働く複数の女性が、飲酒接待のために動員されたことが明らかになった。そして、レストラン、温泉、ホテルのイルクンたちが次々に解任や撤職(更迭)される処罰を受けた。動員された女性たちも処罰された。びん乱な場で接待委員と動員されたことで、思想に問題があり、鍛え直されるべき対象者と含まれたためだ。
レストランや温泉で働こうとすれば、成分(身分)に問題がないことに加え、200ドル(約3万800円)から300ドル(約4万6300円)のワイロを支払うことが求められる。北朝鮮では巨額とも言える費用を払って娘をいいところに就職させたのに、性接待を行っていたという烙印を押され、クビになったことに、親たちは怒りをあらわにしている。
事件を受けて、地元の空気は凍りついている。どこまで処罰が及ぶかわからないからだ。
上述の会議で批判された、慈江道(チャガンド)の雩時(ウシ)郡の農業観察機関が農民に対して乱暴な行為を働いた事件では、農業監察員や安全部長(警察署長)ら10人余りが、公開処刑されたという。金正恩総書記が会議で直接、「許しがたい特大型の犯罪事件」であると断罪したからだ。
温泉郡でも、同様に血の雨が降ることになることを、地域住民も幹部も恐れているのだろう。
咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、このニュースを聞いた咸興(ハムン)市民が、処刑された幹部に同情していると伝えた。
「正直言って、わが国(北朝鮮)で幹部が酒の接待を受けるのはあまりにも普通のことなので、なぜこれが特大事件扱いされるのか。見せしめとして幹部に警告を与えようとしたのだろうが、引っかかった人だけが可哀想だ」(咸興市民)