要注意、中国が外国人スパイの通報サイトを開設

4月17日(火)16時25分 ニューズウィーク日本版

<国家転覆の動きを警戒する中国の通報・監視システムは、人々の暮らしを細部まで支配するツールとして世界最先端だ>

中国政府は4月15日、外国人スパイや分離独立主義者と疑われる者を一般市民が通報できるウェブサイトを新たに開設した。

香港英字紙サウスチャイナ・ モーニングポストによれば、国家安全省が開設したこの通報サイトでは、「社会主義体制の敵」を通報した市民には報奨金が払われるという。

英語と中国語で利用が可能なこのウェブサイト(www.12339.gov.cn)は、4月15日の「国家安全教育日(National Security Education Day)」に合わせて開設された。

サイト上には、通報可能な犯罪が事細かリストアップされている。他国との共謀や、「国家分断」の計画、「噂や中傷による国家転覆の扇動」などだ。

リストにはさらに、「宗教を通じて国家の安全を脅かす活動に携わった」者や、機密情報や「国家機密」を入手する目的で役人や軍人を買収しようとした者なども、通報の対象として挙げられている。

通報する際はまず、該当する犯罪のカテゴリーを選択する。暴力、テロ、スパイ、機密情報の盗難や漏洩、分離独立、国家転覆などの選択肢がある。

次は、通報の緊急性を「低・中・高」から選び、通報内容を裏づける資料を添付する。証拠をねつ造したり事実をねじ曲げたりした通報者には、処罰があるとの警告もある。通報者の身元は確実に秘匿される。

外国人との恋愛はスパイ行為?

サイトには政府の対諜報活動に大きく貢献した人には「報奨金」が支払われると書かれているが、具体的な額は示されていない。ロイター通信によれば、北京市の国家安全局は2017年4月、スパイに関する情報を提供した市民には1万元から50万元(約17万円から852万円)の報奨金を与えると発表した。

国家安全局はまた、「a friend with a mask(仮面をかぶった友だち)」と題した漫画を公開し、疑わしいと考えられる行動を具体的に紹介している。AFP通信によるとこの漫画は、中国で労働者の権利推進活動を行う非政府組織の外国人職員が、集会や労働者デモを組織するために、中国の役人にわいろを渡すという筋。漫画は、抗議行動は違法であると説明し、その外国人が通報される様子を描く。

中国政府は2016年にも同様の漫画を公開し、外国人と恋愛関係にならないよう警告している。外国が中国の国家機密を得るためのやり口だというのだ。

中国は、監視能力を強化するため最新技術を積極的に導入している。最新の情報技術を国家の治安システムに組み入れる「金盾工程(ゴールデン・シールド・プロジェクト)」を推進しているのだ。この大規模プロジェクトは、技術進歩を取り入れて治安システムの支配力と反応速度を向上させることを目指している。



金盾工程の土台となっているのは、「防火長城(グレート・ファイヤーウォール)」として知られるインターネット検閲システムだ。米人権擁護団体フリーダム・ハウスによれば、このシステムの存在のために、中国はインターネット上の自由度が最も低い国家となっている。

監視システムも進んでいる。2018年3月には、顔認証技術を用いた監視カメラが、6万人が入ったコンサート会場の中から一人の指名手配犯を発見し、警察が逮捕した。2017年現在、中国には1億7600万台の監視カメラが設置されており、2020年までに6億2600万台に増やされる予定だ。北京は現在、どこもかしこも監視カメラだらけと報道されている。

中国はまた、2020年までに「社会信用システム」の導入を目指している。これは、市民を絶えず監視し、日常の行動に応じて評価するシステムだ。具体的な仕組みは明かされていないが、評価が低いと、旅行の乗車券や航空券が買えなかったり、希望する仕事につけなかったり、子どもをよい学校に行かせられなかったりする。

どんな国でもある程度は市民を監視しているが、テクノロジーで市民を支配しようとする中国の熱意は真に先駆的だ。中国が監視ネットワークを改善・拡大し続けるのを、羨望のまなざしで見ている国もあるだろう。中国で開発されるこうしたシステムは、いずれは他国へも広がるのは間違いない。

(翻訳:ガリレオ)

デービッド・ブレナン

ニューズウィーク日本版

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