中国は二字名、日本は一字名=キラキラネーム制限で名付けの潮流はどう変わる?
2025年3月29日(土)23時0分 Record China
中国では新生児の名付けで今や二字名が主流だ。対して日本では一字名の人気が高まっている。
中国では新生児の名付けで今や二字名が主流だ。対して日本では一字名の人気が高まっている。一方、改正戸籍法(2025年5月施行予定)で「キラキラネーム」はどうなるのか。審美的に優れた旧字体漢字への関心が高まる可能性もありそうだ。
中国で「一字名」が消えた?
中国では新生児の命名に関するランキングが各地で発表されている。24年のランキングでは、四川省では男児の1位は「浩宇(ハオユー)」、2位は「星辰(シンチェン)」。以下、いずれも二文字の名前が並ぶ。女児では「汐玥(シーユエ)」が最多で、「沐瑶(ムーヤオ)」「欣怡(シンイー)」と続く。
江蘇省淮安市では、男児の1位が「瑞澤(ルイザー)」で、1000人中8人がこの名を持つ。女児では「沐瑶」が最も人気を博し、「梓涵(ズーハン)」も根強い支持を得ている。全体的に見ると、一字名は少数にとどまり、二字名が一般的であることが分かる。
中国にもキラキラネーム問題
中国では改革開放初期まで一字名は珍しくなかったが、それ以降は同姓同名を避け、より識別しやすい複名が普及していった。中国公安部が発表した「2021年全国姓名報告」によると、一字名の比率は13.97%、二字名は84.55%だった。二字名の比率が圧倒的で、さらに俗に言う「キラキラネーム」では3文字以上の名前が登場することもある。
例えば、17年に陝西省西安市で娘に「王者栄耀(ワンジャーロンヤオ)」という名前を付けた両親がいた。大人気ゲームのタイトルを想起させるが、親の姓が「王」であるため問題は生じなかった。一方、09年に山東省済南市で「北雁雲依(ベイイエンユンイー)」という名前を登録しようとした例では、姓が父母いずれのものでもなかったため認可されなかった。裁判では公序良俗との整合性が争点となったとみられる。
日本で「一字名」トレンド
中国とは対照的に、日本では一字名の存在感が高まっている。ベネッセコーポレーションの「たまひよ」ランキングによると、24年の男児1位は「碧(あお)」、女児1位は「凛(りん)」というように、いずれも一字名がトップとなった。
読み方のランキングでは「はると」が16年連続で1位を維持しているものの、名前ランキングでは短くシンプルな一字名への嗜好が鮮明だ。同調査は26万人超を対象に実施され、日本の名付け文化の変化を示唆するものとなっている。
改正戸籍法で読み方に制限も
25年5月26日に施行予定の改正戸籍法に関心が寄せられている。戸籍に氏名のふりがなが記載される一方で、「キラキラネーム」の制限が進むとみられており、新生児の名前のトレンドにどんな影響を及ぼしていくのかが注目される。
改正戸籍法では、漢字の意味とは逆の読み方や、一般的な読みに著しく反するものなどが制限される。ただ、「一般に認められている」範囲が曖昧で、自治体の判断に委ねられる部分も多くなるという見方もある。
旧字体への注目度が高まる?
読み方に一定の制約が加わる一方で、人名用漢字の選択肢はここ20年ほどの間に広がりを見せてきた。常用漢字(2136文字)を補強する形で拡充した「人名用漢字(836文字)」には「與」「禮」「豐」など旧字体の漢字も含まれている。より趣のある命名が可能になっている。
こうした流れを踏まえれば、近年人気が高まる「一字名」と審美的に優れた旧字体の組み合わせが新たな命名の潮流となっていくことも十分に考えられる。品格と洗練を兼ね備えた一字名にトレンドがシフトすることは、日本における名付けの歴史において、ある種の新境地を開く試みとなるのかもしれない。(提供/邦人Navi)