「旭日旗を拒否せぬ中国」に韓国メディアが大慌て

4月28日(日)9時12分 JBpress

中国人民解放軍海軍の創設70周年記念国際観艦式のため、旭日旗を掲揚しながら青島港に寄港する海上自衛隊の護衛艦「すずつき」(写真:ロイター/アフロ)

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 4月23日から山東省・青島港で開かれた「中国人民解放軍海軍創設70周年記念国際観艦式」のニュースは韓国でも少なからず話題になっている。特に、旭日旗を掲揚したまま中国に入港した日本の海上自衛隊の護衛艦「すずつき」の姿は、「日中の急接近」の象徴として、厳重に受け止められている。

 一方の韓国では、昨年の10月、済州島で開かれた国際観艦式で、文在寅(ムン・ジェイン)韓国政府が日本の海上自衛隊の旭日旗掲揚問題をめぐってもめにもめた末、日本側から参加をボイコットされるという前歴がある。

 それなのに、歴史問題において「味方」だと思い込んでいた中国の習近平政府が、自国の国際観艦に旭日旗を容認したのだ。これは文在寅政権にとって衝撃だった。今、韓国マスコミでは「日中密着」に対する警戒心とともに、「韓国だけがアジアで孤立するのではないか」と憂慮の声が高まっている。


「文在寅政権に対して日米が不信を表わすのも無理はない」

 保守系中央日刊紙「中央日報」は、『日中、北露の活発な接近は、果たして他人事なのか』(4月22日付)という社説で、急変している北東アジア情勢において、韓国だけが外交的に孤立する恐れがあると警告した。以下、内容の一部を紹介する。

「中国は23日、青島で開かれる海軍創設70周年記念観艦式に旭日旗を掲揚した日本自衛隊の護衛艦を受け入れるという。(中略)『米国が意に介さないのに、同じ戦勝国の中国がなぜ(旭日旗に)敏感なのか』という反応が出るほど、中国内の対日感情が好転されたおかげだ。

 しかし、韓国政府は昨年10月、済州国際観艦式の時、旭日旗掲揚を許さず、結局日本艦艇は参加を見送った。韓国が過去に縛られていたのに対して、中国はこれ(過去)を克服する姿を見せたわけだ。このような状況が繰り返される限り、日本が中国ではなく韓国と未来をともに考えるわけがない」

「最近、目まぐるしく動いている朝鮮半島周辺情勢下で、韓国が決して見逃してはならないことがある。昨年、安倍晋三総理の中国訪問で象徴される日中間の驚くべき和解の速度だ」

「新たに近づくのは日中だけではない。24・25日に決まった北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とプーチン・ロシア大統領間の首脳会談を通じて、ギクシャクしていた北露関係を新しく構築するに違いない」

「韓国はどうなのか。韓国は友好国との関係を改善するどころか、伝統的な韓日米のトライアングル安保体制からも切り離されている。文在寅政権に対して日米が不信を表わすのも無理はない。だから韓米同盟が崩れつつある中、日米間の軍事協力は日増しに強固にならざるを得ない」

 懸念を表明するのは「中央日報」だけではない。やはり保守系日刊紙「文化日報」も、4月24日の紙面に『旭日旗を揚げた日本艦艇の入港を許可した中国・・・文政権は何も感じないのか』という社説を掲載した。

 同紙は、「旭日旗を揚げた日本艦艇の中国入港は、国益と未来を重んじる外交とはどういうものか象徴的に示す」とし、中国政府と日本政府の実利外交が両国の歴史を克服した、と分析している。


日中接近に不安隠せぬ韓国メディア

 また、「『旭日旗観艦式』を許容した習近平中国主席を、プライドがない人物と思っているのか。韓国の安保と経済、未来の発展のためにも文政権は、対日外交をどうするべきかを熟慮しなければいけない」と、文在寅政権の対日外交の姿勢を辛らつに非難した。

