資源ごみ処理を中国に頼ってきた韓国の悲鳴

4月11日(水)6時14分 JBpress

中国でゴミの山となった色とりどりのレジ袋(資料写真)。(c)CNS/劉懐君 〔AFPBB News〕

 4月1日、韓国の首都ソウル近郊で、住民がアパートの管理人を殴って立件された。

 理由は、住民(加害者)が黒いビニール袋を資源ごみ収集箱に捨てようとしたところ、「今日から資源ごみとして捨てられない」と管理人(被害者)に注意されたことに腹を立て、管理人に殴りかかったためだった。

 筆者の住む団地にも掲示板に「1日からビニール袋は回収されないので指定ごみ袋に入れて捨ててください」という紙が貼られていた。

 これまでビニール袋は資源ごみとして分別収集の対象であったのだが、回収業者がビニール袋の回収を拒否しているというのだ。


ビニール袋が突然回収されなくなった

 韓国でごみを出す時は、従量制の有料指定袋に入れて出すことになっている。地域ごとに指定のビニール袋があるので、それをスーパーやコンビニエンスストアなどで買って使うことになる。

 だが、従量制ごみ袋にはレジ袋など他のビニール袋を入れてはいけない。これまでビニール袋は、資源ごみとして別途回収されていたからだ。

 それが、4月1日から急にビニール袋を回収しないという。

 この話の背景には、今年の1月から中国が資源ごみの輸入制限をしたことと、高くなった廃棄物処理費用にある。

 韓国環境部によると、今年の1〜2月の廃プラスチックの中国への輸出量は、1800トンと昨年同期比で92%も激減した。古紙の中国輸出量も5万1800トンから3万800トンと496%減った。

 中国は昨年から資源ごみの輸入を中断すると警告していたので、ビニール袋の回収が難しくなることぐらい分かっていたはずなので、韓国政府や自治体が手をこまぬいていたことになる。

 回収業者が4月1日から資源ごみとしてビニール袋の回収を拒否し、この問題が大きくクローズアップされると、環境部は踵を翻したような対応に出た。


二転三転の行政と通達の非徹底

 2日に回収拒否をした業者と話し合い、また元通りにビニール袋を資源ごみとして回収されることにしたと発表したのだ。

 しかし、筆者の住むアパートを含め、ほとんどのアパートの管理人に対してそのような通達はなかった。

 また、回収業者が依然として資源ごみとして回収しないと言うので、混乱に輪をかけた。管理人たちは、「ビニール袋は指定袋に入れて出してください」の一点張りなのだ。

 こうしたことから、ソウル市はリサイクル市場安定化のための対策を打ち出した。

 まず、リサイクル品として回収したビニールの中の異物やリサイクルが難しいものは生活廃棄物として認められるよう関連規定を4月中に改正することにした。

 今まではそうしたゴミは事業場の廃棄物としてみなされ、1トン当たり20万ウォン(約2万円)以上の処理コストが必要だったが、生活廃棄物として認められれば1トン当たり約4〜5万ウォンで処理が可能となる。

 また、使用後のビニールやペットボトルなどをリサイクルする費用に比べて補助金の低い品目に対し、生産者の分担金を上げることも考慮しているという。

 しかし、これは生産者たちとの合意が必要であり、その効果がリサイクル業者から選別業者へ、また回収業者へと広がるには時間がかかる。


ビニール袋好きの韓国人

 また、一番の問題となる中国の廃棄物輸入禁止措置に対しては、今月中に海外市場開拓のためのタスクフォースを稼働するという対策を打ち出したに過ぎない。

 報道によると、韓国のビニール袋基準生産量は、216億枚で韓国人の国民1人当たり1年間に使用するビニール袋は420枚。この数字は、ギリシャ、ドイツなどEU国よりずっと高く、フィンランドの105倍だという。

 ソウル市では広さ33平米以上の店舗でビニールを無償提供した場合、罰金などで取締り、各事業場で黒いビニール袋の使用を自制するよう促している。

 しかし、33平米以下の店舗や露天商などでビニール袋を多用していてそれも問題だ。

 2010年から大型スーパーでは環境部とビニール袋販売禁止協約を結び、使い捨てレジ袋の代わりに指定ごみ袋や紙袋、段ボール箱を販売または提供している。

 コンビニでもレジ袋は保証金として1枚20ウォンで販売し、使ったレジ袋を持ってくると保証金を返金している。

 この協約は、大型スーパーではかなり守られてはいるものの、コンビニでは外国人や知り合いには無償でレジ袋を渡しているのをよくみかける。

 実際、コンビニに行ってモノを買ったときに、レジ袋に入れてくれないと不便なのでつい当たり前のようにレジ袋を要求してしまう。


戸建てとアパートで異なる回収方法

 こうした資源ごみ戦争で問題になっているのは、アパートのような集合住宅(共同住宅)である。

 戸建ての住宅から出た資源ごみは自治体が直接収集・運搬している。半面、アパートなど集合住宅ではアパートと民間業者が自主的に契約を結んで収集・運搬している。

 したがって、中国への輸出ができなくなり収支が悪化した民間業者がアパートからの資源ごみの回収を拒否し始めたわけだ。

 こうなると、集合住宅においても自治体が資源ごみを回収すべきだという声が出てくる。しかし、自治体としては現実的には不可能と答えざるを得ない。

 なぜなら、自治体が回収している資源ごみの選別場も飽和状態にあるからだ。

 韓国循環資源流通支援センターの関係者は、「最初から資源ごみの回収と処理は自治体だけと明示されていたなら別だが、今から急に集合住宅の分も自治体が回収するのは無理」と話す。

 実は、回収業者たちがビニール袋を回収したがらないもう1つの理由がある。それは、資源ごみとして出されるビニール袋に異物が混入している場合が多いからだ。


汚物を入れたまま捨てる住民

 生ごみを入れたまま資源ごみとして捨てたり、紙おむつなど汚物を入れたまま捨てている人たちが多い。

 そこで、選別業者はそれを仕分けて結局使えないものは捨てているので、二度手間になっているのだ。

 今回のことから環境問題だけでなく、市民意識を高める必要がありそうだ。そして、このビニール袋戦争は、6月に行われる地方選挙の核心話題として浮上している。

 ソウル市長に出馬する予定の候補者や政治家たちがこぞって今回の資源ごみ問題を取り上げ、現在のソウル市長を非難している。

 人のせいにするのは簡単だが、非難したところで問題は解決されない。まずは自分からできるだけビニール袋の使用を自制してみようと思う。

筆者:アン・ヨンヒ

JBpress

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