お見合い番組「王婆説媒」が大人気、ただし既婚者が出場する事態も―中国メディア

2024年4月7日(日)23時0分 Record China

中国ではお見合い番組「王婆説媒」が人気を集めている。同番組は「誠実さ」を売り物にしているが、既婚者が出場する“ 不祥事 ”も発生した。写真は中国で開催されたお見合いイベント。

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中国ではネットを通じてライブ配信されるお見合い番組「王婆説媒(王ばあさんが仲人を務める)」が人気を集めている。撮影場所は河南省開封市万歳山のにある大宋武侠城で、宋代を舞台にした小説の「水滸伝」にちなんだテーマパークだ。「王婆」は水滸伝の登場人物で、物語中では「不倫の手引き」をする役回りだが、問題にされていないようだ。「よき伴侶」を得ようと同番組を利用する若者が多い一方、既婚者が出演することでトラブルになった事例もある。中国では同番組および類似の企画を紹介し、再考する記事が多く発表されている。



「誠実さを感じられる」などでお見合い番組が評価される



番組では、赤と緑の派手な衣装を着た司会者女性の「王婆」が会場に詰め掛けた女性をその場で選んでステージに上げ、男性には挙手を求めて「王婆」がステージに上がる人を決める。ステージ上で改めて男女を引き合わせ、互いに同意すれば、その後は対話アプリの「微信(ウィーチャット)」で交流してもらい、順調ならば「ゴールイン」もありえるという趣向だ。



中国では、各地が観光客の誘致に熱心に取り組んでる。さまざまな歴史がある開封も観光地の一つだが、この「王婆説媒」のおかげで、若い世代のネットユーザーの多くが「『王婆説媒』による出会い」も期待して、開封への旅行をするようになった。開封市当局も、「王婆説媒」人気を経済上の利益に転換し、しかも一過性のブームに終わらせない研究を始めた。「王婆説媒」の人気の理由については、「真実性が感じられ、人まかせではないこと」「誠実でリラックスした雰囲気」「司会の『王婆』が場面を盛り上げて参加者に気まずい思いをさせないこと」などが挙げられている。また、視聴するだけでも娯楽番組として楽しめるとされる。



若い世代に「お見合いによる伴侶探し」を是認する風潮



中国では若い世代の「結婚願望が薄らいだ」との指摘がある。しかし清華大学社会科学学院の彭凱平院長は「『王婆説媒』がブレイクしたことは、若者たちがいまだに愛情に憧れていることを示している。多くの人が実際には相手を見つけたいと考えていることが示された」と論じるなど、専門家は「お見合い需要は存在している」と主張する。



実際、結婚および恋愛を扱うサイトの「世紀佳縁」の報告によると、2000年以降に生まれた人の5割以上が、何らかの形で相手を紹介してもらう「お見合い」方式による出会いを受け入れられるとしている。さらに、古い世代にくらべて「お見合い」を始める年齢も早くなっており、男女ともに20歳から始めているという。また、具体的動きとしては、23年以降には北京市、新疆ウイグル自治区ウルムチ市、陝西省延安市など多くの都市で、ネットユーザーが「お見合いの場」を設けることを地元政府に呼びかけるようになった。[]



日本に留学中の妻がいる男性が番組で「交際相手」を獲得



「王婆説媒」3月30日のライブ配信では、ある男性が四川省在住の女性との「出会い」に成功した。男性は、現在は河南省鄭州市で仕事をしているが、仕事を辞めて四川省に住むなどと言い、女性とのウィーチャットによる交際にまでこぎつけた。



ところがその直後に、同男性の「妻」が名乗りを上げた。女性は「自分は日本に留学中です。留学直前に結婚の手続きをしました」と説明した。男性は翌31日に既婚の事実を認め、「王婆説媒」に出たのは「妻に早く帰国してほしかったからです。妻はちょっといやだったかもしれませんが」などと釈明した。!<1370612>[]



一方、男性の妻は、男性が既婚だったことは「王婆説媒」側も知らなかったこととして、番組および四川省在住の女性に謝罪した。ネットでは、男性の妻が謝罪する必要はなかったとの声も出た。男性の妻は4月になって中国に戻った。メディアによると男性と妻は離婚の手続きを始める。



中国ではこれまでに、「見合いサイト」の運営側が「人気娘」を用意して、男性利用者を「食い物」にしていた事例も明らかになっている。一方で、「王婆説媒」は「誠実な男女の出会いの場」とみなされており、番組の人気は「信頼できる出会いの場」への渇望によって支えられてきたとされる。ところが「既婚者」の利用が発覚したことで、同番組の誠実さが「真に機能」しているのかどうか、疑問の声も出始めた。(翻訳・編集/如月隼人)

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