中国政府への忖度は必要なし、今すぐ入国規制強化を

2月19日(水)6時0分 JBpress

マスクを購入するためにドラッグストアの前に並ぶ人たち(2020年2月18日、写真:アフロ)

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(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 新型コロナウイルスの感染は世界に広がり、日本でも次々に感染者が見つかっている。ウイルス拡散の防止のために日本からの入国者を拒むという国も出始めた。なぜ日本でこれほどまでに感染者が増えているのか。

 最大の理由は「中国からの日本入国」に対する規制が甘かったことであろう。ロシアや米国の対応とはまるで異なる“寛容”な対応がウイルスの国内流行を広めた。


時すでに遅しだった武漢の封鎖

 日本国内で確認された新型コロナウイルスの感染者は2月18日時点で約70人、クルーズ船に乗船している感染者を加えると600人以上に達する。ロシアの2人、米国の15人よりもきわめて多く、クルーズ船の乗船者を除いても中国、シンガポールに次いで3番目に感染者が多い国となっている。

 中国では2月18日現在で感染者が7万2000人を超え、死者は1800人以上に達している。中国共産党政権が当初、感染症の存在をひた隠しにしたことが爆発的な拡散の直接の原因となってきたことはすでに当コラムで報告したとおりだ。

 習近平政権もさすがに大災害の隠蔽を続けられないことを認識し、発生源の武漢市を全面封鎖した。だが、その直前に500万人もの市民が中国各地、世界各地へと散ってしまっており、対応は完全に時すでに遅しだった。

 感染拡大の状況を受けて、2月初頭から北朝鮮、ロシア、米国、オーストラリア、フィリピン、香港など多数の国や地域が、中国滞在歴のある外国人の入国、入域を全面禁止するようになった。

 もちろん、そこには中国人を排斥するなどという差別的な意図はない。危険な感染症の広がりを防ぐための医療上の必要、人道的な見地からの措置だった。ちなみに入国禁止の対象となったのは中国人だけではなく、あくまで中国に直近まで滞在していたすべての外国人である。


他の国とまったく違う日本の対応

 だが日本は、その国際的な防疫措置の波に乗り遅れた。“あえて”乗り遅れたと言ってもよい。

 というのは、他の国が中国滞在者を全面的に入国拒否し始めても、日本は中国からの入国を無制限に受け入れていたからだ。

 2月初めになってやっと日本政府は「最近まで湖北省に滞在していた外国人」を入国拒否の対象とした。だが、その「拒否」の基準も、入国者の空港での自己申告に頼る場合が多く、現実はザル規制だった。2月12日から湖北省に加えて隣接の浙江省の滞在者も入国拒否の対象に含めたが、実際には、規制の履行はそれほど厳格ではないという。

 そもそも中国の旧正月にあたり、中国から日本への訪問者が急増した1月後半の時期に、日本は中国からの入国をまったく規制していなかった。新型コロナウイルス感染症の爆発的な広がりが判明した後でも、中国から日本へ少なくとも34万人が入国したことを菅官房長官自身が公式記者会見で認めていた。

 日本では政府のこうした甘い対応のために、中国全土での感染拡大が明白となった後でも、中国からの入国者が多数、国内各地を動き回っている。その結果、日本人のバス運転手が中国からの旅行客と接したために感染したというケースもあらわれている。


異常に緩い日本の入国規制

 一方、対照的なのはロシアである。ロシアは中国と総計4300キロにも及ぶ長い国境を接しているが、新型ウイルスの流入を阻止するために、早い段階で国境をすべて閉鎖した。しかも、ロシアと中国は現在、円満な関係にあり、日夜、多くの人が国境を行き来している。だがロシア政府はそのすべてを防疫のために閉めたのである。

 その結果、ロシア国内での新型ウイルス感染者は2月中旬の時点でわずか2人にとどまっている。しかも、その2人とも中国国籍であり、ロシア国民の国内感染は1人も出ていない。

 米国も同様である。トランプ大統領は2月冒頭に、直近2週間以内に中国での滞在歴があるすべての外国人の入国を禁止する措置を宣言した。中国政府が抗議しても、同大統領はその措置を変えなかった。その結果、米国内でのコロナウイルス感染者は2月中旬段階で15人に留まっている。

 こうした国際標準からみると日本の入国規制は異常に緩いと言わざるをえない。それにはいろいろと理由があるようだ。中国政府の反発への懸念、中国人への差別や偏見だと誤解されたくないという配慮、さらには中国人観光客の激減による経済面でのマイナスへの懸念などが考えられる。しかし、その甘い措置のために日本の国家や社会、そしてなによりも国民の生活が深刻な状況に追い詰められている。いまからでも遅くはない。日本ももっと徹底した防疫態勢をとるべきである。

筆者:古森 義久

JBpress

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