「同性愛コンテンツ」規制を撤回させた、中国LGBTパワーは本物か

4月27日(金)16時30分 ニューズウィーク日本版

<中国版ツイッター、ウェイボーの同性愛に関するコンテンツ削除の決定は覆したものの、このまま市民への追い風が吹き続けるとは思えない>

中国版ツイッターの微博(ウェイボー)は4月13日、「違法コンテンツ一掃キャンペーン」の一環として、同性愛に関するコンテンツの削除を発表。ところが、わずか3日後にこれを撤回した。

これは、LGBT(性的少数者)のユーザーとその支持者たちがオンラインで大規模な抗議活動を展開した結果。同性愛を暴力やポルノと同一視して「望ましくないコンテンツ」とする規制に対しては世論の反発も高まり、微博を撤回に追い込んだ。

この方針転換は、貴重な勝利だ。中国最大のSNSとして、議論や異議申し立て、腐敗の暴露の媒体となってきた微博への締め付けが始まったのは12年。以来、オンラインの言論に対する圧力は強まっていた。

微博が抑え込まれると、ユーザーは微信(ウェイシン、WeChat)などのサービスに乗り換えた。すると、今度は微信が締め付けの対象になった。

今回の勝利の理由は分かりやすい。政府は同性愛の問題を特に気に留めてもいなかったが、世論の関心は強かったということだ。

中国政府の同性愛嫌悪は、例えばロシアやウガンダのようにゲイの男性が忌み嫌われるほどひどいものではない。中国当局はLGBT団体に不快感を抱いているが、敵視しているわけではない。

「長年、LGBTの権利に対する政権からの強い締め付けはなかった」と、深圳に拠点を置くジャーナリストのアダム・ロビンズは言う。「代わりに中国は『奨励せず、抑え込まず』という政策を取った」

中国でLGBTの権利に対する姿勢を形づくったのは、主に外国のメディアだった。とりわけ欧米のテレビ番組や日本の漫画、そして次第に大きくオープンになりつつある国内のLGBTコミュニティーの力が大きい。だが人権一般や少数派の抑圧といった他の問題には、今も政府当局から激しい圧力がかかる。

寛容な姿勢はいつまで?

そもそもLGBTは、なぜ弾圧されそうになったのか。中国のメディア規制は、上からの命令と、政府への追従を示そうとする企業側の自己規制が混在している。

企業側としては「適切な姿勢」を示さないと危険が伴う。あるソーシャルメディア企業は先日、オンラインコンテンツの管理が不十分だったことに対して涙ながらの謝罪をする羽目に陥った。今後は数千人の検閲担当者を雇い、「社会主義の基本的価値観」を適切に尊重することを約束した。



しかし微博は今回、政府が2年ほど前からLGBTに対して厳しい姿勢を取ってきたことを受けて、「忖度」が過ぎたように見える。

昨年6月、中国では広範囲にわたる規制を可能にするインターネット安全法が施行された。だが実際にはあまり適用されることはなく、党内からもあからさまな反対の声が上がった。

こうした反応の要因には、検閲の強化に対する不満や怒りの増大があるのかもしれない。だが微博は、決して中国政府ではない。将来、政府に同じように盾突けば、当局の反応ははるかに厳しいものになるだろう。

当局が寛容な姿勢を変化させかねない要因は、ほかにもある。出生率の低下による将来への不安から、人口増加を推進する機運が高まることだ。

政府機関が伝統的な性別役割への回帰を求めることになれば、LGBTの権利についての中国当局の姿勢が世論に関係なく変わる可能性はある。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2018年5月1&8日号掲載>

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ジェームズ・パーマー

ニューズウィーク日本版

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