日本のゲームがいつの間にか中国でエロ認定されてた

2月25日(月)6時12分 JBpress

(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

「『魂斗羅』(こんとら)が映画化されるってマジ?」

 筆者がある日、中国人の友人に呼び出されて言われたのがこのセリフでした。

「魂斗羅」とは、日本のゲーム会社、コナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)が1987年にリリースし、ファミコンなど多くの機種に移植され人気を博したアクションゲームです。一説によると、現在30代以上の中国人ならば、ほぼ全員がこのゲームで遊んだことがあると言われています。

 魂斗羅に限らず、かつて日本のゲームは中国で熱烈に支持されていました。しかし現在は欧米、そして中国が開発したゲームの方が人気を博しています。残念ながら今や日本のゲームは「エロい」という印象を強く持たれている模様です。

 前回(「市場は10年で10倍に、一斉にゲームを始めた中国人」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55499)は、中国のゲーム業界市場の全体的な動向について解説しました。今回は、中国人の日本製ゲームに対する評価と、中国人はどんなゲームを好んでいるのかについて紹介しましょう。


中国人のソウルゲームは「魂斗羅」

 コナミデジタルエンタテインメントは2017年10月、中国の映像会社とともに魂斗羅の映画化・ドラマ化を発表しました。この発表に興奮した中国人は恐らく日本人より多かったと思われます。

 一体、なぜ魂斗羅がこれほどまで中国人に支持されたのか。筆者が知人らに聞きまわったところ、どうも1980年代あたりに香港や台湾経由で海賊版ソフトが中国に流入し、その中でも特に出回りが良かったのが「魂斗羅」だったようです。

 新疆ウイグル自治区出身の知人ですら「30分交代で友だちと延々遊び続けた」と興奮気味に語っていましたので、中国全土で普及していたことが伺われます。

 なお海賊版ソフトは、複数のゲームデータを1本のソフトに入れて流通していたようです。魂斗羅とともに同梱されていたコナミ製アクションゲームの「特殊部隊ジャッカル(中国名:赤色要塞)」も同じく人気を博し、中国人をして「魂斗羅と並ぶソウルゲームだ」と言わしめています。ある友人などは、「今でもコナミコマンド(ゲーム内でプレイヤーが有利になる裏技コマンド)言えるよ」と豪語していました。


ハード規制でオンラインゲームへ移行

 その後、ソニーの「プレイステーション」をはじめとするいわゆる第5世代機の時代まで、中国では日本製ゲームが市場をほぼ席巻していました。

 しかし、2000年に中国政府がゲームハードの流通を禁止(並行輸入に関しては黙認)したことにより、中国における日本製ゲームの影響度は薄れていきます。

 ゲーム好きな中国人はその後も並行輸入された「プレイステーション2」を購入して遊んでいましたが、そうでない中国人の多くは、パソコンを介したオンラインゲームへ流れていきます。

 時代を経て2000年代後半に入ると、携帯電話の普及によってモバイルゲームが主流となっていきます。前述のゲームハード規制は2013年に解除されたのですが、現在においても中国人のゲームの主流はオンラインゲーム、またはモバイルゲームです。ゲームハードを使って遊ぶのはコアユーザーに限られている状況です。

 また人気となるゲームも、近年は欧米製、中国製のゲームの方が人気を得ています。日本製のゲームは、超大作を除いて、かつての勢いはほとんど消え去ったというのが偽らざる現状です。


日本ゲームの代表ジャンルはやっぱりRPG

 では現在、中国人は日本製ゲームに対してどんな印象を持っているのでしょうか。

 ネット上で日本のゲームを紹介するサイトを眺める限り、やはりスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー(中国名:最終幻想)」シリーズや任天堂の「ポケットモンスター(中国名:口袋怪物)」シリーズをはじめとする、RPGゲームが代表的ジャンルとして扱われることが多いようです。

 特に「ポケットモンスター」に関しては、ブームとなった「ポケモンGO」が諸般の事情から中国ではプレイできないことを多くの中国人が悔しがっており、その人気ぶりはいまだに健在です。

 また、純日本製ゲームというわけではありませんが、中国のオンラインゲーム会社である網易が日系業者と協同で制作したモバイルゲーム「陰陽師」は中国で大ヒットし、映画化されることが内定しています。

 こうした中国で人気を得る日本製ゲームを眺める限り、魅力あるキャラクター作りにおいて日系ゲーム業界はまだ強みを持つと考えられます。逆を言えば、中国のゲーム業界はキャラクター作りの点において、まだ日本に劣っているとも言えるでしょう。

 また、日本のゲーム会社はキャラクター作りがうまいということの表れかもしれませんが、特に日本製のニーズが大きいジャンルがあります。それは、セクシーな女性キャラが多く登場するような、端的に言えばエロゲームです。

 実際、中国の検索エンジンに「日本のゲーム(日式遊戯)」と検索をかけると、そうしたセクシーな日本製モバイルゲームを紹介するサイトが数多くヒットします。一部の解説記事には、「日本のゲームはサービスショットが重要!」と分かっているような口で書かれていました。確かによく分かっているようですが。


チームで対戦するゲームが人気

 では現在、中国人はどんなゲームを好んで遊んでいるのか。

 日系ゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)に尋ねたところ、「ソロまたは協力プレイできるゲームが好まれる日本と違い、ソロまたはチームで対戦するゲームが人気となりやすい」そうです。こうした傾向はダウンロード数や売上などに顕著に現れており、日本市場とはひと味異なる特徴があるとのことでした。

 また、業界で働く、筆者の中国人の友人に尋ねてみると、「これまで流行するゲームは欧米とほぼ同じ流れだったが、近年は武侠(中国の時代劇風)RPGなど、中国国産のゲームが人気を得る傾向がある」と教えてくれました。

 ただ受け入れる間口自体は広く、極端に難易度の高いアクションゲームのほか、日本のモバイルRPGゲームの「Fate/Grand Order」なども中国で高い人気を得ているそうです。


日本とは異なるゲーム価値観

 最後に、筆者から見た中国人と日本人の遊び方の違いを紹介しましょう。

 筆者が見ている限り、ゲーム内の用意されたストーリーやキャラクターに共感して楽しむ日本人に対し、中国人は自分を投影したキャラクターを登場させ、ゲーム内で自由に動かして遊ぶことを好む傾向があるように見えます。MMO(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)がよく好まれるのもその表れであり、やはり日本とは異なる価値観があるように感じます。

 ゲーム市場は、ある意味、国境のない完全競争市場です。世界最大規模を誇る中国市場は日本のゲーム業界にとってきわめて重要です。それだけに、日本のゲーム開発会社もマスコミも、中国のゲーム業界の研究をさらに深く行ってほしいものです。

 次回は、中国ゲーム業界の賃金動向について日本と比較して紹介します。

筆者:花園 祐

JBpress

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