元慰安婦の会見で行き場が塞がれた文在寅の自業自得

2月25日(木)6時0分 JBpress

(金 遥楽:フリーライター)


寝耳に水だった元慰安婦の記者会見

 文在寅大統領が与党・共に民主党幹部との懇親会で元従軍慰安婦に関して新年記者会見と異なる見解を示した。青瓦台(大統領府)は舌の根も乾かぬうちに文大統領と相反する発言を行った。文大統領の真意はどこにあるのだろうか。

 文在寅大統領は2月19日、民主党幹部と懇親会を開いた。米バイデン政権の誕生で、日米韓の協力体制が必須と思われる今、韓国にとって日韓関係の正常化は速やかに改善すべき課題だ。

 日韓関係改善への協力を要請するはずだった懇親会で文大統領は元慰安婦問題等に関して 「(解決策は)単純にお金の問題だけではなく、当事者が受け入れなければならない」と述べ、「日本の心からの謝罪」にかかっているという見解を示した。

 文大統領は、1月18日の新年記者会見で「2015年の韓日の慰安婦合意が両国政府の公式合意だった事実を認める」とし、「その土台の上で被害者も同意する解決策を見つけられるよう韓日間で協議する」と述べた。外交的な解決策を見出すといった大統領が「被害者の同意が重要」と強調し混乱が起きた。

 その空気を察知したのか、カン・ミンソク大統領府報道官は「慰安婦被害者の現在の状況を説明した後、韓日関係の正常化に向けた努力が話の趣旨だった」という言い訳を追加した。二転三転する韓国政府。文大統領自身の混乱ぶりを示唆している。

 そして2月16日、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんが、国際司法裁判所(ICJ)に慰安婦問題の解決を付託するよう求める記者会見を開いて文大統領は逃げ場を失った(参考記事)。ICJに付託すると外交的に問題解決を図る余地はなくなる。

 一方、今後の米韓関係を考えると早急に日韓関係の改善を図らねばならない。15年の日韓慰安婦合意の裏の立役者であるバイデン米大統領に小手先の嘘は通用しない。バイデン政権が日韓関係改善に冷淡な日本の立場を理解できないはずはない。

 李容洙さんの要請は文大統領にとっては寝耳に水であり、すべてを曖昧にしたまま何とかやり過ごそうとしていた文大統領の行き場を塞いでしまったのだ。


秘密解除の米軍極秘資料に書かれていた真実

 2017年に就任して以来、史上最悪の日韓関係を牽引したのは文在寅大統領自身である。国民感情を操作して日本政府や旧日本軍を「悪役」に仕立て上げ、「積弊清算」を掲げて反日感情を煽るヒーローになろうとしたが、「悪役」の証拠を上げることはなく、証明できないまま自称被害者の証言だけで、日本を糾弾する姿は子供の喧嘩と変わらない。

 文在寅大統領はこれまで「被害者中心」を口にしてきた。李容洙さんは金銭の問題ではなく誠実な謝罪を求めるというが、謝罪の具体的な内容は明らかにしていない。一体どんな謝罪を求めているのか。

 ちなみに、1984年、昭和天皇が全斗煥大統領歓迎の宮中晩餐会で謝罪を述べられ、明仁天皇も90年に盧泰愚元大統領を迎えた宮中晩餐会で痛惜の念を禁じえないというお言葉を述べられた。アジア女性平和基金で小泉元首相が慰安婦にお詫びの手紙をしたため、2015年の日韓合意の際には安倍前首相が「日本国内閣総理大臣として心からの謝罪と反省の気持ち」を表明した。そもそも2015年の日韓合意を公式に認めるなら、すべて解決済みのはずである。

 韓国民も今回の李容洙さんの会見には冷たい視線を送っている。正義記憶連帯(正義連)の不正が明らかになって以後、元慰安婦も正義連の金儲けの道具に利用されたという見方が出てきているからだ。

 インターネットの掲示板には「子孫に憎悪を残したいのか?」「正しい歴史を知りたいのにどうして感情だけで話すのか」「ええ、あなたは被害者です。正義連の」などというコメントが相次いだ。国民はこのような繰り返しに辟易しているのだ。

 ハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授が「慰安婦は契約に基づいた売春婦だ」と主張したことを受けて、韓国内では旧日本軍による女性の人身売買は”ひどい人権侵害”だと非難する声が上がっている。

 しかし、米国立公文書記録管理局で発見され、秘密が解除された1944年と1945年作成の米軍の軍事秘密文書には「慰安婦は兵士たちのために日本軍に付けられた売春婦(prostitutes)あるいは職業的な従軍民間人(professional camp follower)と相違ない」と書かれている。

 また、1945年の米軍の朝鮮人徴用労務者尋問の報告書にも「太平洋で目撃したすべての売春婦(prostitutes)は志願したか、両親が売った。もし日本が女性を連れて行ったら若者も老人も極度に憤っただろう」 とある。

 当時、慰安婦女性を中国や東南アジアに連れて行く際、女性の親権者等が作成した慰安婦となる女性の素性を記録した書類が必要で、ラムザイヤー教授は「一人の女性が慰安婦になった過程は基本的に契約過程だった」と主張した(参考記事)。

 文書は、慰安婦らに顧客を拒絶する特権が許されていたことや業者についても触れており、金銭授受があったことは明らかだ。戦時下という特殊な環境のもと、意にそぐわない就労をした人もいただろう。だが、大部分はある程度理解し、対価としての高給を受け取り、任期が終われば帰国していた。しかし、韓国で業者について触れることはほぼなく、“被害者”感情のみが取り沙汰されている。


すべてにいい顔をして結果的にすべてを失う文在寅大統領

 ​現政権の対日外交は行きつ戻りつの状態だ。韓国では賠償問題と謝罪問題は切り離して考えるべきという意見も出ているが、今となっては後の祭りだ。二転三転する発言を誰が信じられるのか。ましてや反日感情を煽られた国民は納得しないだろう。

 2022年5月に任期を終える文大統領にとって、日韓関係の改善は絶望的だ。米国や国民に対するアピールにしか見えない大統領の発言は信用に値しない。すべてに良い顔をしようとする姿勢から、誰からも信用を得られない結果となって跳ね返っている文大統領はどこに活路を見出そうとしているのか。

 日本は些少ながらもまともな政権が誕生するまで協議に応じる気配はなく、米国も同様かもしれない。

筆者:金 遥楽

JBpress

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