閉鎖されていた北朝鮮「美女レストラン」に再開の動き

2018年4月6日(金)14時38分 デイリーNKジャパン


中国に進出している北朝鮮レストラン、通称北レスは、美人ウェイトレスの歌や踊りを見ながら朝鮮料理を楽しめるとして現地の人々のみならず、韓国人などの外国人観光客の間でも人気を博し、北朝鮮にとって重要な外貨稼ぎ源となっていた。


ところが、北朝鮮の進める核、ミサイル開発への対応として国連安全保障理事会は相次いで制裁決議を採択した。中国商務省はこれに合わせて昨年8月、中朝合弁企業の設立や増資を禁止したのに続き、その年の10月には今年1月9日までの閉鎖を命じた。


多くの北朝鮮レストランや工場が閉鎖、または北朝鮮労働者の解雇を迫られ、働いていた人たちは北朝鮮に帰っていった。


ところが、先日の中朝首脳会談の開催に続き、今月と来月には南北、米朝の首脳会談が予定され、朝鮮半島の緊張が緩和するとの期待が高まりつつある中、北朝鮮レストランが復活の兆しを見せている。


韓国の東亜日報系のテレビ局チャンネルAは、昨年11月と今年1月に営業を終了した遼寧省丹東の北朝鮮レストラン、平壌高麗館と柳京食堂が最近になって営業を再開したと伝えた。


また聯合ニュースは、遼寧省瀋陽のコリアンタウン・西塔で、今年初めまで9店舗が営業していた北朝鮮レストランが、今では5店舗に減ったものの、そのいずれもオーナーの名義を中国人に変更することで営業を続けていると報じた。従業員はもちろん北朝鮮女性だ。


これらのレストランで働く北朝鮮人の従業員の中には、もともと別の中国企業で働いていた女性たちも含まれている。


中国のデイリーNK対北朝鮮情報筋によると、遼寧省丹東でアパレル工場を経営しているAさんは、150人の北朝鮮労働者を雇っているが、昨年から当局者の「契約を解除して北朝鮮に送り返せ」というプレッシャーに耐えかねてついに解雇してしまった。


ところが、契約満了前に解除すると、契約書の条件に従って北朝鮮労働者に違約金を払うことになるが、そんな大金を工面するのは困難だ。困ったAさんは北朝鮮側の担当者と交渉した。その結果、労働者にビザ満了まで働ける職場を斡旋することで、違約金を減額、またはチャラにすることで合意した。


その職場というのが、最近になって営業を再開したり、制裁の嵐をくぐり抜けて生き残った北朝鮮レストランというわけだ。


平安北道(ピョンアンブクト)の出身という女性は情報筋に次のように心情を吐露した。 「アパレル工場で働いていたが、7ヶ月で解雇されてここにやってきた。さらに2年は働けるはずだったのに。ここで少しでも働かなれば損をしてしまう」


日給は100元(約1700円)だが、全額が北朝鮮の監督官に渡されるという。丹東市の最低賃金は、月額1420元(約2万4000円)、時給14元(約240円)に定められているが、ピンはねされることを考えると最低賃金にも満たないだろう。


聯合ニュースは、現地の北朝鮮筋の話として、従業員は営業や舞台の準備、サービング、営業終了後の総和(総括)まで含めると拘束時間は1日16時間以上になるという。


国境の向こうの北朝鮮でも、制裁の緩和を見据えて輸出を再開する動きが起きている。

デイリーNKジャパン

「閉鎖」をもっと詳しく

タグ

「閉鎖」のニュース

「閉鎖」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