トランプは今や共和党支持者の大半を支配し操っている

2月22日(月)20時0分 ニューズウィーク日本版

 サウスカロライナ州予備選で勝利した不動産王ドナルド・トランプは、共和党支持者のありとあらゆる層から支持されていることを見せつけた。一度は最有力候補と言われたジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が苦戦を強いられ、選挙戦からの撤退に追い込まれたのは、トランプがいかにこれまでの政治の様相を一変させたかの好例だ。

 予備選前、トランプには逆風もあった。メキシコとの国境に壁を作るといった移民差別発言を繰り返してきたことに関し、ローマ法王から「壁を作る者はキリスト教徒とはいえない」と「破門」を言い渡された一件では、カトリック信者の支持が離れるのではないかといわれた。サウスカロライナの知事はトランプ以外の候補を支持していたし、ライバルのジェフ・ブッシュ陣営には、兄で前大統領のジョージ・W・ブッシュが助っ人としてサウスカロライナ入りした。それでもトランプは大勝を収めた。

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 出口調査によると、トランプは退役軍人や高齢者の票を集め、保守的なキリスト教福音派の票も、彼らを支持基盤とする保守強硬派のテッド・クルーズ上院議員とほぼ同数で分け合った。大学教育を受けていない人、少し受けた人、学位を持っている人などの間でも、学歴を問わず多くの支持を集めた。穏健派にも保守派にも等しく人気があった。トランプが勝てなかったのは、自らを「非常に保守的」と呼ぶ有権者と富裕層、そして大学院の学位をもった層だった。

4人に3人がイスラム教徒入国禁止を支持

 これでトランプの勝ちが決まった、というわけではないが、彼は福音派が有権者の4分の1足らずと少なく(サウスカロライナでは69%が福音派)、より世俗的なニューハンプシャー州でも勝利している。10数州が党員集会・予備選を行う3月1日のスーパーチューズデーにはどちらかといえばサウスカロライナと同じく保守的で信仰心の篤い南部の州が多く、トランプにとっては豊作が期待できそうだ。共和党の大統領候補になる意気込みなのか、トランプ先週末、サウスカロライナ州予備選の勝利宣言のなかでこう言った。「さっさと片付けてしまおう」

 2番手クルーズは福音派と「非常に保守的」な層から、続くマルコ・ルビオ上院議員は、若者や高学歴の富裕層で健闘した。だが、トランプほど幅広い支持を得た候補はいない。彼は「怒れる層」だけでなく、共和党のあらゆる支持層で支配的な地位を得ている。

 米政府関係者は、選挙戦が進むにつれてトランプは勢いを失い、もっとまともな候補が支持を獲得するだろうと期待してきた。だが今では、それも怪しい。少なくともこれまでは、選挙戦が進むにつれて逆にトランプは強くなってきた。クルーズかルビオのいずれかが票を割らずに一対一で戦えば勝てる可能性もあるかもしれないが、最新の世論調査を見る限り、トランプ優位は覆りそうにない。

 トランプはサウスカロライナでも、再びそうした懐疑派の予想を裏切ってみせた。彼の辛辣な言葉は丁寧な南部では嫌われるだろうという予想も誤っていた。

 トランプは共和党支持者を支配し、自らの思いのままに操っている。世論調査によれば、サウスカロライナの共和党員の4人に3人が「イスラム教徒を入国禁止にする」というトランプの主張を支持している。トランプはタブーも破った。9.11同時多発テロではジョージ・W・ブッシュの責任を問わないというのが共和・民主両党の暗黙の了解事項だったが、トランプは「ブッシュのせいだ」と言ってのけたのだ。

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マシュー・クーパー

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