登校で髪が凍結し有名になった中国の男児、私立学校へ転入するも追い出される<動画あり>

3月10日(土)21時55分 Techinsight

貧困家庭の象徴として話題になった男児だが…(画像は『Metro 2018年3月8日付「‘Ice hair boy’ thrown out of school because of media attention」(Credit: Asiawire)』のスクリーンショット)

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今年1月、中国の雲南省魯甸県にあるZhuanshanbao小学校に通う男児が氷点下の気温の中で登校し、髪を凍らせてしまった写真がSNSで拡散した。その後、身元が判明した男児には世間から多額の寄付金が寄せられ、私立の寄宿学校に転校したのだが、通い始めてわずか1週間後にその学校から追い出されてしまったという。いったい何があったのか。『South China Morning Post』『The Straits Times』『Metro』などが伝えた。

マイナス9度の寒さの中、髪の毛や眉を真っ白に凍らせて登校してきたワン・フーマン君(8歳)の写真をZhuanshanbao小学校の校長が撮影しSNSで拡散したことにより、ワン君には「フロスト・ボーイ」というニックネームがつけられて複数のメディアで大きく伝えられた。この出来事で、都会に出稼ぎに行った親と離れて暮らす子供たちの多い中国の貧困家庭が浮き彫りになり、後にワン君には多くの寄付が寄せられた。そして私立の寄宿学校から、彼を受け入れるといった申し出まであった。

ワン君はこれまで祖母や妹と住んでいた自宅からZhuanshanbao小学校まで1時間はかかる距離を毎日歩いて通っていたが、雲南省南西部昭通市にある私立の寄宿学校「新華小学校」のヤン校長がワン君のことを知り、無料で寄宿のオファーを促した。この申し出を受けたワン君は、先月末に自宅から約30キロ離れたこの学校に転校し、寄宿生活を送っていたという。ところが転校してわずか1週間後、ワン君の父親ワン・ガンクイさんはヤン校長から「引き取りに来てほしい」という連絡を受けた。

ヤン校長は、ワン君が転入してきた時に「君は貧困状態にあるかもしれないが、大志がある。他人の助けは一時的なものでしかないが、勉学に励むことは君の人生を大きく変えることに繋がるんだよ」というアドバイスをしていたそうだ。ワン君を寄宿学校に無料でいさせるようにした配慮も、「ワン君のために何かいいことをしてやりたい」という気持ちからだったという。それがなぜ、ワン君の転入を拒否しなければならなくなったのか。ヤン校長はこのように話している。

「私はメディアの注目を浴びることなくワン君をサポートしたかったのです。ところが彼を転入させると、政府当局からの激しい詮索とメディアのプレッシャーが押し寄せました。ワン君は、貧困に苦しむ子供たちでも教育を受けられるという“貧困緩和政策”の鍵を握る人物として教育省からマークされていたようですが、ワン君を転入させた時には、そんなことは全く知らなかったのです。しかし結果としてワン君が在籍していた間、当校を調査したいという政府関係者から複数の依頼があり、多くのメディアも我々の取材に殺到しました。こうした多くの依頼の全てを拒否することが不可能となり、我が校は激しいプレッシャーと不都合を感じてしまいました。教師らのほとんどは、この機会に学校を宣伝すればいいのではと言っていましたが、私はメディアの注目を浴びることなく、ごく普通の学校であればいいと思っています。」

ヤン校長は、ワン君の父親に元の学校へ戻してほしいと頼み、寄宿学校を辞めさせる代わりに15,000元(約25万円)を手渡した。さらに、将来は一家に困ったことが起これば別の形で支援したいという旨を申し出た。ガンクイさんはヤン校長からお金を受け取ったことを認めているものの、「勉強できるような環境が整っている寄宿学校に息子を行かせてやりたかった。なぜ、こんなことになるのか」と学校側の対応に不満を露わにしている。

実はガンクイさん、ワン君がメディアで知られるところとなってから昆明市での仕事を辞めて、昭通市で国有の建設工務会社の仕事のオファーを受けていた。しかも会社側は、ガンクイさんに一日200元(約3,400円)という前職よりも高い賃金を渡す約束をしていたという。昭通市は自宅から近いこともあったためにガンクイさんはそのオファーを受けたのだが、新しく務めるはずの会社から「今のところ君のための仕事はない」と言われてしまったために、無職になってしまったそうだ。ショックを受けているガンクイさんだが、ワン君も途方に暮れており、このように心情を語った。

「新しい学校がとても好きだった。寄宿学校では先生も前の学校より良くて、授業中はみな勉強に集中していた。長い距離を歩かなくても済んだし、朝はランニングの運動に参加するだけでよかった。食事も寄宿学校の方がきちんととれていた。家ではおばあちゃんは忙しいから、僕と妹が自分たちのご飯を準備しなくちゃいけないんだ。料理はできないからイモを茹でたりして食べるだけだったけど、寄宿学校ではいろんなご飯を食べることができたんだ。」

ワン君が今後、政府当局やメディアの詮索といった大人の事情に振り回されず、勉強に集中できる日が来るのだろうか。気に入っていた寄宿学校を追い出されるという悲しい状況になってしまったが、この先もめげずに勉強に励んでくれることを願いたい。



画像は『Metro 2018年3月8日付「‘Ice hair boy’ thrown out of school because of media attention」(Credit: Asiawire)』のスクリーンショット

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