 ほかにも、『なぜ、文政権には中日のような実利外交が見えないか』(4月22日付の「ソウル経済新聞」社説)、『中日蜜月が加速・・・旭日旗を揚げた自衛隊護衛艦が中国の観艦式へ参加』(4月22日付の「朝鮮日報記事」)、『中国の国際観艦式に旭日旗をつけて出席した日本護衛艦・・・中国は旭日旗も知らないのか?』(4月22日付の「トップスターニュース」記事)、『日本艦艇、中国の観艦式に旭日旗つけて参加、「韓国に圧力? それとも中国の日本無視?」』(4月22日付けの「ヘラルド経済新聞」記事)、『中国、観艦式に旭日旗許容・・・「戦犯旗の通用を懸念」』(4月22日の「OBSニュース」)、『「中国夢」のため?・・・「日本の旭日旗」まで我慢するのか』(4月23日の「MBCニュース」)などなど、韓国マスコミは、日中の急接近に対する不安を隠せなかった。

 一方、韓国社会では相変わらず旭日旗をめぐる尖がった反応が続いている。4月26日、ネット媒体の「アイ・ニュース24」は、『趙源泰(チョ・ウォンテ)韓進グループ会長、デビュー写真で旭日旗論議・・・「航空機エンジン」と反論』という記事を掲載した。


ファン・ブレードで「旭日旗を連想」

 今年4月8日に死亡した趙亮鎬(チョ・ヤンホ)大韓航空会長の後任となった趙源泰会長側がマスコミに配布したプロフィール写真に「旭日旗を思わせる背景がある」との議論が提起されている、という内容だ。ところが、議論になっている写真をみると、単なる飛行機エンジンのファン・ブレードを背景にした趙会場の正面バストショットだ。飛行機エンジンのファン·ブレードで旭日旗を連想するというのは、どう考えても無理やりな気がする。

「平和ニュース」というフェブ新聞は3月18日、『慶州・普門(ボムン)団地に旭日旗登場で相次ぐ抗議・・・ドラマ撮影用のハプニング』という記事を掲載した。その記事によると、有名観光スポットである慶尚北道慶州市にある普門団地に旭日旗と日本帝国主義を称賛する垂れ幕が掲げられている写真がSNS上で拡散、騒ぎが起きたという。ところが、所管地域の観光庁が調査した結果、垂れ幕はドラマ撮影用の小道具だった。しかし市民からは、「案内文もなしに旭日旗を掲げたのは不適切だ」「気持ち悪い」との非難が続き、観光公社側が「市民を驚かせて申し訳ない」と謝罪したという。

 日本のNHKにあたる韓国の国営放送「KBS」では、旭日旗が消されることもあった。毎週土曜日に放送される『映画が好き』という映画情報番組は、2月23日、映画に登場した旭日旗を消して放送した。この日紹介された映画『自転車王オム・ボクトン』は、日本帝国主義時代に日本が主催した自転車大会で日本選手を破って優勝したオム・ボクトンという実存の人物を描いた映画だ。映画のハイライトにあたる自転車でのレースシーンに登場する競技場にはいくつもの旭日旗が飾られていたが、KBSは視聴者の感情に考慮して、映画の中の旭日旗をすべて消して放送したのだ。

 去年の10月、済州島観艦式直後、韓国国会ではいわゆる「旭日旗掲揚禁止法」という法案が発議されたこともある。国会副議長も歴任した「共に民衆党」の李錫玄(イ・ソクヒョン)議員が発議した「旭日旗など日本帝国主義シンボルの使用を禁止する法案」は、「旭日旗を掲揚した船舶の韓国領海通過禁止、旭日旗を付着した航空機の運航禁止、そして旭日旗などの日本帝国主義のシンボルを所持したり、流布したりした者に対して2年以下の懲役と3000万ウォン以上の罰金の賦課」などの内容が含まれている。

 ただ、韓国マスコミによると、この法案は韓国外交部が「韓日関係に悪影響を及ぼしかねない」と反対しているため、6カ月間も国会で漂流中だという。

 旭日旗をめぐるドンチャン騒ぎ、韓国ではまだまだ続きそうだ。

筆者:李 正宣

JBpress

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