北朝鮮バス死傷事故、犠牲者は「共産主義の聖地巡礼」ツアー客

2018年4月28日(土)12時2分 デイリーNKジャパン


北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)で22日に起きた交通事故は、中国人観光客を含む36人が死亡する大惨事となったが、犠牲者は共産主義版聖地巡礼の「紅色旅游」ツアーの参加者であったことがわかった。


英BBC(中国語版)によると、今回のツアーを主催したのは北朝鮮、キューバ、ロシアなどの共産主義の歴史にまつわる場所を巡る紅色旅游を行っている中国の旅行会社、星火旅遊で、犠牲者の中には、中国の左派ウェブサイト烏有之鄉(ユートピア)の編集長、刁偉銘氏が含まれている。


同社のウェブサイトによると、今回のツアーのタイトルは「紀念抗美援朝勝利65周年」だ。1950年6月に勃発した朝鮮戦争で、国連軍の反撃を受け窮地に陥った北朝鮮を救うために、中国が大量の兵力を派遣したことを「抗美援朝」という。これにまつわる場所を訪れる6泊7日のツアーで、そのリーダーを務めていたのが刁氏だった。費用は5900元(約10万2000円)。


訪問先には平壌、開城(ケソン)に加えて、平安南道(ピョンアンナムド)の檜倉(フェチャン)の中国人民志願軍烈士陵園にある毛岸英(毛沢東の長男)の墓、人民志願軍の司令部、朝鮮戦争中の1952年10月から11月にかけて江原道(カンウォンド)鉄原(チョロン)で人民解放軍と韓国軍の間で行われた上甘嶺(サンガムリョン)戦闘の跡地などが含まれていた。上甘嶺は、1956年の映画「我が祖国」と同名の主題歌として、中国では広く知られている。


北京大学教授の孔慶東氏は中国版Twitterの微博で「昨晩は一睡もできなかった、一昨日朝鮮黃海北道で事故に遭ったのは星火旅遊のツアーであることが確認されている。亡くなった多くの友が夢枕に現れた。とても悲しい」と哀悼の意を示した。孔氏は著名な左派学者で、北朝鮮の体制を賞賛してきた人物だ。


一方、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は26日、金正恩党委員長が平壌駅に出向き、犠牲者の遺体と負傷者を乗せた専用列車を見送ったと1面トップで報じた。

デイリーNKジャパン

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