トランプ関税は“急所”を突かれて微修正に動いた…世界の投資家が「米国離れ」の皮肉

2025年4月24日(木)6時0分 ダイヤモンドオンライン

トランプ関税は“急所”を突かれて微修正に動いた…世界の投資家が「米国離れ」の皮肉

Photo:Andrew Harnik/gettyimages

トランプ米大統領が日本の非関税障壁に、事実無根なボウリング球試験を持ち出して難癖をつけるSNS投稿をした。それはさておき、相互関税は世界の金融市場を混乱させ、投資家の「米国離れ」を引き起こしている。政策を発動させたのに朝令暮改で微修正に動いているのは、そうせざるを得ない“急所”があるからだ。それは何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

トランプ政策「微修正」のワケ

 トランプ米大統領は、相互関税政策に関して90日間延期するなど発動後も二転三転の微修正を繰り返している。これまでのトランプ政策も朝令暮改の傾向が強かったが、今回は群を抜いて、世界が振り回されている状況だ。投資家の多くは政策リスクを敬遠して、米国の株式や債券などの金融資産の保有割合を低下させている。

 トランプ氏の意図は、関税政策によって米国の製造業を復活させようとするもの。自由貿易体制を根底から覆す、重大なレジームチェンジ(構造転換)といえる。1970年代のニクソンショックに匹敵するインパクトだ。

 問題は、そうした転換には相応の時間と労力がかかることだ。一方で、金融市場は主に短期的な視点から動くことが多い。そこに無視できないギャップが横たわっている。相互関税を発動した直後に90日間停止を発表したのも、そのギャップに起因するものだ。

 トランプ氏は「株価の下落は気にしない」と述べたものの、ドルや米国債が売られたことには反応せざるを得なかった。特に、米国債が大きく売られ流通利回り(長期金利)が上昇したことはショックだっただろう。これまでトランプ氏やベッセント財務長官は、長期金利の推移を重視していると発言してきたからだ。

 ただし、一時延期を発表した後も、米国債は売られ長期金利は上昇した。大手投資家の一部は、もはや米国の信用低下を懸念し“米国売り”に動いたとみられる。

 長期金利上昇をきっかけに、トランプ氏は関税政策を少しずつ修正し始めている。朝令暮改のトランプ政策で、米国への信頼感は毀損した。中国との貿易戦争はチキンレースの様相を呈しており(詳細は後述)、今後さらに米国の株式や為替、債券の価格が下落する可能性がある。


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