中英独の研究者、1.6億年前の化石により鉤頭動物門の起源を解明
2025年4月11日(金)14時30分 Record China
中英独の研究者は1億6000年前の化石により鉤頭動物門の起源を解明しました。
動物は30余りの「門」に分類されており、それらは共同で動物進化の基本的な枠組みを構築しています。人類はこれまで、鉤頭(こうとう)動物門の起源についてあまり知りませんでした。中国科学院南京地質古生物研究所の羅慈航博士は、同研究所の研究者および英国のオックスフォード大学、ドイツのゼンケンベルク自然博物館、英国のロンドン自然史博物館の専門家と協力して、中国北部の内蒙古自治区の道虎溝で発見された約1億6000万年前の鉤頭虫の化石である「道虎溝ジュラ鉤頭虫」を研究し、鉤頭動物門の起源の謎を解明するための実証結果を提供しました。同研究成果は北京時間9日、国際学術誌「ネイチャー」(オンライン版)に掲載されました。
鉤頭虫は海洋と陸上の生態系によく見られる体内寄生性の蠕虫(ぜんちゅう)の一種で、人、豚、犬、猫、魚など様々な動物に寄生することがあります。最も典型的な特徴は、ミミズのような外形と外に反転することができる吻突(ふんとつ)です。吻突には宿主の消化管に付着するための逆向きの鉤が並んでいます。
鉤頭虫は長い間、独立した門である鉤頭動物門に分類されてきました。研究チームが新たに発見されたジュラ虫を精密に解剖学的に研究したところ、ジュラ虫の吻突には硬化してやや下に曲がった棘(とげ)があり、体には約32対の縦毛列が存在し、それらの縦毛列は体の一部にしか達していないことが分かりました。これに類似した構造は現生の鉤頭虫でもよく見られます。ジュラ虫の体の末端では、現生の鉤頭虫のオスに見られる傘状の交尾器の構造も確認されました。ジュラ虫の最も特異な部分は胴体の最前方に位置する顎器(がくき)です。顎器全体は前方に向かって収束し、その前部にある顎(あご)は小さく、後方は徐々に大きくなっています。研究チームは各種の現生および化石の蠕虫動物などの形態データマトリックスを構築し、系統発生解析を行いました。その結果、ジュラ虫の進化位置は鉤頭虫の最も根底部分にあり、鉤頭虫の基幹系統群に属することが明らかになりました。
研究者は、鉤頭虫がジュラ紀で内部寄生の習性を進化させていた可能性があると考えています。また鉤頭虫は陸生環境に起源を持ち、ジュラ紀の時点で他の輪形動物と分化していた可能性も示されているとのことです。(提供/CRI)