今度は「ナッツリターン妹」のトンデモ蛮行表面化

4月17日(火)6時10分 JBpress

大韓航空の航空機(2017年1月30日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Daniel SLIM〔AFPBB News〕

 「娘の教育を間違えました」

 2014年12月12日、大韓航空(KAL)などを傘下に抱える韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ=1949年生)会長が記者団の前で頭を下げた。

 65歳の父親が、「ナッツリターン」騒動を起こした40歳の娘のために謝罪したが、今度は、その妹がトンデモ騒動を引き起こしてしまった。

 今回の主人公は、「ナッツリターン姫」の実の妹。30代半ばにして大韓航空の専務などを務めるバリバリの「オーナー家経営者」だ。


大韓航空専務が、暴言。水までかけた?

 韓国メディアによると、この次女は、広告宣伝などを担当している専務だ。

 2018年3月半ば、大韓航空本社での広告代理店の関係者との打ち合わせで事件は起きた。

 自分の質問にちゃんと答えないと怒り出し、相手を罵倒した。この先は、微妙に、話が分かれる。

 怒りを抑えきれずに、相手に「水をかけた」「水の入ったコップを投げつけた」「水の入ったコップを叩きつけた」などの行為があったようだ。

 本人は、「水はかけていない」と否定している。

 強い立場にある大企業の役員が、契約先の弱い立場のものを罵倒する。韓国では、強い立場のもの(甲)が、弱い立場のもの(乙)に不当な行為をすることを「甲乙問題」と呼び、ここ数年、社会的最も批判を浴びる1つだ。

 今回の一件は、典型的な「甲乙問題」で世論の怒りを買ってしまった。

 この次女はどんな経歴なのか。1983年生まれだから、まだ30代半ば。米南カルフォルニア大学コミュニケーション学科を卒業後、韓国の広告代理店で2年間勤務した。

 だが、2007年に大韓航空に広告宣伝部課長として入社すると、超高速昇格を重ねる。

 2013年には常務、2014年には専務になっていた。韓進グループ傘下の別の航空会社やホテル運営会社などの代表理事も兼務している。


韓国大企業の最年少役員

 常務になった際には「韓国大企業の最年少役員」と言われた。韓国では財閥オーナー会長の子供たちがとんとん拍子に出世する例は少なくないが、それでも、非常に速いスピードで役員の座を駆け上がった。

 要は、父親がオーナー会長だったから最年少役員になっただけなのだが、本人は当時テレビに出て「広告分野では私も自信がある」などと語り、実力を強調していた。

 強気で自信満々で会社内では、「敵なし」だったのだろう。

 2014年12月、実姉が、ニューヨーク発の大韓航空機内で社員のサービス対応に激高して滑走路に入っていた航空機を引きかえらせる「ナッツリターン騒動」が起きた。

 このときにも、一部では「妹はもっとすごい」という話はあちこちから聞こえてきた。

 今回、「激高水かけ事件」が発覚すると、「やっぱり・・・」という声が多い。韓国メディアには、次女と思われる人間が、部下社員を罵倒する「音声テープ」が持ち込まれ公開された。


絶叫の罵倒

 これを聞くと、すさまじい怒鳴りようだ。おそらく、怒りを抑制することができないのだろう。普通の怒鳴り方を超えた「絶叫罵倒」だ。

 事件発覚あとの対応も、世論の反発を買った。

 一部メディアに「激高水かけ事件」が報じされるや、本人は、「有給休暇」と称して、ベトナムに出国してしまった。

 韓国内で騒ぎが大きくなるや急遽帰国したが、空港で待ち受けていた記者たちに「水などかけていない」と語り、顰蹙を買ってしまった。

 「ナッツリターン事件」がようやく世間から忘れ去られようとしていた時期の事件だけに、韓進グループとしては衝撃を受けている。

 韓進グループは、2018年3月末、「ナッツリターン姫」をグループのホテル運営会社の社長に復帰させたばかりだった。一部では批判もあり、韓進グループとしては「静かに時が過ぎる」ことを期待していたはずだ。

 ところが、大騒ぎになってしまった。まさにタイミングも最悪だった。

 「娘の教育を間違えました」

 趙亮鎬会長は、3年半前にこう謝罪したが、こうなるともうそういう問題だけだとは言えない問題だ。

 いったい、こういう子供たちをどうしてこんな要職に就けているのか。会社経営をどう考えているのかという問題でもある。


青瓦台にも請願相次ぐ

 一般国民の間でも呆れと怒りが広がっている。

 青瓦台(大統領府)への「国民請願」にも「大韓航空の社名を変更させろ」「航路を縮小しろ」などの書き込みが続々と集まっている。

 「大韓」という名称を使わせるな、という意見だ。

 メディアでの報道が相次いだこともあり、警察も捜査に着手した。

 韓国メディアは、「水をかけた」のかどうか、「コップを投げた」のかどうか、「コップがガラスだったのか紙だったのか」などかによって、特殊暴行罪や暴行罪が適用できるかどうかが焦点だと報じている。

 韓国の財閥オーナーの子供たちが皆こんなにひどいのではもちろんない。

 サムスングループや現代自動車のオーナー会長の子供たちは2人とも副会長で後継者の歩んでいるが、「部下を怒鳴りつける」「水をかける」などの話は聞いたことがない。

 大手紙デスクは「ほとんどのオーナーは、子供の躾に厳しい。会社内でも、会長(父親)の前では、直立して話を聞き、他の役員に対しても丁寧語で対応するのが普通だ。ちょっとでも悪い評判が父親に入ると、半端ではないほど叱りつける」と言う。

 それでも、例外もいくらでもある。

 韓進グループの姉妹は、ずっといろいろな噂があった。ほかにも、ここ数年だけで、「不祥事」は相次いでいる。

 一番多いのが、専属運転手に対する暴言、暴行。怒鳴りつけるだけではなく、手が出る場合も多い。あるオーナー3世は、運転手に100項目もの「絶対遵守規定」を作らせ、これを破ると、暴言暴行を加えていた。

 別の大手財閥のオーナーの子供は、2017年、大手弁護士事務所の弁護士たちとの会食で酒に酔い、暴言を吐いたうえに、女性弁護士の髪をつかんで振り回した。立派な暴行事件だ。


自分は特別な存在だ

 何不自由なく育ち、甘やかされ放題甘やかされて育つ。良い学校を出たことで「自分は特別な家庭に生まれ、特別な存在だ」と思い込んでしまう。

 そして、30代そこそこで大企業役員になると、誰も何も文句を言わないからまずます増長する。

 以前はそれでも、事件がもみ消されることが多かった。だが、最近は違う。

 スマートフォンの普及で、あっという間に動画や音声ファイルが出回る。いったん事が発覚すると、これぞとばかり、インターネットへの書き込みも絶えない。

 だからもう隠しようがないのだ。

 今回の当事者である次女はいったんは「私が愚かだった」と謝罪した。だが、世論の怒りは収まる気配はない。役員辞任は必至だ。

 それにしても、こんな極端な姉妹は例外だとしても、経営者としての検証がないままトップや役員に就任している「オーナー家」の人間はざらだ。その結果、企業の経営が傾く例も少なくない。

 「オーナーリスク」はあちこちにあるのだ。

筆者:玉置 直司

JBpress

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